第3話 破滅とやどかりを司る魔王
魔女との戦闘から逃げ切る直前のところで、奇妙な術式を付与されたのを思い出す。
その時は逃げるのに必死で、どんな魔法が付与されようと後で解除すればいいと考えていたので、特に気にも留めなかった。
しかし今にして自分の肉体情報、精神情報を調べてみても、特に妙なデバフが付与されているなどということはなく、怪訝に思っていたところである。
やどかり。
動物界、節足動物門、甲殻亜門、軟甲綱、十脚目、抱卵亜目、異尾下目、ヤドカリ上科、学名パグロイデア。
…………要らない情報が、知らない情報が、脳内に湧き上がる。
なんだこの生物は。
いや、やどかりだ。
知っている。
否、知っていることにされている。
この吾輩の魂に、この生物の詳細な情報が差し込まれている。
【Law】として、刻まれている。
【やどかり】と。
…………【破滅】のとなりに。
【やどかり】って。
魂に。
「うおおおおぉぉぉぉぉおおおおおおッ、くそおぉぉぉぉぉおおおおおおおぉぉぉおおぉおお、あ゛ぁ゛ぁ゛ぁぁああぁあぁぁぁぁぁぁぁああああああああっっっ!!」
前略魔界の皆さん。
今日から吾輩、破滅とやどかりを司る魔王になりました。
やどかりって何だ、って首を傾げる故郷の仲間たちの顔が目に浮かぶ。
魔界にはいなかったからな、こんな矮小生物。
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