ばいばい、またね。
3分タイマ-
第1話
ばいばい。
またね。
またね。なんて望んじゃいけないから
ばいばい。
またね。
の、またねをずっと、心の底にしまいこんで
さようなら。
★ ★ ★
「運命の相手はいるとおもう?」
「……。んっ。いるとおもうよ。」
「貴方は会えた?」
「……さぁ。どうだろうね。」
「私はきっと、会えたんだと思う。」
「そぅ。」
「別れてもいーい?」
「んっ。いいよ。……お幸せに。」
なんとなく、なんとなく、二人はくっついて
別れるときには理由があって、
その音をドア越しに聞いていて、あたしは泣いた。
その予兆なんて全くなかったのに、終わりはいつも突然に意図的にくるの。
「私と、パパとどっちと暮らす?」
って、ママはことの説明をしてから困ったように聞いてきた。
「別れないって答えはないの?」
あたしは、それを泣かないようにして答えたけれど、その疑問にパパは模範解答のように答えた。
「別れてもキヨは君のお母さんで俺は君の父親だよ。」
そんな答えはあたしはいらない。
それでも、ママがでていくのなら
「あたしは残されるほうと一緒にいるわ」
あたしは、パパといることを選んだ。
パパは相変わらずにパパで、いつもと同じようにママがいなくなっても同じように生活をしていた。
休みの日になると、掃除機をかけるし、洗濯物もキレイに干す。
おやつには、パンケーキを焼いてくれた。
お気に入りのラジオだって平気でながすの。
いつもとかわらない日曜日にママだけがいない。
ママのいないテーブルで私はホットケーキの上で溶けるバターを見ていた。
「別れるくらいならどうしてママと結婚したの?」
「縁があったからだよ」
パパの答えは相変わらずに模範解答で、うんざり。あたしはパパの答えは嫌い。
「終わってしまう縁なら縁じゃないね」
「切れない縁には俺には縁がないみたいだから。」
夜に布団のなかでくるまって、あたしはパパとケンカごしに話すの。
縁がきれないように、パパは努力をすべきなのよ!
「ママを迎えにいってよ。」
「ママが自分で選んだんだよ」
「パパがそんなんだから、ママはでていくの」
パパはその答えには答えなかった。
あたしは神様に祈るの。
どうぞ二人が仲直りしますように。って。
はやく、ママが帰ってきますようにって。
ママがでていっても、ママはパパのうちによく遊びに来るの。でもママは夜になったらこの家からでていって自分の家に帰るの。
そのママのうちにはあたしの知らない男が住んでる。
パパよりも、年下の男だ。
あたしはそのことにますます悲しくなってパパが可哀想になった。
でも
パパとママは相変わらずなの。
出ていく前とかわらない、
かわったことは、ママがお洒落に気をつかうようになったことくらい。
あたしはそんなママが少し嫌いよ。
お洒落をするママなんて大嫌い!
