第37話 焔の本気
その後は、情報も出ずに別荘に戻った。特に騒ぐこともなく、仕事前の夜のように静かで、すぐに次の日を迎えた。依頼人の男性は
「なんか、いかにもって所だな」
彩予の能力を頼りに、男性3人と女性が来る場所で、4人を待ち構える。海辺だが、人は全くいない。
「天気は俺の味方みたいっすね」
今日は雲一つない晴天だ。影にとって1番不安だった天気だが、今回は本当に味方のようだ。
「来るよ! 」
彩予の声と共に、足音が聞こえた。待ち構えている俺らを見て、3人は驚いているようだった。
「
焔が言い、瞬が愛衣さんを俺らの所へテレポートさせた。目で追えない速さに、2人の男性は怯む。あの2人が無能力者だな。
「もしかして、俺らがそいつを誘拐したと思ってんのか? 」
「その辺も含めて、ゆっくり話を聞かせてもらいたいのですが」
焔の言葉に何も返さない3人に、瞬が言う。
「僕らに捕まったら不味いことでもあるんです? 無いなら、話せますよね? 」
「……お前らに話すことなんかねぇよ!! 」
リーダー格の男性が叫んだと同時に、水の球が現れる。それを影は、真っ二つに裂いた。やっぱり、戦うことになるよな。
瞬と瞬間移動した彩予。2人は無能力者の方へ行く。
瞬が能力者だと分かり、怯えていたが、すぐに彩予を狙う。彩予は能力を持っていないと思ったのだろう。2人からの拳を彩予は見事に
彩予も、もう1人を投げ飛ばした。柔道でもしていたのだろうか。そのまま、2人の無能力者は、反撃もせずにくたばった。
一方、アクアキネシストはというと、何か勝気な表情を浮かべていた。
「パイロキネシストとは何度も戦ってきたが、1度も負けたことはないぜ」
「へぇ。だから何だ? 俺に勝てるとでも言いたいのか? 」
焔の手から炎の剣が現れる。苛ついているようだ。帯状の海水が、焔に向かって飛んでくる。しかし、海水は剣に触れた瞬間に蒸発した。
「俺は、そこいらのパイロキネシストとは格が違うんだよ」
男性を囲むように炎が上がる。水で消そうとするが、全て水蒸気となる。
「火って燃えるとき何を使うか、分かるよな? 」
その言葉に、焦り始めるアクアキネシスト。水量を増やして、炎を消そうと必死になるが、炎の勢いは収まらない。炎に集中している隙に、影が男性を黒い塊で押さえつける。潰されたアクアキネシストは息を吐きだす。
これで決着がついた。焔はすっと炎を消す。
「凄い……」
戦いを見ていた翔さんが、そう呟いた。
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