第43話 シャドウキネシスの強さ
一応、ホテルの部屋を借りることを政府に言った。許可は勿論、すんなりと下りたし、領収書があれば、後からお金も出ると。仕事で得たお金を仕事で使うという、最悪な地産地消にならなくてよかった。
「部屋も押さえたよ」
電話をしていた瞬が言った。ホテルの人にも話をして、花火を発射する場所が見える部屋にしてもらった。これで、場所は揃ったな。今の時間は12時。
「もう、ホテルに行く? 」
「いや、1回だけ練習させてくれ。能力の遠隔使用の」
まだ時間もあるし、大丈夫だろ。瞬を標的にし、焔と影が3階から庭にいる瞬を狙う。適当に動いている瞬に、影が呟く。
「
すると、瞬の影が止まった。そこから1歩も動けない状態だ。すかさず、焔が能力を使う。瞬の周りに炎が上がった。下手に動こうとしたら、火傷するだろう。炎の影がひも状になり、瞬に絡みつく。
「
影がそう言うと、瞬の影が動く。そのまま瞬も地面に倒れ、絡みついたひも状の影が、地面に刺さる。身動き完全に取れなくなったが、瞬はテレポーターだ。
「
動かれる前に、影が言った。先天性のテレポーターが動けなくなったのを見て、全員で庭に向かう。
「しゅんしゅん、そのままテレポートできる? 」
「無理だ。しようとすると、体がもげそうだ。これなら、大丈夫だと思うよ」
影がパチンと指を鳴らすと、瞬の影が自由になり、ひも状の影も消えた。凄いな、シャドウキネシスって。
「瞬、ありがとな。じゃ、行きますか」
全員が瞬に触れると、ホテルの前に瞬間移動した。フロントの人に「九重です」と言うと、すぐに鍵を渡してもらえた。408号室だ。
「犯人が来るのは18時でいいんだよな? 」
焔に彩予に尋ねる。彩予は遠くを見つめて答えた。
「うん。変わってないよ」
そう答えた後も、彩予は何処かを見ていた。彼には何が見えているんだろうか。
「もう、気づいている人もいるかもしれないけど、犯人には何かが後ろについてる。まだ何かは分からないんだけどね。だから……」
「一筋縄ではいかない、か? 」
彩予がこくりと頷く。
「今回は、捕まえて終わりにはならない。でも、犯人を捕まえないと何も進まないんだよね」
難しい顔をする彩予に、一静が言った。
「僕らが今、しないといけない事は、1つですよ。1つ1つ、ちゃんとこなしていきましょう」
「そうだよね。ありがとう、いといと」
一静の言う通りだ。今の時間は16時。あと2時間だ。まずは、犯人を捕まえよう。
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