第6話 白石絵里
というわけで、今は5月の中旬である。
そしてイケメン三人衆とはめちゃくちゃ仲良くなってしまった。
イケメンは滅びよ!リア充爆散!と思っていたが、ここまで性格がいいと人間憎めなくなるものである。
まず宮田智は、明るくてナイスガイである。
超いいやつ。
めっちゃ話振ってくれるし、コミュ力高いし、野球部だけど暑苦しくないいい距離感持ってる。
なによりみんなに優しい。
女子だけではない。男子にも優しい。分け隔てない。
クラスのみんなと仲がいい。ただ、変な関西弁だけはやめてほしいと思う。
次に竹内悠真は、とにかく僕のボケで笑ってくれるし、僕のお腹が大好き。
暇さえあればすぐに触ってくる、いたずらが大好きなやつだ。
女子とはあまり喋らないが、僕らとはよく喋る。
男といるほうが楽だからいいと言っていた。多分照れてるだけだ。こういうちょっとカッコよさとかわいさのギャップを出すことがモテる秘訣なのだろうか?僕が照れて女子と喋れないキャラかぁ〜、うん、ただのぽっちゃりインキャになるだけだな。やめよう。
バレーがうまいらしい。超いいやつだ。
最後に芦川裕二は、趣味がめちゃくちゃ合う。
ちゃんとジャンプ、マガジン、サンデーを毎週読んでるし、今期の人気アニメもすべておさえている。
そんなオタクの話もできるし、バスケもめちゃくちゃうまい。
オタクでスポーツもできるってやつって神話級の生き物だと思ってた。本当に実在するんだ。
バスケ部のエース、いっちゃんかっこいいやつやん。バスケ部特有のヤリチン感もないし。
こんな感じで僕はクラスのカーストトップにいるイケメンたちと仲良くなり、確固たるポジションを確立することができたのである。
そして今日も僕はいじられる。
「おい太一!下向いてくれよ!」
「はいよ」
「わはははは!二重アゴやばすぎる!わははははは!」
こんな感じで。
最高だ。
高校に入る前に考えていたポジションになることができた。
さて、次のステップに向かうとしようか。よ〜し、モテるか。
僕はこのクラスで完璧ないじられポジションについた。
そしてさらにイケメンたちとほぼ行動を共にしている。
つまり、だ。
女の子に話しかけられる、または話しかけても別に不自然なことではないということだ。
しかし、だ。
僕の周りにはいつもイケメン三人衆がいる。
自分で言うのもなんだが僕のグループはトップカーストすぎて一応話しかけずらいグループではあると予想していた。
その心配は無用だったようだ。
コミュ力バケモンの智がいろんな人に話しかけるおかげで僕もクラスの人たちと話せるようになったのだ。
そして僕は結構いろんな人と仲良くなれた。
もちろん女子もいる。
「太一くん!太一くん!数学の宿題、するの忘れちゃったから、見せてくれない?お願い?」
こうやってかわいく首をこてんっと曲げて上目遣いで絶対に男が断れない感じでお願いしてくるのは、隣の席の白石絵里さんである。
白石さんは、黒髪の綺麗なロングで明るくてみんなから愛されている典型的な美少女である。
いわゆるこのクラスのマドンナだ。
学級委員もしていて、同じく学級委員になった智ともよく喋っている。
そんな誰もが羨む白石さんと隣の席になった僕だが、男子たちから憎まれたり、嫉妬されたり、喋っただけでクラス中から舌打ちが巻き起こるようなことはない。
なぜなら僕がいじられキャラだからである!
まぁ、太一ならいいかという空気が流れている。
なぜなら僕は丸いから!
男子たちはみんな、太一だけは恋愛対象にならないだろうと思っている。
ふふふ、ふーハッハッハッ!甘いな男どもよ!この前、ネットで、男は顔ではない!という記事を見た。
男に必要なのは「おもしろさ」らしいぞ!
いくらイケメンでも面白くないと愛想を尽かされるらしいぞ!
はい、勝ちました。
この隣の席というアドバンテージをフルに活用して、僕をなめりくさっている男子たちにひと泡吹かせてやるわ!
さらに、だ。
白石さんは僕にめちゃくちゃ話しかけてくるし、僕のボケで笑ってくれる。
さっきもミートボールのモノマネをしたら、涙を出すほど笑ってくれた。
これはもしかしたら、もしかするかもしれぬぞ。
こんなスーパー美少女と僕が付き合うかもしれぬぞ!
話を戻そう。
「白石さんは、しょうがない子だなぁ〜!
はい、見せてあげるよ。」
「太一くん!ありがとう!えっ、なにこれ?キャベツ、豚肉、ニンジン」
「あっ、ごめん、それ、今日食べたい晩ご飯のレシピだった!」
「ちょっと〜!なにやってるの〜!!」
白石さんは爆笑している。
完璧だ。
これはこのままいけばいい感じになるかもしれない。
いや、落ち着け僕。
僕はモテたことはない。
希望はもたないほうがいい。
でもなぁ〜、これはなぁ〜、脈ありなんて思っちゃうよね〜!男は単純なのである!女の子に笑いかけられただけで、「俺のこと好きなのかも?」とか思っちゃう可哀想な生き物なのである。大目に見てやってほしい。
でもいやぁ〜美少女と話せるなんて学校楽しい〜!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます