第46話 行き詰まる

 その後、ツインベッドに6人で寝た。ぎゅうぎゅうだったけど、どこか暖かくて。でも、起きたら焔と瞬が床に転がっていた。やっぱり無理があったな。


「一静、瞬、起きろ。チェックアウトするぞ」


 焔が言うと、唸りながら目を覚ました。相変わらず、朝弱いな。


「おい、寝るな。起きてくれ」

「やっぱり焔っちは、お母さんだね」


 そう言って、彩予は笑った。元気になったようで何よりだ。


 瞬を起こして、フロントで会計を済ませる。勿論、領収書も貰って。そのまま瞬の能力で、いつもの生活場所に戻った。それぞれ、シャワーを浴びたり、着替えてから大広間に集まることにして。


 シャワーを浴びながら、考える。敵はどんな動きをするんだろうか。このまま終わるわけもないだろう。まぁ、それを今から皆で考えるんだが。着替えて、大広間に行くと、既に焔と一静がいた。


「焔、政府からの連絡は? 」


 焔に聞いてみるが、首を横に振った。敵も慎重に動いている、もしくは水面下で動いているのか。


「あの2人にが、ついているのは分かっているんですが、それが誰か分からない以上は、どうにも……」


 後ろについているが、2人に会っていないんだもんな。一静のサイコメトリー対策、だろうか。本当に厄介な相手だ。大広間に、瞬と影が来た。


「敵が諦めたってわけじゃないでしょうし」

「水面下で計画を立てているのかもね。僕らのうち、誰かを誘拐できなかったから」


 それはあり得るな。瞬の考えが正しければ、近いうちに何か大きな事件を起こすつもりってことになる。それを彩予の能力で、と言いたいが、後ろについているの顔が分からない。不可能だ。彩予も大広間に来た。


「完全に行き詰まったな……」


 焔が椅子にもたれかかる。事件が起きるのを待つしかないんだろうか。大広間が、しんと静まり返った時、俺の携帯が鳴った。電話だ、それも知らない番号から。おそるおそる、耳に当ててみる。


「もしもし」

「もしもし、兄さん? 」


 知っている声だ。声の主は、俺のことをと呼ぶ人。該当者は1人しかいない。


「その声、誠ですか? 」

「そうです! 僕、兄さんに伝えなきゃいけないことがあって」


 声に焦りが見える。


「ちょっと待ってください。スピーカーにします」


 携帯を机に置く。何かあったんだろうか。それとも、何かを知ったんだろうか。

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