第12話 またまたか!?

 「よっす太一!昨日、神崎さんと一緒に2人でいい感じに帰ってたらしいけど、もしかして付き合ったのか?」


 次の日、教室に行くと、悠真がいきなりうぜえことを言ってきた。思い出しちゃったじゃないか〜!クソ野郎が!神崎さんが好きなのはお前だよ馬鹿野郎!

 智もそうだけど、なんだお前らイケメン。鈍感主人公かましてんのか?まあ、いい奴らだからいいけども。


 「いや、ただいつものように楽しく一緒に帰っただけだよ!そんなだって僕も神崎さんが釣り合うわけないじゃないか!友達だよ友達!僕はまんまるだからね!女子からかわいがられる最高のポジションなのよ!」


 「なるほどね!太一はほんといいキャラしてるなぁ!」

 「ほんまや!太一はみんなから好かれてるんやな!笑」

 「太一は本当にいいキャラだね!」


 イケメン三人衆がそう言ってくれる。めちゃくちゃ嬉しいのだが、ちょっとだけ違和感を感じてしまう。僕はこのままこのポジションでモテずに生きていくのだろうか?まあ、そんなことはないか!大丈夫だろ!だって白石さんや神崎みたいにこんなかわいい子たちと喋れるんだから!


 すると、白石さんが隣の席にやってきた。

 「太一くんおはよう!昨日はダメだったけど、今日は放課後大丈夫かな?」

 白石さんがまた誘ってきた。まあ、智についてまた喋るんだろうなぁ〜。でもこんなかわいい子に頼まれたら行くしかないか。


 「え、う、うん、じゃあ」


 「太一!おっはよ〜!!今日もウチと一緒に帰ろーーーー!!!」


 僕が承諾しようとしたら、元気よく神崎さんが僕の席の近くにやってきた。なんかこう見ると、美少女2人に誘われてめちゃくちゃモテるような感じだけど、2人とも僕の親友が好きなんだよなぁ〜。勘違いしないでほしいな。まあ、役得ではあるんですけどね!


 「ちょっと!沙耶香!昨日は沙耶香だったんだから今日は私に太一くん貸してよ!」


 「ウチと太一は大事な話があんの!絵里はまた今度でいいじゃん!!」


 「私だって大事な話なの!!」


 「まあまあ、2人とも落ち着いて」


 なんだこのモテてる感。やめてくれ、クラスのみんな見てるから、君たちの好きな隣にいるイケメンたちも勘違いしちゃうよ?僕のために争わないで!すみません、言ってみたかっただけです。


 「ダメ。小林くんは今日、私と大事なお話しする。そうだよね?」


 そんなカオスな空間にいきなり楠木さんが割って入ってきた。え?そうなの?僕は今日、楠木さんと大事な話するの?


 「え?う、うん、そうだね。」


 「な〜んだ!それならしょうがないね!じゃあ、また明日だね!」


 「ちぇっ!明日はウチと帰るんだからな!」


 「そうだね、考えておくよ」


 ふぅ〜、とりあえずこの場はおさまったかぁ。この隣にいるイケメン三人衆がめちゃくちゃニヤニヤしてこっち見てるし、LINEで「また明日ちゃんと報告しろよ」とか送ってきてるのがうざい。

 でも、楠木さんの大事な話ってなんだろう?も、もしや告白?いやちょっと待て、ここまで二回連続でそれはなかったろ!でも楠木さんは自信を持って僕が1番仲良いって言えるんだよなぁ〜。これは今回こそはいけるんじゃない?いけるぞ太一!頑張れ太一!!


 なんてことを考えてたら放課後になっていた。そういえばどこに集合とか言われてなかったけど、多分いつもどおり図書館だろうなぁと思い、行ってみると、予想通り、楠木さんがいた。


 「小林くん、待ってた。急に誘ってごめんなさい。」


 「いやいや大丈夫だよ!!でいきなりだけど、大事な話ってなに?」


 無表情だから、あんまりわかんないけど、仲のいい僕にはわかる!楠木さんは緊張している!そして、ちょっと頬が赤くなってる!これはマジで告白かもしれない!


 「えっと、あの、小林くん。私、あの、あ、芦川くんのことが好きなの!!」


 「うん、僕も!はい?」


 え?どういうこと?芦川?どういう意味?芦川が好き?芦川って誰?僕じゃなくて?夏に脚を川につけたら気持ちいいよね〜。よくやってたなぁ〜。

 危ない危ない。意識が飛びかけてた。えっと、整理しよう。正直、僕に告白しようとしていたと考えられる楠木さんが芦川のことが好きと意味のわからないことを言っている。これはもしやまたか。また僕は相談役になるのか!


 「えっと、うん。僕にその相談をしたいということで大丈夫?」


 「うん、小林くんに、手伝ってほしいの。」


 やっぱりかぁ〜。そういえば、楠木さんが僕と仲良くなってから、オタク仲間の裕二も誘って楠木さんと本の交換とかさせてたなぁ〜。なるほどなぁ〜。


 「裕二のどんなところが好きなの?」


 「え?えっと、やっぱり優しいところかな。あと趣味も合うし、一緒にいると楽しいんだよね。」


 楠木さんがニヤついてしまっている。あのクールな楠木さんが!裕二の話でニヤついてもうてる!それだけ好きなんだな。


 「わかった!僕でよければ楠木さんの恋が叶うように手伝うよ!」


 「あ、ありがとう小林くん!」


 「でもなんで僕に相談したの?」


 「だ、だって小林くんは私の1番仲のいい友達だし。芦川くんと仲良いから。」


 やっぱりかぁ〜、僕は友達かぁ〜。みんな一緒。やっぱり僕は友達ポジ。ここから上がることはないのかぁー。欲張りすぎなのかなぁ〜。女の子と話せるだけでよしとしたいけど、これからもずっと恋愛対象にならないのはきついものがあるかもなぁ。いじられキャラは仕方ないのか。


 楠木さんの手伝いをすることも了承して僕はこんなことを考えながら帰り、飯を食べ、寝た。恋愛対象にならないってのつらいなぁ。仕方ないか。現実はそんなものだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る