第40話 打ち上げ

「よし、打ち上げだ! 」


 そんな、彩予の言葉から皆でバーベキューをすることになった。ずっと事件を追ってたもんな。肉と野菜を串に刺す。こういうの、初めてだけど良いな。


「焔っち、ここに火を点けて」

「はいはい」


 焔がライターのように使われている。本当、仕事以外で能力を使うって面白いな。


「今から焼いていくぞ」

「ちょ、ソーセージどこ? 」

「彩予さん、ここにあるっすよ」


 何をしても騒がしいな。串に刺した肉と野菜を、焔の所に持っていく。焔の火は、パチパチと燃えている。さっきまで、この火を戦闘に使っていたんだよな。


「はーい、焼けたやつ持ってけよ」

「ありがとう、お母さん」

「誰がお母さんだ! 」


 彩予と焔が、そんな会話をしている。相変わらず、だな。俺も、焼けたものを貰う。気づいたら、隣に一静と翔さんがいた。


「能力って危険だけど、便利なんだな」


 肉を食べながら、ソーセージを焼く焔を見て、翔さんが言った。


「そうですね。使い方を間違えなければ、かなり便利ですよ」


 一静も頷く。俺らは、間違った使い方をした人たちばかり見てきたけど。


「それで結局さ、一静くんの能力って何だったの? あと彩予くんのとか」

「あぁ、僕の能力はサイコメトリーです。人や物に残った記憶を見る能力ですよ」

「なるほど、それで……」


 今回は一静の能力が大活躍だったよな。一静がいなかったら、解決できなかったくらい。事件のことを思い出していると、彩予が大声で言った。


「皆ー! 焔っちが、マシュマロを焼いてくれるってよ! 」

「言ってねーよ! 」


 あそこは本当、よく漫才をするよな。彩予に瞬が悪ノリする。


「マジ? 焼いて焼いて! 」

「はぁ……お前らは俺を何だと思ってんだよ」


 文句を言いつつも、マシュマロを焼く焔。


「焔っちのことは、頼れるリーダーだと思ってるよ」

「僕は頼れるマッチだと思ってるよ」

「瞬、マシュマロごと焼いてやろうか? 」


 またしても、楽しそうに騒ぎ始める。初めて会ったときより、ずいぶん仲良くなったもんだ。


「仲が良いんだね」

「えぇ、本当に」


 安心したように翔さんが笑った。弟のことが心配だったんだろう。


「瞬は、大丈夫ですよ」


 思わず、翔さんに言った。彼は「そうか」と呟いた。


「これからも、よろしくな」


 すごく優しい声で言った彼に、そっと頷いた。

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