非日常な日常で

淡月雪乃

第一章 6人の能力者

第1話 突然の呼び出し

 ごく稀にが現れるようになった世界。能力者とは、その名の通り何かしらの超能力を持つ者のことだ。


 そんな能力者は2種類に分類される。単純だ。能力を生まれながらにして持つ者、そうでない者。先天性か後天性か。


 後天性の能力者がどのようにして能力を手にしたか……事故に遭ってからだとか色々言われているが、しっかりと解明されていない。あくまで予測だ。


 当然、先天性の能力者なんてもっと謎が多い。当たり前だろう。生まれた時から能力をもっているのだから。それに、先天性の能力者はこの国にたった6人しかいない。両手の指で数えられる程の人数だ。


 なんて色々と言っている俺も、その6人のうちの1人なのだが。


***


 先日、いや2日前に政府から6人の能力者に呼び出しがかかった。面倒だと思いつつ、2日で家にある私物をまとめあげた俺を、誰か褒めてほしい。


 何せ、その呼び出しというのも、6人を1つの建物に閉じ込め、共同で生活をさせるというもので。……政府も何を考えてるのやら。


 そんなこんなで、指定された建物へ向かっているという訳だ。まぁ、あそこにいたところで変に気を使われるだけだからいいけど。


「はぁ……」


 何度目か分からない、ため息を吐く。流れる風景に笑う人々。何故俺は、先天性の能力者として生まれてしまったのか。まぁ、考えるだけ無駄か。


 車で20分、その間俺はどうしたらいいのか。にしても、この国に6人しかいない先天性の能力者……残りの5人はどんな能力者なんだろうか。


「まぁ、どうでもいいけどさ……」


 ぽつりと呟いた声は誰にも届かない。まるで俺への嫌味のように。

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