第2話 2人目の能力者

 降ろされた場所は、豪邸と呼んでもいいような……。横長な大きい建物に広い庭がくっついている所だった。高さは2、3階といった感じか。


 スーツケースをガラガラと引っ張って、庭を抜ける。それにしても、庭に監視カメラが設置されてあるとは、相当危険視されてるんだな。


 入り口に建物の案内図があった。やはり3階建てらしい。1階は大広間、2階は個人の部屋、そして3階は鍛錬場? 何だこれ。


「お、お前能力者か? 」


 後ろから声がした。声の主は俺と同じくらいの歳に見える、金髪の男性。見た目で年齢を考えちゃ駄目とか言うけど、意外と当たるんだよな。俺の勘。ちなみに俺は17歳。


「えぇ、まぁ……」

「悪い、自己紹介がまだだったな。俺は九重ここのえ ほむら、パイロキネシストってところだ」


 そう言い、赤い瞳を細める彼。パイロキネシスというと、発火能力か。リュックを背負った彼……焔さんが階段を上ろうとするのを見て、急いでスーツケースを小さくする。


「俺は、香月かづき そう。テレパスです」

「へぇ、テレパスか。なぁ、奏って呼んでも良いか? 俺のことも焔で良い」


 階段を上りつつ、焔さんがそう言った。


「ご自由にどうぞ」


 初対面にしては距離が近いような。普通の人ってこんなもんなのか? あんまり人と話してこなかったから、よく分からない。呼び方なんて、別になんでもいいけど。


 2階へ上がると、ホテルのように扉が6つ向き合って並んでいた。ご丁寧に扉には、名前のプレートが貼られてある。


 「香月 奏」の扉を開けると、部屋にはベッドと机、テレビ、あとバストイレがある。本当にホテルみたいだな。まぁ、バストイレ別なのはありがたい。


 スーツケースを置き、今日必要な着替えや小物を引っ張り出す。他の物の整理は、住んでる間に少しずつ進めればいいか。面倒臭いし。


「さて、他に来てる人はいるんだろうか」


 いるとすれば、1階の大広間か。人と話すのはあまり好きとは言えないけど、これから一緒に暮らすんだ。


「一応、挨拶くらいはしておいた方がいいかな」

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