第4話ユラとトータス(改)

 ボクの母様は、ボクが2歳のころから身体が弱ってきて、3歳になった時には寝たきりになり、今ではもうほとんど話もできないくらい弱っていた。


ボクは毎日おはようと、おやすみの挨拶をしてるけど、母様の状態は日に日に悪くなってるように思う…


 月日がながれ、ボクも5歳の洗礼の日をむかえた。ボクは、ほとんど6歳に近いのに弟のトータスに合わせて職業が神託される洗礼を受ける・・ 


いつも弟優先ってどうなの?ギリギリ5歳だから問題ないって…

ボクの扱いがどんどん酷くなってるんだけど…

今日は神様から与えられる特別なスキルユニークスキルと神様からの加護も与えられる貴重な神託儀式です。

この儀式を受けた後、個人の能力表と呼ばれるステータスプレートが現れるようになる能力は、小さい時の方が増えやすく、大人になればほとんど増えない、だから小さい時に自分がなりたい職業に関係する事を覚えるようにみんな努力している


 ボクは洗礼の儀の朝母様の部屋にいた


「母様、今日は洗礼の儀で教会に行って来るから、楽しみに待っててね」


 母様はおだやかな顔で微笑んでくれた


「じゃいってきます。母様…」


 今日はボクの5歳の洗礼の儀を受ける日で、第二婦人の子供次男のトータスと一緒に教会に来ていた。


 教会に入ると、神父様に女神像の前まで連れて行かれ儀式が始まり、ボクは女神像に祈りを捧げてから、付与台座に手をのせた。

すると台座だけが僅かに光り身体の中に何かが流れてくる感じがした。


「うわー凄いなんか温く包まれるような感じだ… あ!終わったの?何かいいユニークスキルもらえたかな?」




 弟のトータスを見ていると、台座が光に包まれた後女神像まで光っていた。


「え?これって、凄いんじゃない?」


 ボク達二人の儀式が終わり神父様にステータスプレートの出し方を聞き、人には自分のステータスを言わないようにと言われ、自分のステータスを確認した後執事と一緒に家に帰った。



 旦那様ただいま戻りました。


「どうであった!ユラは」


 執事長は教会での事をそのまま伝える


「長子ユラ様は、普通でしたむしろ少し弱い気がします。

第二婦人の長子トータス様は、かなり期待できると思います。何らかの加護も与えられたものと思います」



 この神託の儀を境にボクの運命は、大きく変わって行った。


 ダマスカス公爵家にとって、今回の洗礼の神託の儀は非常に重要な事だったらしく、夜の食事の席でボクと弟のトータスのステータスについて聞かれた。


「バッカス・ダマスカスとして二人に命令する!洗礼の儀において、神より賜りしステータスを見せよ!」


 ボクは少しの抵抗を試みた


「父上、どうしても見せなくては駄目でしょうか?」


「どう言う事だ?見せれない理由でもあるのか!無いなら見せよ!命令だ!」


「はい… わかりました」


「父上ユラより僕のを先に見て下さい!ステータス!」



 名前 トータス・ダマスカス

 年齢 5歳 

 身長130cm 体重30kg

 種族 人族 

 LV.1

 生命力 HP  100

 魔力  MP  50

 物理防御ADF  50

 魔法防御MDF  50

 物理攻撃力ATP 100

 魔法攻撃力MAP 50

 俊敏 AGI    30

 知力 INT    3

 スキル 火属性魔法LV.1 風属性魔法LV.1 水属性魔法LV.1 成長促進LV.1 無属性魔法LV.1 剣技LV.1 身体強化LV.1


 ユニークスキル 魔法剣士LV.1、

 武神ギギリスの加護


「おお!素晴らしいぞ!これこそ公爵家にふさわしいステータスじゃ!普通の年頃の子供の10倍近いではないか!」


 母親も称賛する


「素敵よトータスちゃん、毎日鍛練してたものね、よく頑張ったわ、旦那様トータスを誉めてあげてください」


 バッカスは、嬉しそうにうんうんとうなずきながら、トータスの頭を撫でていた。


 はぁ… どうでもいいけど、弟のトータスも母親のサマンサもボクや母様に対して嫌がらせ凄いんだよね


 そんなに公爵家を継ぎたいの?ボクは母様がいてくれたらそれでいいから興味ないや



「よし次はユラ、お前のステータスを見せなさい!ん?アマリアはどうしたのじゃ」


 よく言うよ!毎日若いメイドに夢中になって、サマンサ義母さんのやってる事知らないの!

