第13話 めんどくさいなぁ


 「ねえ太一、昨日は楠木さんと結局どうなったの?」


 まただよ。鈍感イケメンがわけのわからないことを言ってきやがった。今回は裕二だ。僕と楠木さんの関係を疑ってやがる。ぶちかますぞこの野郎。


 「いや、ただ昨日も本の貸し借りをしただけだよ!」


 「え〜、なんかそれだけじゃないと思うなぁ〜。ねえみんな!」


 「そやな!白石さんも神崎さんもいつもの感じとは違ったやんな!」


 「そうそう、恋する乙女みたいな顔してたぜ!笑笑」


 このイケメンたち、鈍感のくせして変なところで鈍感じゃあないなぁ。くそがっ!!!!お前らのせいだぞ!!


 「いや違うって!僕がモテるわけないって!」


 「いやいや太一はおもろいし、優しいし、モテると思うけどなぁ〜。なぁそうやろ?」


 「うん」


 「おう」


 智も裕二も悠真も僕がモテると思って疑ってない。嬉しいけども、嬉しいけども現実は違うのよ〜。それだけじゃ恋愛対象にならないらしいのよ〜。


 すると、隣の席の白石さんがやってきた。


 「太一くんおはよう!今日こそ放課後大丈夫かな?」


 まただ。これがこのイケメンたちの誤解を増殖させるんだよ!まあ、仕方ない。


 「え、う、うん、いいよ」


 「え〜!太一、ウチとも話すって約束でしょ〜!!」


 やばい、神崎さんもやってきた。やめてくれ。僕がモテるみたいになってるから!君たちも誤解されちゃうから!


 「えっと、そ、そうだったね。」


 「違う、太一は、今日、私と話す約束。」


 あーーーーー!!!楠木さんまで来ちゃったーーー!!オールスターじゃん!もうカオスカオス!助けてください!!どうしよう、もうめんどくさいな。勘違いされてるのもめんどくさいし、一人一人相談聞くのもめんどくさい。よし、もう一斉にかましてやろう!もういい!やけだやけ!僕ならできる!!


 「えっとさ、あのさ、提案なんだけど、3人一緒に話すっていうのはどう?今日の放課後、カフェとかでさ!」


 思い切って言ってやったぜ!すると、


 「まあ、うん、いいよ〜!」


 「ウチは別にいいよ!」


 「私も別に一緒で構わない。」


 「う、うん、じゃあ、放課後で!」


 よ〜し、とりあえずなんとかなった!!くそが、隣でまたこのイケメン三人衆がニヤニヤしてやがる!誤解を受けてるってことを言わなきゃいけないよなぁ。こんなに恋愛の相談ってめんどくさいっけ?いや、このイケメンたちが鈍感でうざいだけだ!もうストレートに言ってやりたい!もうめんどくさい!!


 なんてことを考えていたらもう放課後になってしまっていた。これから美少女3人とカフェに行くのかぁ〜。最高だけど、最高だけども話す内容がしんどすぎるな。


 するともういち早くみんな用事を済ませていたので、4人でカフェに行った。


 みんなアイスコーヒーを頼んで、飲み始めたところでついに話が始まってしまった。


 「ねえ太一!なんでウチら3人一緒なの?もしかしてみんなライバルとか?」


 神崎さんのジャブで、空気が凍りつく。早く解凍しないと。


 「いや違うよ。みんな僕の親友たちを好きなのは一緒だけど、人が違うんだよ。白石さんは智、神崎さんは悠真、楠木さんは裕二のことが好きで僕に相談したんだ。」


 「なんだ、よかった〜」


 みんな安心している。


 「そこでなんだけど、一つやばいことが起こってて、えっと、その親友たちが、僕たちがいい感じじゃないかって疑ってるんだ!つまり、僕がモテてるって話なんだけど」


 「えーーーー!!!!ウチらと太一は友達なのに!!」


 「そうだよ!仲のいい友達だよ!!」


 「太一は信頼できる友達。」


 あ〜なんだこれ、嬉しいんだけど、とても心が痛い。なんだか泣きそうです。くそ、あの鈍感イケメンどもめ!!なんか腹立ってきたぞ!!あいつらのせいで僕はこんな惨めな感じになってるんだ!!


 「そうなんだよ!あいつら鈍感だから、全然わかってないんだよ!そこでさ、提案なんだけど、もうあいつらに言っちゃっていい?みんながあいつらのこと、気になってるらしいって!」


 「えーーーーーーーーーーー!!!!それは恥ずいって太一!!やばいって!!振られるって!!」


 「そうだよ太一くん!もっと慎重にいこうよ!!危ないよ!恥ずかしいよ!!」


 「太一ダメ、そんなことできない。」


 もうこの美少女たちもめんどくさいなぁ〜。そんだけかわいいんだったら、もっとグイクイいきやがれ!!そしてさっさと付き合えよ!!もうめんどくさい!!なんか美少女と話すことに慣れてきたのかもしれない。かわいいけどなんか他の好きな人の話をされてたら、冷めて冷静になっていく感じですね。もういいや!さっさとくっつけてやろう!!


 「はいもう反論は聞きません!!僕はあいつらに言います!!さっさと付き合え馬鹿野郎!!大丈夫だから!みんなかわいいから自信持って!!じゃあ、今週の日曜、言うから。」


 そう言って僕はイケメンたちとのグループLINEに「日曜、おれんち集合」とLINEを送った。するとすぐにみんな了解との返事が来た。はぁ、もう日曜で決着つけてやる!と思って前を見ると、なんか美少女3人が照れていた。なんだこの人たち。


 「太一、か、かわいいとかそんな簡単なら言うなって!てか、日曜とかそんな、心の準備ができてないっていうか!恥ずかしいっていうか。」


 すると神崎さんがそんなうぶすぎることを言ってきた。なんだこの美少女たち。かわいいなんて言われ慣れてるかと思ったのに。めちゃくちゃかわいいとこあるじゃん。こりゃ、モテるわ。さっさとイケメンとくっつけ。

 美少女たちはずっと照れて日曜を思って緊張していて、そのまま解散した。はぁ、日曜にあの鈍感イケメンバカたちに説明するのめんどくさいなぁ〜。

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