ユラに助けられたポーション職人のお姉さん(改)
私はパラオラース、数少ないポーション職人の一人です。
この世界は、様々な魔法が使えるのに、治癒魔法だけ文献にも残されているのに誰も使うことができません。
ほんと世界の不思議の一つです。
私も昔は、天才魔導師と言われ、4属性の魔法を使いこなしていました。
数々の文献を読み治癒魔法を使おうとしたが、やはり発動しないのだ。
詠唱も合ってるのにだ。
他の魔法なら、唱え始めると途中から体の中に魔力循環が始まるのに、治癒魔法だけは、身体に何も起こらない…
まるで封印されてるような不思議な感じだった。
私がポーション職人になったきっかけが、ある辺境の村で病が流行し、多くの人々が倒れ、私は何もすることができなかった。
しかも、そのほとんどが抵抗力の弱い子供だったのだ。
これがきっかけで、私の中で何かが変わった。
この時ほど自分の無能さを憎んだ事はない…
この世界には、回復手段がほとんどないに等しい、薬草の煎じ薬で治らなければ、死を待つのみのこの世界を変えたいと思った。
書物には回復ポーション、ポイズポーション、エリクシール、エリクサー等、どの薬草が必要なのかは記されているのに、工程が難しいのか、誰も作ることができないのだ。
今やっと二人の薬師の女性が、低品質の回復ポーションを、作ることができるようになったらしい…
私もこの状況を変えたくて、様々な疫病に苦しむ人々を助けたい…その思いでポーション職人になる決心をした。
あれから5年やっと、ギリギリ中品質の回復ポーションができるようになった。しかし成功率が低く、とても流通できるまでには至らない…
状態異常回復薬のポイズポーション、MP回復のエリクシールなど、今のレベルでは、誰も作る事はできないだろう。
それに、何故か年々ポーション作成の成功率が下がってる気がする。
このままではダメだと思い、私は良質の薬草を求め、今いるモントペールから、ミラブル大森林の入り口の町テレストに私の護衛ライスとパドラと一緒に移った。
テレストの町は、ミラブルの森に近い事もあり、冒険者ギルドの規模も大きく、高ランク冒険者も多く集まっていた。
「テレスト冒険者ギルドなかなかいいわね。大きくて活気があって、依頼も多そうね」
護衛のライスも頷くも、パラオラースに近づく者を警戒していた。
「パラオラース様、人が多いと言う事は、トラブルも多くなります。警戒をお願いします」
パラオラースはライスの言葉に頷き、護衛達に指示をする。
「わかったわ、森の状態も確認したいから、薬草採取も兼ねて高ランクの冒険者の護衛を頼みましょう。
パドラ、あなたはこの町の状況調査と、拠点となる家を捜して頂戴」
パドラは、命令を受けギルドを出る
「わかりました。では行ってまいります。ライスご主人様を頼んだぞ!」
「任せて」
私は、護衛のライスと、ギルドで頼んだ護衛Aランク冒険者のシシル、Bランク冒険者のルーパス、Bランク冒険者のローザ達とパーティーを組んでミラブルの森に向かった。
森に入ってから、Aランク冒険者のシシルが森の状況を説明してくれる。
「パラオラース様、この森はブリンカー国でも1,2の広さだと言われています。
森の中心部まで数百キロとも言われいて、中心部に近づくほど良質の薬草があるのではないかと、言われてます。
パラオラース様は、薬草をお求めと聞いていますが、残念ながら入り口より30km付近までは、ほとんど薬草は採取出来ません。
おそらく50km付近まで行かないと、薬草の採取は難しいかと思います。」
パラオラースは、森の状態を観察しながら進み、奥に入れば入るほど魔素の状態がよくなるのを感じた。
『この森なら奥地に行けばかなり高品質の薬草が手に入りそうね。』
シシルの説明で30km付近までは、薬草類はないと言われ、薬草があるのではと推測される50km付近にあるかも知れないと言われ、シシルにとにかく薬草を確認するまでお願いする。
