第22話 リーダー代理
政府から医者が呼ばれ、診察してもらったが、本当にただの風邪らしい。薬、氷枕、米、卵、果物など焔専用に色々と支給された。あとは、様子を見ておくしかない。
大広間に5人で集まり、仕事内容の確認と会議を行うことにした。リーダーである焔が寝込んでいる中、代わりのリーダーは……。
「今回は俺が代理でリーダーになりますが、大丈夫ですか? 」
「もちろん! 」
リーダーなんて柄じゃないけど、今はやるしかない。仕事内容の冊子に目を通す。
「今回の仕事は、人探しですよ」
机に冊子を広げて、全員に見せながら言う。
「探すのは、様々な犯罪を犯した疑いのある人物です。警察も捕まえようとしたようですが、相手は何かしらの能力を持っているのか、返り討ちにあったそうです」
合計7名の警察官が軽傷、5名が重傷、そして3名が死亡。かなり危険な人物といえる。
「ただ、傷を負った警察官の1人によると、彼女に会った時に強い風が吹いたとか」
「彼女? 女性なの? 」
「声から女性だと判断したそうです。しかし、顔も名前も分からないと」
「声だけじゃ、何とも言えないね」
彩予が言った。もう少し、まともに情報も集められないのか政府は。
「風が吹いたってことは、エアロキネシスの可能性があるな」
「そうですね」
風を操る能力か。だとしたら、どれくらいの威力なんだろうか。会った瞬間に吹き飛ばされたら、近づけないどころか命に関わる。
「あと、今回は特別に、どこの防犯カメラでも見ることができるそうです」
一静をちらりと見ると、彼はこくりと頷いた。
「あとは、誰が焔を見ているか、ですね」
「取り敢えず、標的の居場所が分かるまでは、奏と一静がいてやればいいと思うよ」
「分かりました。でも居場所が分かったら、すぐに知らせてください」
皆がしっかりしているおかげで、話が進んでくれる。
「では、一静は防犯カメラのハッキングをお願いします。標的が表に出るのは夜です。それまでに、何処に現れるか、場所を絞っていきましょう」
標的が現れたのは、これまでに2回だ。2回とも夜、人気の少ない場所で。1回目は廃工場、2回目は廃ビル。そのあたりを見ていけば、分かりそうだが。
「じゃあ、僕としゅんしゅんとで、今使われてない工場や建物を見てくるよ」
「いえ、影も連れて行ってください。万が一の為に」
「分かった」
3人とテレパシーを繋ぐ。どこまで、テレパシーが使えるか分からないが。
「では、お願いします」
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