ユラの噂と王国のポーション事情(改)

ミラブルの森でユラによって助けらたパラオラース達は、テレストギルド調査隊に救われ、テレストの町に戻った。


パラオラース達は、ミラブルの森で起こった事を、冒険者ギルドマスター、カタルスに報告をしていた。


シシル達が、あり得ないくらいのコブリンの群れに襲われた事を説明した。


ギルマスのカタルスは、報告内容に驚いていた。


「キングにロードにメイジにクイーンだと!」


シシルは、ハッキリ返事をする。


「はい!コブリンだけでも数千はいましたね」


「そんな巨大コロニーが移動して来てよく生き残ったな、Sランクパーティーでも無理だぞ!」


シシルは、パラオラースを見る

パラオラースは頷きギルマスに詳細を報告する。


「助かった理由は、私が説明します。

結果から言うと私達は、全員がコブリンに捕まり脚や腕を折られ服も剥ぎ取られキングの前にさらされました。」


捕まって腕を折られたと聞いてギルマスも周りもざわつく


「そんな悲惨な状態でよく助かったな、しかもあれだけ奥地だと、誰も付近には、いなかっただろ」


「はい!私達は全員諦めてました。でも助けが来たのです!

信じられない助けがね。シシル」


シシルもあの時の奇跡を思い出し返事をする


「はい!私達は、森の妖精に助けられました」


ギルマスは、完全に馬鹿にして正直に話すように発言する


「はぁ?妖精だと!バカな事言ってないでちゃんと報告しろ!」


ライスもあの時の奇跡を馬鹿にされたように思い席を立ち声をあげる。


「嘘じゃない!私達は、妖精が従えてたラースキラータイガー5体によって救われたんだ!どれも体長は、3mを超える巨体だったんだ!」


会議に参加してたギルド職員達が、一斉に驚きの声をあげる


「「「ラースキラータイガーだとー!」」」


「災害級の魔物だぞ!」


「それも5体だと、あり得ねぇー!」


パラオラースもギルマス達の反応に納得し、その時の自分達の気持ちを話す。


「そうなりますよね普通…

私達も信じられませんでした。

コブリンキングや複数の上位種だけでも驚きなのに、その上にそんなSクラスの魔物何て、現れた時絶望しかなかったですよ。

ほんとここで死ぬんだと…」


ギルマスもSクラスの魔物の凄さを話す


「だろうなあ… あいつら一体で町ひとつ簡単に壊滅する。

それに何年か前に、Aランク冒険者数十人のパーティーで、ラースキラータイガーに挑んでパーティーは全滅したと聞く、そんなやつらがあの森に数体って、そら絶望しかないわな…」


パラオラースは、あの少女を思いだしながらあの時の出来事を語る


「私達誰もが諦めた時、その巨体の背中からフードを被った子供が降りて来たのです。

その後ラースキラータイガー達がそれぞれ散って、コブリンやメイジ、ロード、キングも、あっという間に瞬殺したんです。

もう次元の違う戦いを見てるようでした。」


ギルマス達は、災害級の魔物の背中に少女が乗っていた事に驚いていた。

それに災害級の魔物とキング達上位種の実力差にも驚いていた。


「災害級がいくら凄いからってゴブリンのキングを瞬殺って…これ評価見直し必要だな」


「パラオラースさんが助かったのはわかったのですが、皆さん骨折するほどの重傷だったんですよね。

どうして治ってるんでしょうか?」


パラオラースは自分達が重傷からどうして回復したかを説明をする


「私達は、あの子供が来てくれなければコブリン達に、なぶり殺されてたでしょう。

私達は、皆どこかの骨が折られ複数箇所殴られ重傷でした、それがこの状態です」


シシル達が飛びはねて見せる。


ピョンピョン


「この通り、前に痛めた古傷も治ってるよ」


「はぁ?」

「そんな事ってある?」

「いやいやここまで治らないだろ…」


皆が騒ぎ不思議そうに見つめる中パラオラースは、少女から渡されたポーションの事を話す


「私達はゴブリンから助けられましたが、話した通り皆重傷でした。

シシル何かは特に酷かったと思います。


そんな私達の姿を見て、その小さな子供が、きれいな色の回復ポーションを渡して来たのです。


それを飲んだとたんに身体が温かくなり、1時間近くお湯の中にいるような気持ちいい感覚が続き、気がついた時は、完全に完治してました。」


ギルマス達は、あり得ない報告に信じられないを連発するのだった。


「嘘だろ!信じられねぇ」

「そんなの信じられないわよ」

「そんな事ってあるの?」


パラオラース達も正直な気持ちを述べる


「私達だって驚いたんだから!」


「ほんと凄かった…びっくりの体験」


「ほんと気持ちよくて飲みやすくてびっくり」


「皆さん!私は数少ないポーション職人です!

その私が、まだ経験したこともない回復ポーションの効果を体験したんですよ!

一番驚いてるのは私なんです!

私では作る事のできないポーションなんです!

