ユラの野菜は王妃様のお気に入りなのです(改)

フェアルーの冒険者ギルドから戻ったソアラは、キャサリン王妃に報告をするために部屋を訪れた。


コンコン


「ソアラです只今戻りました」

「入って」


ガチャ


王妃の部屋には、二人の王女とその護衛ニースとターニャもいて楽しくお茶会をしていた


「お疲れ様ソアラ、でどうだったのかしら?」


ソアラはニコニコしながらテーブルに近づく


「失礼します。まずはこれをどうぞ」


コトン


テーブルには、みずみずしい大きなトメトが置かれた。


見たことのない大きな真っ赤なトメトを見て、テーブルを囲んでた王妃達が驚き沈黙する


「「「「……………」」」」


黙りこむ王妃達を見ながらソアラはメイドに敷物と切る物を持って来るように言う


「ケーシィ敷物と切る物を持って来てくれるかしら?ケーシィ?」


「は?あっ!わかりましたすぐに」


バタン


王妃が復活し叫ぶ


「何このトメトは!あり得ないわ!色といい香りといい何これ!」


エレンも頷く


「ほんと何なの?これがトメト?甘い香りが凄いわ、これがトメトなのですか?」


グレープも護衛達も騒ぎだすのを見てソアラが諫める


「皆様まだトメトだけですよ!この後の野菜見たらおかしくなると思いますよ!フフフ」


ソアラの言葉を聞きキャサリンが驚く


「ソアラそんなになの?」


ソアラは頷き答える


「はい!まさに衝撃的でした。キャサリン様のおっしゃるように、まさにこの野菜は、この国の食糧事情を変えると思います。」


コンコン


「ケーシィですお持ちしました」

「入って」

ガチャ


ケーシィが補佐のメイドを連れて入り、テーブルに近づきてきぱきと敷物を敷いていく。

敷き終わるとトメトを切り分けていく


サクッ

サクッ

ほわ~


テーブルを囲む王妃達は漂って来る香りを吸い込みトロンとした顔つきになっている


「はぁ~何この香り」

「トメトって酸っぱいのに… 何これ…」


ケーシィは切り分けたトメトを王妃達の前においていく

コト

コト

コト

コト


王妃が皆を見て頷く


「じゃ一緒にいただきましょう」


「「「「はい!」」」」


ガブ

「!」

ガブ

「!」

ガブ

「!」

ガブ

「!」


「「「はぁ~美味しい~」」」

「「甘くて美味しい~」」


「ケーシィ達も食べなさい」


「「はい!ありがとうございます」」


ガブ


「ふわ~凄く美味しいです」


王妃が感想を述べる


「はっきり言ってとんでもない野菜ね」


エレンもグレープ達も頷いている


ソアラはニヤリと笑い発言する。


「皆様この野菜の凄いのは美味しさだけではありませんよ。もっと凄い事が起きてるはずですよ」


キャサリン王妃は考える


「え?起きてる?」


真っ先に気がついたのはケーシィだった


「うわーそういう事だったんですね。ほんと凄いです」


エレンもグレープもケーシィを問い詰める


「どう言うことか説明しなさいよ!」


キャサリン王妃もわかったようで驚いていた


「このトメト美味しいだけではないのねはぁ~」


ソアラが笑いながら説明する


「フフフこのトメトは前回よりレベルが上がり、疲労回復効果があるそうですよ」


「「「えーーーー!」」」


キャサリンも呆れ返る


「ほんとにとんでも野菜ね」


ソアラはいろいろ説明するが、モロコシの認識を変えてもらおうと、もう一品をモロコシにしケーシィに控室で切り分けて持ってきてもらう


「では皆さんに質問です。モロコシも野菜ですが食べた経験はありますか?」


キャサリンも王女達も何を言ってるんだと言わんばかりに嫌な顔をする


「モロコシって小さな黄色いボソボソの実の野菜でしょ?」

「ボソボソで味もなくまずくて食べれないじゃない」

「非常食とか家畜の餌よ!」


ソアラは、予想通りの言葉を聞き納得する。


「はい!私もそう思ってました。それではこれをどうぞ!」


コト

コト

コト

コト


「ナニコレ?」

「凄い甘い香り漂ってくるけど何よこれ」

「なんか凄く輝いてるわね」

「ほんと綺麗なおいしそうな色」


ソアラが説明する。


「皆様それが、私たちが家畜の餌と言ってたボソボソのモロコシです」

キャサリン達は、驚きそれぞれがモロコシを見て叫ぶ



「「「「えーーーーー!」」」」


「噓でしょ!」

「あり得ないわこれが同じモロコシ?」

「まるで別物じゃない!」

「色艶香りがまるで違うわよ!別の野菜でしょ!」


ソアラは、キャサリン達の反応に笑いをこらえながら説明する。


