第4話 彩予の予測
「そういえば、此処の消灯時間って何時なんだ? 」
話題を変えたのは焔。そういえば、此処でのルールとか全く聞かされてないな。
「あれ、個人の部屋にこの紙が置かれてたはずだけど」
彩予が机にA4サイズの紙を置く。紙には起床、就寝、食事の時間や禁止事項などが書かれていた。こんな紙、置いてあったけか。普段なら気がつくんだけどな。
「えっと、起床(目安)時間は7時。朝食が運ばれてくるのが7時30分。昼食が12時、夕食が19時。そして消灯時間が23時」
彩予が読み上げた。3食、ちゃんと運んではくれるんだな。まぁ、閉じ込めてるんだから当然だが。
「今が17時だから、夕食は2時間後か。それまでどうする? 」
もう17時なのか。でも焔の言うとおり、やることなんてないよな。部屋に戻って、物の整理でもするか?
「彩予さん、4人も揃ったので、そろそろ……」
「あの約束でしょ? 覚えてるよ」
約束って何だ? 尋ねようと口を開くと、先に彩予が言った。
「いといとと会った時に約束してたんだ。半分以上の能力者が集まったら、何故僕らが集められたのか、僕が分かる範囲のことを教えるってね」
あぁ、彩予の能力は予知。後々伝えられるだろう、俺らを集めた理由を知ることが出来るのか。確かにそれは知りたい。
「でも、勝手に能力を使ってもいいのか? 」
焔が彩予に聞く。
「少なくとも、この紙には能力の使用を禁止するなんて書かれてないからね。大丈夫でしょ」
まぁ、いたるところに監視カメラを設置するほど、俺らを危険視してる奴らだ。駄目ならきちんと書くだろう。
「そーちゃんと焔っちも聞くってことで良い? 」
首を縦に振ると、彩予は俺らから視線を外して、遠くを見つめはじめる。彼の周りの空気がぴんと張るのを感じた。能力を使っているのか。
数秒後、再び視線を俺らに向けて言う。
「未来は変わることが多いから、あくまで予測だと思って聞いてね」
ごくりと唾を飲み込む。
「僕らを集めた理由は2つ。あ、これは数日後に政府から聞く内容ね。1つ目は、僕らが能力を悪用しないようにするため」
確かに、能力を悪用する奴もいるかもしれないしな。強盗とか、殺人とか。これは何となく分かる。
「そして2つ目が、僕ら6人で1つの組織を作らせるため。できた組織を使って、探偵みたいに民間人からの依頼を受けさせたり、危険な組織が絡んでる事件にあたらせたりするらしい」
なるほど、組織ね。だから3階に鍛錬場があったのか。
「それってつまり、俺らに命を落とす可能性がある、危険なことをさせるってことだよな? 」
「そういうことになるね」
チッと焔が舌打ちをする。
「俺らをなんだと思ってんだよ」
まぁ、拒否権なんてないんだろうな。もし6人で逃亡したとしても、国を敵に回すだけだ。
「怒っても何も変わりませんよ。取り敢えず今は残りの2人を待つしか」
冷静な性格なのか、何となく分かっていたのか、一静が静かにそう言った。彼の言うとおり、今はどうすることも出来ない。本当に面倒なことになったもんだな。
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