第18話 side九条麗華
「綺麗な人だ」
放課後、廊下を歩いていたら、前から歩いてきた身長の小さめの男子生徒が私を見て立ち止まり、いきなりそう言ってきた。
「えっ?」
私はいきなりというのもそうだが、本当にびっくりした。私の身長は172センチで女子では高いほうだ。さらにこの男っぽい性格と生徒会長兼剣道部主将ということもあり、女子にも男子にも、「かっこいい」とよく言われる。「綺麗」なんてあまり言われたことがないから本当にびっくりした。
そんなことを考えていたら、目の前の男は次はいきなり、
「好きです」
とか言ってきた。
「えっ?」
私は女子から告白されたことはよくあるが、男子から告白されたことはない。人生で初めて告白されてしまった。正直、パニックである。なにを考えているのだろうかこの目の前の男は!いきなり告白してくるなんて!そしていったい誰なのだこの男は!
「えっと君は」
誰なのか聞こうとすると、その男はよくわからないことを言って一目散に目の前から去っていった。
本当に誰なんだあの男は。
そういえば、好きって言われた返事をまだ返してないな。
いや、これは返事をするべきなのだろうか?彼がなんで好きと言ったのかももよくわからない。
とりあえず明日、もう一度話してみよう。その前に誰なのか調べないとな。
生徒会の後輩に話を聞くと、少しぽっちゃりで背の小さいまんまるな彼は結構有名人だったらしく、すぐには名前はわかった。「小林太一」というらしい。
名前とクラスを知った次の日の朝、私は彼のクラスを訪ねて昼休みに生徒会室に来るよう伝えることができた。彼が少し挙動不審だったのが気になったが。
昼休みに生徒会室で待っているとちゃんと約束通り彼が来た。
するといきなり彼がものすごい土下座をした謝ってきたのだ。
なにか勘違いしていると思い、私は
「いやいや、顔を上げてくれ。小林くん。別に私は怒ってるわけじゃないんだ。ただ昨日、君がいきなり、あの、す、す、好きとか言った理由を聞かせてほしいだけなのだが」
と昨日の話について聞いてやった!切り出すのは少し恥ずかしがったが。
「先輩かわいい」
なのにこの男はこんなまたいきなりとんでもことを言い出したのだ!かわいい?かわいいだと?そんなこと幼少期の少ししか言われたことがないわ!!なにを考えているんだあやつは!!私に、か、かわいいなどといいおって!!
いったいなにを考えているのだ!!
するとこの男はまた、
「いや、だって今の先輩めちゃくちゃ可愛いですし、昨日の先輩は綺麗で好きって思いましたけど、今日の先輩もかわいくて好きです」
とか言い出したのだ!!なんなのだこいつは!!まさか本当に私のことをかわいいと思ってるのか?
なぜかとても顔が熱い。火を吹き出しそうだ。もうよくわからなくなってきた。
私はとりあえずこの男を帰し、また明日来るように言った。
本当にあの男はなんなんだ!!わ、私がかわいい?そんなことはない!!だって高校生になってからは誰にも言われたことがないのだぞ!!
あの男は本当になんなのだ?からかっているのか?でも本気で言ってそうだったな。私は本当にかわいいのか?
あ〜もう!ずっとあの男のことを考えてしまう!!この感じはなんなのだ!!
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