第11話 またもや!?
「おい太一!昨日、白石さんと放課後、2人でいい感じに喋ってたらしいやん!もしや付き合った?笑笑」
朝、席につくといきなり智が見当はずれのことを話してきた。
智のせいで思い出してしまった。
僕は告白する前から白石さんに振られたんだった。智!お前のことが好きなんだぞ!勘違いしてやるな!
まあ、智のことが好きっていうのは仕方ないんだけどね。
だってあいつめちゃくちゃイケメンだし、かっけえし、優しいし、コミュ力高いし、面白いし、白石さんと同じ学級委員だし。
智なら仕方ない、そう家で結論付けたのに、この野郎、お前がぶり返してきやがって!でも白石さんのためにもこの誤解は解いておこうとしよう。僕は女の子には優しいからな!
「いや、普通にただの学級委員長としての仕事を手伝って欲しかっただけだったよ!」
「え?なんやねん!そんなん俺に言ってくれればよかったやん!」
「まあ智は野球部で忙しいから暇そうな僕に話しかけてきたってだけだよ〜!」
「な〜んだ、そういうことか!白石さんと付き合ったのかと思ったやん!」
こいつ!ぶちかますぞ!お前らモテ男の意見を採用するのが間違いだった!お前らが僕を持ち上げるせいで僕は勘違いしたんだ!僕はもっと現実を見て、謙虚だったはずだ!女の子と喋れるだけで最高の気分になれる童貞だったはずだ!
もう僕は勘違いしないぞ!でもまあ褒められるのは悪い気しないけどね。
「僕が白石さんと付き合えるわけないじゃん!笑笑」
「まあ、それもそうか!!」
みんな笑ってる。そうだ、僕なんかが付き合える人じゃないんだ白石さんは。
言い方は悪いけどもっと自分に合った人と付き合おう。
クラスのマドンナなんて荷が重すぎるわ!
そんなことを考えていたら放課後
「太一くん!今日もちょっとお話したいんだけど!大丈夫かな?」
と白石さんに話かけられた。
マジか、また智のいいところを聞くだけの地獄の時間がやってきたのかと思っていたら
「ごめん!絵里!今日だけは、太一をウチにかして!お願い!」
とギャルの神崎さんが頼んできた。
「うん!わかった!いいよ〜!」
「ごめんね!ありがとう!」
そうだ!そうだ!そうだ!僕には神崎さんがいるじゃないか!
白石さんはダメだったけど、神崎さんは僕くらいしかデートに行ってないし、他の男とも喋るけど僕が1番仲がいい自信もある!スキンシップも僕が1番多い!!脈ありすぎる!!
これはきたかも!
いや、でも待て太一。落ち着け。落ち着け。クールダウンだ。昨日のことをもう忘れちまったのか?これも勘違いだったらどうする?お前立ち直れないぞ?
いや、こんな美少女と2人きりでデートも行ったこともあるんだ!
脈ありではあるはず!僕はそこらへんの鈍感ラノベ主人公とは違う!自分で女の子たちの恋心に気づける男だ!
健全な男子高校生だ!鈍感なんてことはない!
よ〜し!この放課後、いっちょかましてやるぜ!
そうして、放課後になり、神崎さんと一緒に帰ることになった。
今日はなにかがおかしい!!
僕は全力でそう思いながら、神崎さんの隣を歩きながら駅への道のりを帰っていた。いつもようにマシンガントークもしてこないし、なんだか元気もなく、緊張しているようでずっと顔を少し赤らめながら俯いて歩いている。
「ごめん、太一、ちょっと遠回りしていい?」
「え?う、うん。い、いいよ。」
ちょっと待ってくれ。
これは完璧に、こ、告白で間違いないんじゃないか?
気まずそうにずっとなにかを僕に話したそうにしている神崎さん。
これは僕が察してあげて、そろそろ男の僕が切り出すのがこの世の常ではないだろうか?
「えっと、そこの公園に座る?なんか神崎さん、話があるようだし!笑」
「う、うん!そうしよう!」
いつも神崎さんらしくない。歯切れが悪い。
これはもう確実だな。告白だ。
自分からしたかったが、向こうからの気持ちを押し付けるのも粋がない。
告白を待とうではないか。
「で、どうしたの?話ってなに?」
公園のベンチに座って僕は言う。僕の春がついに来たか。神崎さんが彼女になってくれるなんて僕はどれだけ幸せものなんだ!
「え、えっと、あのね。えっと、ウチね、えっと、悠真くんのことが好きなの!!!」
「はい?」
ちょっと待ってくれ。なんて言った?悠真が好きとかわけのわからないこと言った?
整理しよう。整理しよう。
僕のことが好きだと正直99%確信していた女の子がなんだって?僕の親友の竹内悠真のことが好きって言ったか?
なんだなんなんだ?そこまで喋ってるの見たことないぞ?神崎さんが僕をいじる過程で悠真とも少し喋ってるのは見たことあったけども!
まあ悠真マジでイケメンだし、王道イケメンだからこそギャルっぽいけど中身は純情そうな神崎さんは惚れちまったのかなぁ。
うらやましいなぁ〜。悠真の首元かっきってやろうかなぁ〜。
おっと危ない。白石さんの時と同じように意識が朦朧としていたようだ。
「え、えっと、神崎さんは悠真のことが好きなんだ。それで僕に手伝ってほしいってことかな?」
「あ、うん!そうなんだ!悠真くんのことが好きなんだけど、ウチっていろんな人には積極的にいけるけど好きな人には全然行けないのよ。だ、だから今も変な喋り方になってるし。」
「へ〜、神崎さんってチャラいのは髪の色だけで、ほんとは全然チャラくないんだ〜。かわいいね〜。」
「う、うるさい!この髪はちょっとした反抗よ!」
神崎さんかわいいなぁ〜。ってちょっと強がってみたけどまじか〜。予想通りすぎたなぁ〜。好きな人にはガンガンいけないってめちゃくちゃ乙女じゃん!きゃわーー!!
まあ悠真ならしゃーないなぁ〜。
あいつかっこいいしなぁ〜。羨ましいなぁ〜。
ていうかまた勘違いしてたなぁ。まあこんな美少女たちが僕のこと好きなんてあるわけないか。
でもなんで神崎さんは僕と2人きりで過ごしてきたんだ?
もしかして悠真と仲良くなるために利用してた?
もしそうならさすがの僕でも腹立ってきたな!!
「ね、ねえ、なんで神崎さんは僕に相談するの?」
「え?だって太一、優しいし、ウチらめっちゃ仲良い友達じゃん!!」
疑ってすみませんでした。そうですね。僕の心はとても汚かったようです。神崎さんの純粋な瞳が眩しくて消滅しそう。
僕たちは友達ですね。悪気なんてないのか。
ていうか、男女の間に友情なんて成立するんだ〜。
絶対しないと思ってたけど、女子側の強い意志と男側の一方的な諦めから成立するってこともあるんだ。はいこれ名言ね。
もしかして、僕は友達にしかなれないのではないだろうか?恋愛対象にはなれないのではないだろうか?
いや、そんな恐ろしい考えはやめておこう。
全てはポジティブに考えることが大事だ!
智と悠真のおかげでめちゃくちゃかわいい女の子2人と定期的にたくさんお話させていただく企画が貰えた。
そう考えよう!
よし!得した!
な、涙なんて流してないんだからね!
明日から気持ちを入れ替えて強く生きよう。
いい出会いがあるはずさ。
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