「わかりました。とにかく薬草を確認したいので案内をお願いします」
シシルもパラオラースが薬草が確認できるまでと言われ、強力なウルフハウンド系の魔物に備え隊列を組み替えた。
「わかりました、では隊列を変えます、先頭を私シシルが後、ルーパス、パラオラース様、ライス様、最後にローザで行きます」
「はいそれでよろしくお願いします」
私は、森を観察しながら進み、そろそろ薬草が生えてそうな雰囲気の場所が現れ始めた
「何か今までの森よりもいい感じだわ」
私達は休憩に入り、皆で談笑を始めた時森が騒がしくなる。
グォーーー
グギャグギャ
ギャギャ
「皆警戒!戦闘準備ゴブリンの群れだ!」
シシルは、群れが見えた瞬間、剣技刃斬旋風を放つと数十匹のゴブリンがバタバタ倒れる
「凄いこれがAランクの実力」
ルーパス達も次々と風刃を放つて先頭の集団をほぼ壊滅させた
パラオラースは3人の実力を見て、これなら問題なく、薬草の採取までできそうだと思っていた。
ゴブリンの集団を撃退して一息ついた時、大きな地響きとまたゴブリンらしき声が聞こえて来る
シシルは退却をパラオラースに申し出る
「パラオラース様!これはちょっとまずいです。おそらくゴブリンの上位種が、何体かいると思います。
先ほどの集団は、偵察部隊と思われます、かなりの数です。」
パラオラースは頷き退却に同意する。
「皆さん無理に進むのは、やめましょう」
シシルも全員に撤退を伝える
「ありがとうございます。皆聞いての通りだ!撤退します!」
しかし私達が行動を起こした時は、すでに囲まれてしまっていた。
ローザが叫ぶ
「後方よりゴブリン!多数接近中」
すると突然雄叫びが聞こえる
グォーーーーーー!
グホォーーー!
「これはかなりの上位種!しかも複数いる、まずいわ!」
パラオラースは混乱しそうになるパーティーに指示をする。
「皆さん落ちついて!今は、よけいな事を考えないで、とにかくゴブリンに集中してください!
ゴブリンは数で押して来ます。できるだけ砲擊系を放つて対処してください!
シシルさんあなたは先ほどの剣技を連発してください!
決して飛び込んで剣技を使うことをしないで!」
シシルは、パラオラースの指示に驚いていた。
「わかりました。的確な指示ありがとうございます。前方は任せて!行きます!刃斬旋風!」
私達はよく持ちこたえたと思う、しかし数の暴力に私達は屈した…
先頭のシシルは2体の上位種に捕まり、脚を折られ動きを止められて、胸を殴られ気絶し連れていかれた。
ルーパスも囲まれ腕を折られ、戦意喪失し捕まり連れていかれる。
ローザは数で押し込まれ囲まれ動きが鈍くなった時、クイーンに顔を殴られ気絶し連れていかれた。
私もライスも腕と脚を折られ、捕まり連れていかれた。
私達が気がついた時、全員裸で回りをゴブリンに囲まれ、その後ろにキングら上位種複数が控え笑いながら見てた。
ゴブリン達の後ろに見える多数の上位種…
もうこれから始まる事を思えば、絶望しかなかった。
他の者達も同じように感じたらしく、涙を流して、胸と下半身を隠すしかできなかった。
キングが声を発し、まずわたしが足を掴まれ、キングの前に引きずっていかれそうになったその時、ゴブリンもキング達上位種も騒ぎ出す。
私達は、何が起こるのか不安に思いながら、5人でかたまり状況を見つめていた。
聞こえて来る複数の魔物の雄叫びと地響き
ガォーー
ガォーー
ガォーー
ガォーー
ガォーー
ガォーー
ドドドドドドドドドド………
ドドドドドドドドドド………
ドドドドドドドドドド………
そして私達の前に現れたのは、体長は4mを超えるようなグレーの大きな虎だった。
私達は、その姿を見てさらに絶望と恐怖が襲った。
「嘘でしょ… 」
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