第78話 質問タイム

「あの、何故僕らは、避難することになったんですか? 」


 確かに、それは気になる。すると、令さんが答えた。


「工事現場での爆発、あれは事故じゃなかったんだ。がわざと起こしたんだね。で、そのっていうのが、例の裏社会の連中だったから。君ら、6人全員が狙われているんだよ」


 俺ら全員が……それで避難することになったのか。まぁ、あそこより此処のほうが安全ではあるな。


「その、裏社会の連中って能力者が多いんすか? 」


「俺の知る限りじゃ、能力者は合計で5人。無能力者は約20人かな。それも面倒なのが、約25人全員が20歳未満だってこと。俺が知ってるのは、このくらいだね」


 結構詳しいんだな。20歳未満なのが面倒、か。どこかで聞いた話だが、大人の能力者はかなり少ないらしい。理由は知らないけど。


「やけに詳しいんですね? 」


 瞬が訊いた。


「まぁ、俺も昔は裏社会にいたからね。といっても、火消しでだよ。犯罪は犯してない。何て言えばいいかな……君たちは、って家のこと知ってる? 」


 その言葉に、俺は目を見開いた。上月、誠の苗字で俺の苗字でもある家だ。


「俺はそこに近い血を持っててね。その関係で、火消しをしていたんだ。まぁ、消せなかったんだけど。だから、他の人より詳しいんだよ」


 上月に近いってことは、親戚なのか? なら、俺の事も知ってるのか? 訊きたいけど、少し怖い。そんな俺の気持ちを察したのか、令さんが言った。


「奏くんのことも知ってるよ。君のお母さんに頼まれたんだ、自分に何かあったら子供を守ってくれって。誠くんのことは、守れなかったけど」


 俺のお母さんに頼まれた? だから、俺は孤児院にいたのか。俺を父親から守る為に。ということは、俺のお母さんは父親のしていることを、知っていたのか? その辺りはよく分からない。


 令さんは、先天性の能力者である俺を優先して、助けたのか。1番危険な立場だったから。


「そう、だったんですね。だから俺は、孤児院にいたんですね……そうだったのか」


 まさか、こんな状況で俺の昔のことが分かるとは。何というか、不思議な縁だ。


「奏くんのお父さんはともかく、お母さんはとても良い人だったよ。元々体が弱くて、病気で亡くなったんだけど。だから、恨まないでほしい」

「分かってますよ」


 そう答えると、令さんは安心したように笑った。俺も少し、楽になった気がする。すると、エレベーターが動く音がした。京さんたちが来たのか。扉が開き、京さんたちが、勢いよく入ってきた。


「皆、揃ってるか? 」

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