第三章 リーダー不在
第21話 最悪のタイミング
初仕事も終わり、疲れてくたばった人、相変わらず元気な人、どちらでもない人と様々だった。ちなみに俺は3つ目だ。色々と考えたこともあったが、結局のところ生活は何も変わっていない。
今日も7時に起き、大広間に行くところから1日が始まる。
「おはようございます」
「そーちゃん、おはよ! 」
「何です、それ……」
机には、小さな封筒と大きな封筒が置いてあった。もしかしなくても、次の仕事か?
「この小さいのは、報酬みたいっすよ。ネットで使えるカード2000円分っす」
「んで、この大きいのは次の仕事だよ」
あれだけ働いて、1人2000円か。まぁ、ここの光熱費や食費やらを出してもらっているんだし、文句は言うまい。それで、もう1つはやっぱり仕事か。政府の奴ら、スクリーンで出すのも面倒になったのか。別にどうでもいいけど。
「それにしても、焔はまだ来てないんですね」
いつもなら、1番に仕事内容を把握しているし、もう起きているはずだ。寝坊でもしたのか?
「まだ来てないよ。寝坊かな、珍しい」
仕事内容は、全員が揃ってから見ればいいか。どうせ、仕事は夜だろう。
そんな悠長なことを考えていると、上の階から何かが落ちてきたような、大きな音がした。
「今の音は? 」
「2階からですね」
彩予と影と一緒に上へ上がり、部屋を1つ1つ見て回る。物が落ちたにしては、大きな音だったな。
「焔、開けますよ」
各部屋に鍵はかかっていない。一応、ノックをして部屋に入る。すぐに返事が来ると思ったが、全く返事が返ってこない。
「……そう、か」
足元から、弱りきった声が聞こえた。
「焔!? 」
ベッドのそばで倒れている焔を見つけ、声をかける。顔が赤い。額に手を当ててみると、もの凄く熱かった。酷い熱だ。さっきの音は、焔が倒れた音だったのか。ベッドに寝かせようと思ったが、俺の力じゃ抱き上げられない。
「彩予、影! 焔が」
そう言うと、2人はすぐに来てくれた。彩予がひょいっと抱き上げて、ベッドに寝かせる。非力で申し訳ない。俺の声が大きかったのか、一静と瞬も部屋に来ていた。
「兄ちゃん、熱を測るよ」
脇に体温計を挟む影。やっぱり、身内だし慣れてるのか。すぐにピピッと音がして、体温計を取る。
「39.8度、風邪っすね」
「高っ!? え、風邪なの? 」
「あぁ、兄ちゃんは元々体温が人より高いんすよ。だから熱を出すと、体温がかなり高くなるんす」
パイロキネシストだからか? ま、その辺はよく分からない。
……さっき、仕事が来ていたよな。あくまで偶然だし、あり得ることだ。にしても。
「タイミングが最悪だ……」
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