サマンサ義母さんの毎日陰湿ないじめにあって心労で寝込んでるのに!

ボクはお父様があまりにも無関心なのに腹が立ち少しお父様に意見しました。


「はい!アマリア母様は最近ずっと体調悪く部屋で寝ています。

お父様は、知らないのですか?もう少しアマリア母様の事気にかけてください!お母様が可愛そうです!」


 第二婦人のサマンサがボクに怒って来る


「まあー!旦那様に意見をするとは、生意気ですわ!どういう教育してるのかしら!」


「儂は、公務で忙しいのだ!メイドもいるのだ、自分の健康管理も出来ないのか!むしろ儂が帰って執務室にいる時に挨拶くらい来るのが当たり前だろ!これ以上話すことはない!」


 ボクは、ずっと下を向いて呟いていた


『何言ってるの!母様は、体調悪くて寝てるって言ってるのに… 挨拶なんて行けるわけないじゃん!』


「何をぶつぶつ言っている!儂に言いたい事あるのか!」


「言え… 」


「ならさっさとステータスを見せなさい!」



「わかりました、 ステータス!」



 名前 ユラ・ダマスカス

 年齢 5歳 ♂ 

 身長100cm 体重12kg

 種族 人族 

 LV.1

 生命力 HP  5

 魔力  MP  10

 物理防御ADF  5

 魔法防御MDF  5

 物理攻撃力ATP 5

 魔法攻撃力MAP 5

 俊敏 AGI    20

 知力 INT    100


 スキル 家事LV.2 料理LV.2 工芸 LV.2 園芸LV.2 栽培 LV.2 成長阻害LV.9 痛覚耐性LV.5


 ユニークスキル 土壌錬成LV.1

 ΔΨδδλの加護



 ボクのステータスを見て父上は固まる


 暫くの沈黙のあと、弟のトータスが大声で笑いだす


「ギャハハ何?加護が表示されてない?アハハ♪それにスキルの土壌錬成?

何それ?聞いた事ないけど農家スキルですか?

アハハ!生まれてくる所間違えたんじゃない?」


サマンサ義母さんもボクを見下す


「母親も出来が悪いから、子供も同じね、オーホッホ!」



 父バッカスは怒りをあらわにして、捲し立てる


「なんじゃこのステータスは!成長阻害だと!マイナススキルではないか!

それに家事や料理など公爵家の男子に必要ない!

武のスキルが何もないではないか!お前は何をやっていた!

加護もなくユニークスキルも聞いた事がない屑ではないか!」


 ボクは深々と頭を下げて謝った


「ごめんなさい父様!」


 父が立ち上がり皆の前で宣言する


「ダマスカス公爵家の次期当主は、トータスとする。

ユラは、8歳の貴族登録年齢をもって廃嫡とする。

ただし8歳までは今まで通り屋敷で暮らす事を許可する。

屋敷の者達も、ユラの扱いは今まで通りにするように、いいなサマンサ、トータス!8歳までユラは長男だ!」


 サマンサもトータスも納得いかない顔をしている


「わかりました」

「わかりました、父上」


父様はボクを見て話しかけてくる。


「ユラよ、それまで3年ある努力すれば新たな能力も得られよう頑張りなさい」


「はい!ありがとうございます」



 父上は、部屋を出て行った。

弟のトータスは、文句をいいながら出て行った


「3年あっても何にも変わらないよ、無駄なのに」


 バタン


 サマンサは、ボクに向かって一言言って出て行った


「旦那様もお優しいこと」


 バタン


 ボクは改めてステータスを見てみた、ボクが身体が成長しないのってこの成長阻害ってスキルだよね、何でこんなのあるの?しかもスキルレベルも高いし…

レベル1でこの能力って低いんじゃ…

はぁ…


 確かスキルの最高LVは10のはずだから…ん?

これってほとんど成長望めない?何の成長なんだろまさかスキル?なら絶望だけど…


なんか違う気がするだって家事や工芸のスキルは成長してるし、もしかして身体に関する成長がほとんどしないってこと?多分そうだろうな・・ ぅぅ・・ ここは、ポジティブに考えよ


 ボクは、成長しやすい能力をどんどん伸ばして行くために頑張る事にした。

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