「私、再婚するかもしれない」
なんてママはパパに嬉しそうにお酒を飲んだ勢いで幸せそうに言っていた。
ママなんて、パパ以外の人となんて幸せになれるわけないじゃない。
洗濯物だって、料理だって、きちんとできない人だもの。
ママは贅沢だわ。一人前じゃないのに、スーパーマンのようなパパでないとママのお世話なんか無理なんだから。
あたしはママが少し不幸になってこの家に帰ってきますように。と、神様に祈ったの。
けれどもパパはその反対を神様に祈ったんだって。
ママが幸せになれますように
って。
なれたのなら、良かったって。
あたしは、
声を出してないた。
だったらあたしがパパの幸せを祈ってあげる。
神様に
神様に
何度でも
何度でも。
それから、しばらくしてあたしは犬を拾った。
首輪もつけていないし、雨の中びしょ濡れでクンクン鳴きながら道路をさまよっていた。
家のドアを開けたら勝手に家の中にはいってきたから、飼うことにした。
外は雷が鳴っているし犬は怯えて震えているし、おしっこも漏らすし犬はあまり賢くなさそうだ。
風呂にいれて暴れる犬と戦ってあたしも犬もぐったりして、リビングで仲よく大の字で寝転がっているとパパが帰ってきた。
「ただいま、帰ったよ」
律儀に毎回そういって、リビングのドアを開けるとパパは持っていたスーパーの荷物をドサリと手からおとして震える口を隠すようにして
「あずべると」
と、驚いたように声をもらした。
「あら、パパこの犬のこと知っているの?」
とても馬鹿な犬なの。
パパは暫くして、知らないと答えてから動揺を隠すようにして笑って、
犬はかえないから
飼い主を探してあげよう。
ってむりやり笑顔をとりつけて笑った。
警察にパパと一緒にいって、迷子の犬を保護したことを伝えて町中にポスターを貼って犬の飼い主を探した。
飼い主はあらわれなかった。
あたしも、パパもこの馬鹿ないぬを保健所に連れていく勇気はなかった。
馬鹿な犬はとても運のいい馬鹿な犬になった。
あたしは犬をアズベルトって呼ぶことにした。
馬鹿なくせに、大層立派な名前を犬はつけてもらえた犬は、少し可哀想かもしれない。
パパは犬の世話なんかしないから、全部あたしが見るようにと、何度も何度もいってきた。耳にタコができるくらい。
いいわよ。それで。
でも、今、犬の世話をしているのはパパ。
だって、あたし、遊ぶのに忙しいもん。
いつもいつも馬鹿な犬の世話なんてしてられない。
だって、アズベルトは本当に頭がわるいの。
お手もちゃんとできないの。
「お手」っていうと、両手があたしの手のひらに乗っかるの。
違う違う。
だからおかわりもできない。全部両手なの。
待ても出来ない。
なんて馬鹿な犬なの?あたしは嘆いた。
そしたらパパは
「しょうがない。少し頭が足りないように作られたんだ」
と、珍しく面白い答えを返した
だから、私もテストで悪い点をとるたびにパパに言うの。
「仕方ないじゃない。神様があたしの頭を悪くつくったんだから」って。
パパはそのたびに嫌そうな顔をしてうんざりしたように顔を背けた。
あたしはペロッと舌をだしてそ知らぬ顔でリビングから二階にあがり漫画をよんで勉強をしないで寝た。
テストは32点。
パパはアズベルトとかわらない
って、次の日の朝に、パンをアズベルトにあげながら、あたしに聞こえるように、わざぁとアズベルトに言っていた。
あたしは高校を卒業して、大学生になって社会人になって、ママは再婚して、パパは年を取ってアズベルトも年を取ってアズベルトはヨボヨボになった。
それから、アズベルトは病気になってパパは治療をしないと結論をだした。
「ひどいわ、パパ。アズベルトはまだまだ生きたいのに、どうして病気を治してあげないの?アズベルトはいきたがっているよ」
あたしは、パパの答えにつかみかかるようにして乱暴に言葉をパパにおくった。
パパはアズベルトを優しく撫でて
「痛い思いはアズベルトはしたくないだろう」
って、アズベルトに聞いた。
アズベルトは、パパに甘えたような声をだしてしっぽを振っていた。
「治療をすればアズベルトはまだまだまだまだ生きられるのに‼」
あたしは、パパからアズベルトを奪って泣きながらパパを説得する。
いや、できなくてもいい。
「あたしがアズベルトの治療費をだすわ。だから、パパなんてもう、知らない‼あたしが助けてあげるわ。アズベルト」
「やめてくれ、アズベルトに痛い思いをさせないでくれ。」
パパはあたしの言葉にショックを受けたように顔面を蒼白にして珍しくたじろいだ。
「これ以上、アズベルトに酷いことをしないでくれ。アズベルトは安らかに死にたいんだ。幸せに死にたいんだ。病気と戦うために生きているんじゃない。病気を治すことよりもなぜアズベルトに幸せな最後がおくれるようにと…………。」
パパは言葉を詰まらせて、その時あたしは初めてパパの真意をしった。
あたしは泣きながらアズベルトに、夜に、パパがいないところでアズベルトに助けてあげられなくてごめんねごめんね。と泣いて謝った。
アズベルトはぺろりとあたしの涙をなめた。
アズベルトは生きたいのに生きたいのに、こんなにも生きたいのに‼
でもパパは病気の治療なんてさせないって言うの。
このこは、こんなにも、生きたがっているのに!
