第79話 現状整理
「全員います」
圭さんが返事をした。京さん、拓哉さん、焔、一静も椅子に腰を下ろす。令さんがお茶を入れて、全員に配った。俺ら6人と政府側の4人の計10人。これからどうするか。
「よし、まずは現状を整理するか」
そして、工事現場での爆発について分かったことを話す。
「あの爆発は、小麦粉を使った粉塵爆発だった。また、鉄骨を移動させていたようだ。爆発を起こしたのは無能力者だったが、指示したのは能力者だろう。それで、無能力者も能力者も問題となっていた、裏社会のグループだというのも分かった」
これが、爆発の真相か。裏社会のグループ、やっぱり戦うことになるんだろうか。令さんが、そのグループについて分かっていることを話す。さっき聞いたことと同じだ。
「その、5人の能力者の能力が分かればいいんですが」
焔が呟く。何の能力か分かれば、作戦も立てられるんだけどな。すると、瞬が言う。
「5人のうち1人は、予知能力者の可能性が高いと思います。鉄骨を、あの車に落とすのが目的だったなら、予知できないと無理かと」
それは俺も考えたが、なら拓哉さんの能力のことも予知できたんじゃ……いや、できなかった? 予知といっても、1場面しか予知できないもの、それか力の違いか?
「予知でも、1場面しかできないもの、でしょうか。それか、予知能力でも力が小さかったか……そうじゃないと、拓哉さんが鉄骨を止めることまで、分かっていたことになります」
「そこが引っかかるんですよね」
拓哉さんも俺の考えに同意する。難しいな。
「僕は後者だと思います。予知能力って、意外と制限があるんですよ。僕の能力でも、2ヵ月先のことまでしか予知できません。それに、人や場所を絞らないと難しいです」
彩予が言うなら、そうかもしれないな。敵が予知できたのは、俺らがあの時間にあの場所を通るということだけだったってことか。
「取り敢えず、1人は予知能力者だとして、あとの4人はどうなるよ? 」
令さんがそう言うと、部屋がしんと静かになる。敵についての情報が少なすぎるんだよな。
「じゃ、1番手っ取り早い方法でいく? 」
「1番手っ取り早い方法って何だよ」
京さんが訊く。京さんと令さんって同期なんだろうか。どっちも敬語を使っていない。京さんの問いに、令さんがニッと笑って答える。
「誰かがアジトに行って、情報を聞き出すんだよ」
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