それがどんな事かわかりますか!」


興奮するパラオラースにライスが声をかける


「パラオラース様!お気持ちはわかりますが落ち着いてください!」


パラオラースは皆があまりにもポーションの効果の意味がわかってないので興奮してしまっていた。

落ち着いて説明を始める


「失礼しました。

あの子供から渡された回復ポーションは、おそらく高品質のポーションだと思います。」


周りがざわつく


「だとしたら凄いな、その子供に感謝しないとだな」


「ほんとあの子に感謝しなきゃ冒険者をまた続けられるんだから」


予想通りの反応にパラオラースがため息をつく、これがポーションについての理解力の無さか…


「はぁー 皆さん、事の重要性を全く理解してないのですね。

このポーションの件は、重要案件です。

王都の私の上司に至急報告します。

ほんと、私達の未来の希望が見えました。」


ギルマスのカルタスが説明を求めて来る。


「パラオラース様説明を!もっと俺たちにもわかるように教えてくれ!」


さて説明して、どこまで理解して貰えるのか…

少しでも理解して貰えばいいか…


「わかりました。皆さんこの国いえ、世界と言っていいでしょう。

私達が、怪我とか病気になった時の回復手段はご存知ですよね。」


「ああ、治癒とか回復するような魔法はないってか、使えないと聞いてるから、病気は、薬師の薬草煎じたお茶で治す。

怪我と回復は、わずかに出回る回復ポーション使うしかない。

でも効果はあまり期待できない」


パラオラースは頷きポーションについて説明する


「そうです。私達の世界は魔法による回復手段はなく、薬師の効果の薄い薬草茶と、低品質のポーションだけです。

私達の作ったポーションは、非常に飲みにくく、最近になってやっとギリギリですが中品質のポーションが、できるようになりました。


成功率はかなり低いです。


こんな状況で、今各地で今疫病が流行ってます。

死亡率も高く、特に子供が発症すると80%死に至ります。

原因もわからず、辺境から広がり始め現在国の20%にまで広がってます。

対処方法はなく、絶望的な未来しか見えません!」


ギルマスが質問する


「パラオラースは、ポーション職人だろ、そういう疫病に効果のあるポーション作れねぇのか?」


パラオラースは目をつむり首を振る


「皆さんに、私達ポーション職人の現状を教えましょう。

そしたらなぜ品不足になるほど、薬草がいるのかわかるはずです」


パラオラースは分かりやすく説明を始める


「現在ポーション職人は、私を含めて3人です。

後の二人は低品質のポーションの作成成功率は30%です。私で50%それも仕入れて使える薬草を選別してです!」


「それで薬草依頼が多いのか」



「ポーション作りは、主に薬草の成分の抽出が一番のポイントなんです!

各地のギルドから毎日届く薬草は5kg、その内使える薬草は、2kgその薬草を使って抽出に成功するのは1kg、そこから水と魔力の調合に成功するのがだった500gですよ!」


ギルマス達は、ポーション作りの現状を知り驚く


「そんなに悪いの?」

「全然知らなかった」


パラオラースが解りやすく紙に書き説明する


「整理するとこうなります」


☆薬草使用量とポーション成功率☆


HP回復ポーション低品質 使用薬草2kg 作成成功率30% HP回復率20% 軽傷修復率30% 激まず (注)重傷は回復不可


HP回復ポーション中品質 使用薬草5kg

作成成功率5%

HP回復率40% 軽傷修復回復率50% 激まず(注)重傷は回復不可


ギルマス達も成功率の低さに驚く


「ポーション作成むちゃくちゃ大変なんだ、知らなかった」

「うわーこれ無茶苦茶大変だ…」

「うんうん、これ見てたらポーション職人が少ないのわかる気がする。」


パラオラースは、自分達の事情がわかって貰え少し気持ちが楽になる。


「HP回復ポーションでこの現状です。病気を治癒する状態異常回復ポイズポーションやエックスシールポーションとなると、更に違う種類の薬草が増え抽出問題、合成率とさらに問題が増えます。

残念ながら今の私達では無理です。」


肩を落とす職員達


「そうか、すまない」

「そうよね、そんな簡単じゃないよね。」


パラオラースは、再び職員達に目を向ける


「これで事情わかっていただけたと思います。

そんな現状にある私達が、森で私が体験した高品質のポーションですよ!

もう凄い事なんですよ!

絶望しかない未来に光が射したのです!」


ギルマスが声をだし頷く


「なるほど!そう考えたらホントに凄いな」


皆が納得したように頷く


「あの回復ポーションを作れる方なら、今流行ってる疫病に効く、ポーションも作れるかもしれません。

ひょっとしたらもう作ってるかも知れませんね。」


パラオラースは、ギルマスに依頼をする。


「あの子供の情報がほしいですね。

カタルス様、何でもいいのであの子供の情報を集めて下さい!

特長は、シシルさん達に聞いて下さい。

私は上司に報告があるので、ここで失礼します。」


バタン


ギルマスのカタルスは、残ってる者達に指示を出す



「シシルその子供の特長を、報告書に書いて、職員に教えてやってくれ、皆で情報共有して、その子供の情報を手に入れてくれ、この国を救うかもしれない子供だ!

そのつもりで対処してくれ!もし見つけたら丁寧な対応に心掛けてくれ」


「「「はい!」」」



☆・☆

パラオラースは、パドラと合流して新しい拠点に戻っり、王都の諜報部に短文信号で情報を送った。


あの子にもう一度会えるかしら




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