暫くしてからどうにもこうにも、我慢ができなくなってあたしはパパと毎日のようにアズベルトのことでケンカをして、アズベルトはそのたびに二人の間をふらふらふらふら心配そうに、彷徨っていた。
「パパなんてだいっ嫌い。もぅ知らないわ。でてってやるわこんな家。」
今までママに逃げられたパパが可哀想だったから結婚もしないで一緒にいてあげたの。
さよなら薄情なパパ。
捨て台詞を吐いてパパが傷つく言葉を選んで
あたしは逃げるようにして恋人と結婚を決めた。
寂しい思いをすればいいのよ。
そしたらきっと気がつくわ。
アズベルトがいなくなったらパパが一人になっちゃうことに。
だからだから
お願いよ。パパ。
アズベルトに病気と戦うチャンスをあげてよ。
あたしは家を出てパパから連絡がくるのをずっと、ずっと待っていた。
パパが必ずアズベルトを生かす道を選んでくれることを望んでいた。
けれども、
それから、暫くしてアズベルトは死んだ。
死んだときに
パパはあたしにその連絡をくれなかった。
アズベルトが死んで何日かたってからあたしはそのことをしった。
あたしは怒り狂ってパパを結婚式になんてよんでやらなかった‼
許せない
許せない
許せない‼
絶対にあたしはパパを許さない‼
あたしはパパのいないバージンロードを一人で歩くつもりでいた。
誰にもあたしをエスコートさせる役はあたえない。
あたしは一人で歩くわ。
それなのに、
誰の思惑か、その日当たり前のようにパパはいた。
差し出される腕に大嫌いなパパの腕に大嫌いな自分の腕をまわして、涙が勝手に溢れてあかい絨毯を濡らす。
ぽた
ぽた
ぽた
ぽた
まるでお葬式みたいに。
勝手に勝手に想いが溢れて言葉は口にはできなくて、あたしはパパに添えられて旦那がいるところまで神様に愛を誓うところまで守られるように寄り添って歩いた。
「病めるときも健やかなるときも側にいて寄り添い愛することを誓いますか?」
『誓います』
その言葉は
かつて、この場所で愛を誓いあった
父と母の前で重なった。
あたしたちはその、誓いを違えない。
間違いは犯さない。
運命の相手は一人だけでいい。
だから
だから、
お願いよ。
神様
二人の運命を弄ぶような真似はやめてよ。
あたしはひとつ本物の愛だけが
かわらないものがほしいの。
結婚をして、新しい戸籍を手にいれて
あたしは二人の養子だったことをこの時初めて知った。
ママから生まれていないの?
パパの、血は混じっていないの?
