第42話 俺らにしかできない方法
「でも、今の狙いが奏さんってだけで、誰を狙ってきてもおかしくはないっすよね」
敵の狙いというか、目的が弱体化ならあり得るが。
「俺を狙ってくるあたり、誰が戦えるかなどの情報が漏れている、と考えた方がいいですね」
そう考えても、初仕事と似ている。あの事件で、俺らに関する情報が、裏の世界の奴らに流れたと考えるのが自然だろう。
「なら、犯人には近づかない方がいいな」
「でも、今回の仕事って犯人を捕まえることですよね? 」
焔に一静が言う。危険とはいえ、仕事をしないのは駄目なんじゃ。すると、焔がにやっと笑って言った。
「強いかどうかは置いておいて、相手は後天性の能力者だ。なら、俺ら……先天性の能力者にしかできない方法で、戦えばいい」
「と言いますと? 」
俺らにしかできない方法なんてあったか?
「能力の遠隔使用だ。後天性の能力者は俺らと違って、能力を使える範囲が決まっている。だから、その弱点を突くんだ」
なるほど。それは思いつかなかったな。確かに、能力の遠隔使用は俺らにしかできない。
「でも、片方はテレポーターだよ。あ、影の能力を使うのか」
あぁ、影のシャドウキネシスで、犯人の動きを封じてしまえば、こっちのものか。本当に、よく思いついたな。
「ただ、この戦い方はしたことがない。練習ができればいいんだが」
「次の花火大会は、今日の20時にあるやつだね。犯人らが来るのは、18時だよ」
「だよな。それに、あそこにはカメラも無い。どこか様子が見える場所にいないと無理だ」
突破口が見えたと思ったら、次から次に……。すると、一静が素早くパソコンを操作し、俺らに画面を見せる。
「次の会場の近くに、ビジネスホテルがありますよ。そこの一室を借りましょう」
「流石いといと! お金は自分で出すって言ったら、政府も文句は言わないでしょ」
お金、この前の70万があるか。結局、仕事に使うのかよ。まぁいいけど。
「じゃあ、次の作戦はこうだ。ホテルの部屋を借りて、犯人らを捕まえる。完全に動けない状態にして、話を聞く。その間、奏と一静のことは彩予と瞬で守るってことで」
「いえ、話は聞かなくても大丈夫です。サイコメトリーで犯人らの目的、作戦を見ますから」
一静の言葉に、瞬も頷く。
「俺もその方が良いと思う。できるだけ、犯人には近づかないほうが」
「それもそうだな。ぶっつけ本番にはなるが、これでいこう」
取り敢えず、作戦は決まった。これで本当にいけるかは、分からないが……やるしかない。
「よし、まずは部屋を押さえるぞ」
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