第17話 先輩かわいい

 は?え?どういうこと?なんで九条先輩がこの教室に来てるの?小林って言った?誰だよ小林って!九条先輩に呼ばれるってどんなやつだよ!!早く小林出てこいよ!!

 え?なんでみんなこっち見てんの?その空気を察して、九条先輩もこっち見ちゃったよ。あ、目があった。今日も美しいな。

 じゃなくて!誰だよ小林!!早く名乗り出ろよ!!僕が小林みたいな雰囲気出てんじゃんかよ!!あっ、先輩こっちきた。完璧に僕見てる。あれ?僕が小林?そうだ!小林は僕だ!!危ねえ、急展開すぎて頭ぶっとんじゃってた!落ち着け落ち着け。クールダウンだ小林。


 「ああ、君だ君。小林くん。一応確認するが、私と昨日会ったのは君だよな?」


 うわーーーーー!!話しかけられちゃったーーー!!先輩が近くにいるーーー!!!超絶最高に美人だーー!!!!いや、落ち着けと言ってるだろうが太一!しっかりと返事をするんだ!!


 「えっと、あ、あの、は、はい。僕です。」


 「そうか。やっぱり君だったんだな。昨日のことについて話を聞きたいから、昼休みに生徒会室に来てくれるか?」


 はい?昨日のこと?話?やばいやばいやばいやばい!!昨日のこと覚えてるんだ!!なにされるんだ?警察にキモすぎる罪で連行されちゃったりとかするのか?どうしようどうしよう!!


 「え、えっと、あ、あの、は、はい」


 「そうか。では、昼休みにまた会おう」


 そう言って、九条先輩は、教室から去っていった。


 あーーーーーー!!緊張したーーー!!だっていきなり来るとか思わないじゃん!心臓に悪すぎじゃん!!ふぅ〜、でも無事に乗り切ったなぁ〜。

 え?でもちょっと待て、本当に無事か?緊張しすぎてイエスマンになってたけど、結局僕、昼休みに生徒会室に乗り込むことになったよね!?

 やばーーーーーーーい!!やばいやばい!!あっ、お腹痛くなってきた。どうしようどうしよう。

 なんだ?イケメンたちがなんか言ってるけどなにも聞こえないぞ?なんか肩をポンポン叩いてくるけどなにをやってんだ?

 いやいやそんなことを考える暇は僕にはない!昼休みの対策を考えないと!でもどうしよう?「昨日のことはすみませんでした!」って言って、スーパージャンピング土下座するか?いや、土下座なんて生温いから、土下寝するか?いや逆に失礼か!指でも詰めればいいのか?どうしたら1番謝罪になるんだ?

 いや待て太一!九条先輩に頑張ってアピールするって決めただろ!!ここは、もう一回おしおしのおせおせで「好き」とか「綺麗」とか言っちゃうぞ!!よーし、頑張るぞ!!


 なんて思っていたら、もう昼休みになっていた。僕は生まれたての小鹿以上に脚を震わせながら生徒会室に向かった。


 「よ、よ、よ、よーし!は、入るぞー!!頑張るぞ!!攻めの気持ち忘れるな太一!!」


 僕は意を決してノックをして、生徒会室に入った!!


 「ししし、失礼しまっしゅ!お呼びにあづかりたてまつられましました、小林でありんす!」


 生徒会室には凛とした九条先輩が正面に座っていた。


 「ああ、よくきたな。小林くん。早速なんだが、昨日のことについて聞きたいことがあってだな」


 「いや、あの、昨日は、本当に申し訳ございませんでしたーーーーーー!!!!」


 気づくと僕は全力のスーパージャンピング土下座をぶっかましていた。作戦と全然違うが、許してくれ!無理だよ無理!あんな超美人をいきなり口説くなんて、クソみたいなチャラチャラバカしかいないよ!僕に同情してくれ!!


 「いやいや、顔を上げてくれ。小林くん。別に私は怒ってるわけじゃないんだ。ただ昨日、君がいきなり、あの、す、す、好きとか言った理由を聞かせてほしいだけなのだが」


 言われた通り顔を上げてみると、ちょっと恥ずかしそうに照れた顔をした先輩の姿があった。え、超かわいいんですけど!!先輩そんな顔もできちゃうんですか!!おいこれやばいですって!!


 「先輩、かわいい」


 あれ?また思ってたら口にしちゃってた。あっ、先輩の顔がもっと赤くなった。なんかプルプルしだしてる。かわいい。


 「だからなんで君はいきなりそんなことを言うんだ!どうしてそんなことを言うんだ!!」


 やばいやばい僕怒らせちゃった?どうしよう言い訳しないと。えっとえっと。


 「いや、だって今の先輩めちゃくちゃ可愛いですし、昨日の先輩は綺麗で好きって思いましたけど、今日の先輩もかわいくて好きです」


 うわーーー!!また心の声全部言っちゃったよ!!先輩もっともっと顔赤くなってプルプルしてるよ!また怒らせちゃったよ!!


 「もういい!!今日は帰れ!!続きはまた明日だ!!さっさと生徒会室から出て行け!!」


 「え?あ、はい。失礼しました。」


 ふぅ〜。一言いいですか?


 オワタ。


オワタよーーーー!!!先輩めちゃくちゃ激怒してたよーー!!なんで僕は心の声を全部言っちゃうんだよーー!!昨日の弁明とかも全然できなかったし!どうすんだよーーー!!

 あれ?ちょっと待てよ?続きはまた明日とか言ってたよな先輩。明日もあるのかよこの超緊張タイムが!!!


 でも今日は怒らせちゃったけど、明日はちゃんと謝って、それでとりあえず好感度をフラットに戻そう!今はマイナスすぎてやばいから、僕が普通の人畜無害な人間であることを示そう!!うん!頑張れ明日の僕!!


 いやぁ〜、それにしても顔を赤くして怒ってた先輩、めちゃくちゃかわいかったなぁ〜。昨日はクールで綺麗だって思ったけど、今日の先輩はかわいすぎたなぁ〜。大好きだなぁ〜。

 まあ、明日も大変そうだけど、先輩と喋れるならいいかもね!!ちょっと楽しみならなってきたや!!

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