あまりの衝撃に手が震えて戸籍をしっかり見られない。
そのときのことはあまりよく覚えていない。
衝動的にママに電話をして
本当のことを教えて
と唇を噛み締めていったことだけは覚えてる。
『子供が生まれなかったからあたしを貰ったの?』
『ちがうわ。子供はできなかったの』
ママは肩の力をぬいたように、憑き物がとれたような声色だった。
『パパとママね。そんな関係じゃなかったのよ。最初から。』
『どーゆー意味?』
『パパねぇ、忘れられない人がいるのよ。ずっとずっと。だからね、結婚するときに言われているのよ。あたしのことを一人の女として愛せないって。ママはね、それでも良かったの。私とあの人はね、親のすすめで夫婦になったの。でも、とても楽しかったわ。幸せだった。今は別の人とママは結婚をしたけれど、パパとは兄弟のように、なんでも話せたわ。』
『……それなら、どうして、あたしを引き取ったの?あたしはなんなの?二人のなんなの?』
『あたしたちの子供よ』
『綺麗事なんていわないでよ。仮面夫婦のくせに子供だけはいっちょまえにほしかったのね。』
そして、捨ててでていったのね。
あたしはママとの会話を途中で切ってパパに電話をかけた。
そのコールは突然につながった。
『どうした?』
いつもと同じように同じ声色で話してくるパパにあたしは刃を身のうちに潜ませてパパと話始めた。
『あたし、パパと血が繋がってなかったのね。』
パパは息をのんでそれから
『あぁ』
と、思い出したように呟いた。
『どうして教えてくれなかったの?』
その答えを聞いてからあたしは思う存分に罵詈雑言を浴びせるきでいた。
綺麗事も正論も鬱陶しいだけ。
だからあたしが傷ついたように同じ痛みをパパに背負わせてやる。そのためにこの世で考えられる汚い言葉でパパを罵ってやるきであたしはいた。
『血がつながっているとか、違うとかそんなこと、どうでも良すぎて忘れていたよ』
それなのに、パパが、そんなことをいうもんだから
あたしはすっかり
言葉にできない想いがぐるぐるうずまいて、
このまま自分もバターのように溶けてしまえばいいのにと思ってしまった。
『ママのこと愛してなかったのね』
パパは、ふっと笑った。
『……。家族として愛していたよ。』
『嘘よ。仮面夫婦だったくせに。忘れられない人がいるんでしょう』
『いるよ。ずっと。でも、忘れたくて仕方がない。それなのに、忘れることができなくて、辛いよ。本当に忘れたかった。でも、ずっと出来ない。忘れて過去にして前に進みたかったけど、大事なものは全部過去にあるんだ……。どうしてなんだろう?前に行きたいのに、俺は前にはいけないんだ。』
その感情の吐露に、疑問に、あたしはこの孤独な魂をもつ父のもとに来て
『あたしと過ごした日々はどうだったの?』
『とても幸せだったよ。俺に普通の暮らしを与えてくれて有り難う。』
あたしもなにも知らないで幸せに育って
『あたし、性格がワルいの。パパに似たんだわ、きっと。』
パパもきっと、人並みの家族が欲しかったのかもしれない。
私は本当にパパを幸せにするために来たのかもしれない。
だって、だって、パパと共に歩んできたんだもの。
『んっ。そうかもしれない。お前だけは幸せになって、好きな人と結ばれて、それから、それから、普通にしあわせになって、好きな人と結ばれて、家族になって、子供を作って、皆ができることを、お前は、ふつうに、てにいれて、過ごすんだ。』
俺にはできないことばかり、
おまえは、あたりまえにできるから。
最後まで幸せでありますように。
「パパって、いつも祈ってばかりね」
パパらしいと思った。
そして、そんな父親に育てられた私に祈りをいつも身近に感じさせるその優しさに、私の中にあるアイデンティティーは、心もとないものになった。
「そのうち、子供が生まれたら、パパは、ジィジになるのよ。普通の幸せよ!」
パパの息を呑む音が聞こえた。
「‥‥‥赦してくれて、ありがとう。」
その続きの声は電波の遮断でかきけされた。
久しぶりにあったとき、父は病院にいた。
脳梗塞だった。それから、誰もがなりえる病気もついでにみつかり入院生活を送っている。
病院に行って、父といろんな話をした。
それから、ずっと父親が隠していた【秘密】を知った。
父の前にすっと一人の写真をだした。