「これもユラ様が作った野菜だそうです。トメトのことを踏まえて!ゆっくり味わって試食してくださいフフフ」


キャサリンは質問する


「ソアラちょっといいかしら、今踏まえて試食って言ったわよね」


「はい!」


ニコリ


「まさか生で食べろと?」


キャサリンの質問にニコリと頷きこたえない

素直に思いを述べるキャサリン達


「それは無理よ!いくら何でもトメトみたいに柔らかくないのだから…」


「そうです!いくらその方が作られたとしても家畜の餌よ…無理!」


「うんうん!無理です!」


ソアラはニコニコ笑いながら


「皆さん騙されたと思ってそのまま食べてみてください…」


しかし誰も食べようとしない

仕方なくソアラは、ケーシィにお願いする。


「はぁー仕方ないか… ケーシィ食べてみて」


ケーシィは頷く


「わ・わかりました食べさせていただきます。うぅ…」


躊躇うケーシィにソアラは命令する


「もう大丈夫だから食べて!」


ケーシィは覚悟を決め食べる


「は・はい!頂きます。」


ガブリ!


「!」


むしゃむしゃ

ごっくん


「うわーーー何これすごいですよ!

口の中に甘さが広がってむちゃくちゃ美味しくて濃厚です!

生でも果肉が柔らかいから、食べやすくて美味しいし、かじった時に甘い香りが口の中に広がって食欲を注ぎます。」


そのコメントを聞き王妃たちも食べ始め皆驚きながら思いを口にする。


ガブリ

ガブリ

ガブリ

ガブリ


「「「「!!!!」」」」


「ほんとだわ!もう次元が違うモロコシね。濃厚で美味しいわ~ 生でこれだから調理したらどうなるのかしら…怖いわね」


「むちゃくちゃ甘くて美味しいー!はぁ~凄いですわ」


「うわーほんとに美味しい」


「!」


ガブガブガブガブガブ

ごっくん


「これは危険だ!美味しすぎる」


ソアラが尋ねる


「皆さん一通り食べられてどうですか?追加効果わかりましたか?」


キャサリンが先ほどから驚いていたからわかったのだろう


「まさかこれまで回復するのか・・・ 凄すぎる!とんでもない野菜ね。」


「お母さまいったい何んなのですか?」


「精神力回復・・つまりMPが回復する微量だがな」


「「!」」


エレンも感心したように語る


「本当にとんでもない女の子ね」


グレープも思いだすように


「あの可愛い女の子がこんなに凄い野菜作ったなんて信じられないわ」


ソアラは何か話そうとするのをキャサリンに止められる


「ソアラ、言わなくていいから後の楽しみにしてあげましょうフフフ」


ソアラは、キャサリンが止めた意味を理解する


「わかりました。」


では、生での野菜の凄さが理解できたと思いますので、明日調理してもらった野菜がどれほどなのか、参考までにお知らせしたいと思います。


少し前にユラ様の野菜が調理され食堂で提供された事がありました。

その時の野菜は今皆様が試食された物よりレベルの低い野菜です。


その時の野菜がギルドの調理人によって、提供されたメニューと金額があります。


森の妖精の作ったトメトを使ったスープ…大銀貨2枚20,000ペル

森の妖精の作ったキーロット入りポトフ…金貨1枚100,000ペル

この値段でスープは20皿、ポトフは、30皿限定メニューとして食堂の限定メニューとして貼り出したそうです。


いつも節約して食べる冒険者が、たまたまユラ様の野菜を試食する事ができた冒険者だったみたいで、その冒険者が限定メニューを見て即飛びついた見たいです。

その冒険者の食べる姿や情報を知ってる多くの女性冒険者も、限定メニューに飛びついたそうで、わずか15分で完売したそうですよ。


キャサリン達もその話を聞き驚いていた


「たかが野菜のスープ料理に大銀貨2枚だと… それが限定とはいえ15分で完売信じられないわそんなになの… 」


エレンはポトフを想像しながら呟く


「金貨1枚のポトフってどんな味なのよ!食べてみたい… 」


グループは、メニューを想像してお腹を鳴らす


「森の妖精の作った野菜使った料理ぐうー」


そんなキャサリン達を見てソアラ微笑み話す


「皆様よだれ出てますよ、明日楽しみにしててくださいねウフフ」


ケーシィが控えのメイドと一緒に野菜の入ったバッグを持ち、挨拶をして部屋を出て行く


「では、野菜持って行きますので失礼します」


バタン


キャサリンは、改めて思った。

このとんでも野菜を作るユラは、絶対に保護して、王家に取り込むべきだと…

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る