第6話 焔の従兄弟
ピピッと鳴るアラームの音で目が覚めた。あの後、すぐに寝れたのか。確か30分後に朝食が運ばれてくるんだよな。欠伸をしながら、体を伸ばしていると、ドアを叩かれた。誰だよ、朝っぱらから……。
「そーちゃん、おはよー! ねぇ、5人目の能力者が来たよ! 早く来て! 」
朝からテンション高いな、彩予は。5人目……焔の従兄弟だっけか。
「分かりました。着替えたら、そっちに行きますから」
これは、すぐに行かないと何度も呼びに来るな。顔を洗い、出していた服に着替える。また来る前に行くか。
大広間に行くと、俺以外の3人と、黒髪の男子がいた。見た目からして、やはり年下か。
「おはようございます」
さっきと変わらないテンションの彩予と、少し不機嫌な一静、あと焔、影くんが返事をしてくれた。多分、一静は朝が弱いんだろう。その上、あのテンションで起こされた、って所か。
「貴方が奏さんっすね! 俺は
「あぁ、はい。俺は香月 奏、テレパスです」
黒髪の男子かと思っていたが、髪の内側が赤い。面白い髪色だな。
「えっと、シャドウキネシスってどんな能力なんです? 」
あまり聞かない能力名だ。いや、能力者が少ないだけなんだが。
「簡単に言うと、影を操る能力っすよ。こんな風に」
そう言った
「こうやって具現化させたり、あとは人の影を固定させて、人の動きを止めたりできるっす」
人が動くと影も動く。逆に言うと、影が動くから人も動く。それを利用したってことか。使い方によっては、大きな戦闘力になるな。
「凄いですね……」
「えへへ、ありがとうございます。あ、俺のことは呼び捨てで良いっすから! 俺の方が年下なので」
焔兄ちゃんって呼んでたもんな。にこにこと笑う影、確かに可愛い子だ。俺もこんな風に、愛想が良かったら可愛がられたのだろうか。まぁ、無理な話だが。
「そういや、何時に此処に来たんだ? 結構早かったみたいだが」
「5時だよ。兄ちゃんなら知ってると思うけど、家が遠いから、バスとか電車を乗り継いできたんだ」
やっぱり家が遠い人もいるんだな。この国自体、さほど大きくはないが大変だ。残りの1人も遠い所に住んでいる人なのだろう。
「6人全員が揃うのも、あと少しだな」
焔が、喜びと不安を混ぜたような声で呟いた。
「どうだろう……」
彩予が焔の呟きに反応した。彩予には、いつ6人目が来るのか分かるのか。でも、あと少しなのには変わらないだろう。
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