父のアルバムには、私達家族のアルバムがリビングに堂々と飾られているにもかかわらず、このアルバムはひっそりと、けれども丁寧に押入れにしまわれていた。
病院に必要なものを揃えるとき、偶然に見つけた隠された秘密。
私達、家族が知る前の思い出だった。
そのアルバムには学生時代から社会人、そして、病院のところで終わっている。
「この人が忘れられないのね。」
パパは、その写真を見るなり、瞳をゆらがせて、ただ時がとまったようにかたまり、そのうち
ポタ
ポタと涙を流した。
はじめて見る父親のなみだに、私は父を抱きしめた。
父の秘密に私は言葉を選んだ。どれもデリケートで言葉にしてはいけないと思えた。
墓場までもっていこうとした秘密だったのだろう。
パパが何故、ママを愛せないのか。そして、子供ができなかったのかわかる。
それは、わたしにも隠しておきたいものだったに違いない。
「もし、万が一だけど、この写真はパパが死んだとき、棺には入れておいてほしい?」
なぜ、パパがアズベルトの治療をあんなに拒んだのか今ではわかるの。
アルバムをめくるたびに、写真の中の【彼】は、どんどん、醜く病的になっていく。
父は怯えたのだ。せまりくる死に。
そして、生きた証を何枚も撮ろうとした。
ピントがあっている写真の前の【彼】は、いつも笑顔で痛々しさなど微塵も感じさせないピエロだった。
けれども、父が隠しどりしたものとおもわれる時の【彼】は、幽鬼のようにひどく危うい存在に見えた。いきることにつかれきった姿が、とても痛々しかった。
なにより、あんなにも苦しい治療をうけるだけうけて、【彼】は死んだ。どんな治療を受けているのかわかる。
だって、パパと同じ治療を受けているから。
目の前のパパも写真のなかの【彼】と同じ。
皮膚はむくみ、足は象のようにパンパン。それなのに頬はごっそりとこけおち、目だけが異様にギラついている。
しばらく、黙り込んだパパは、その写真を離さないくせに、棺にはいれないでいいと言う。
「未来にいきたい。」
まるで祈るように、その強さで写真は少しクシャクシャになった。おでこに握り込んだ写真をあてて‥‥‥。
なんども忘れられないひとがいる。
と、過去に言葉を発していた父の想いは‥‥
いまだに今をさまよっている。
写真をにぎるパパの手を私は包み込んだ。
「もう、忘れないでいいのよ。」
ほんとうなら忘れてしまえばいい。
未来で生きていくために、過去にしないといけないのに。
子供の私なら、きっと、
パパを苦しめないで、とか、さっさと、忘れてほしい
と、きっと思ったわ。
パパのために、私のために、忘れてと。願ったわ。
でもいまは違う。
「忘れないでいいのよ、パパ。」
パパは忘れようとした。
ママと結婚して、“普通の人”になろうとした。
私を養子にして、“普通の家族“をつくった。
ママの幸せを誰よりも願ってた。
だから、ママが好きな人のもとへ行った時、おいてかれたにもかかわらずパパはどこまでも穏やかだった。
私を誰より大切にそだててくれた。あまり怒られた記憶なんてない。小言は多かったけど、
幼児時代、肩車で帰った夕焼け小焼け。
小学生、パパと作ったバレンタインのチョコ。
高校生、パパの影を踏んで歩いたスーパーの帰り道
「アズベルトの写真だけはいれてもらってもいいかな?」
パパが治療をさせないで、死んでしまったいぬ。
「それでいいの?」
パパは静かにうなずいた。
しずかに、
しずかに、
パパは死に近づいていった。
それは、とても緩やかだった。
パパが目を二度と開かず、心電図がピーとなった。
私はパパの瞼に、長い長いキスをした。
「愛してるわ。」
パパの棺には、約束したとおり、アズベルトの写真。
それから、あの日、パパが病院でクシャクシャにした写真は、私達の家族写真の横。
パパの隣で無邪気に笑ってる。
あなた達が忘れても、私は忘れないから。
どうか、わすれることをのぞまないで。
どうか、忘れなければならないなんて、悲しまないで。
忘れられない一瞬をすごしたくせに。
戻らない記憶にとらわれたままで。
抜け殻になった愛を何度数えたら‥‥
明るくなっていく空に、パパのいた病室に光はさす。
ばいばい、またね。 3分タイマ- @3set2timer
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