第21話 作戦会議
ソル国 謁見の間
俺とアルフさん、そしてキャンタルさんは今回の
報告書は提出していて、後はソル様からのお言葉と今後の指針についてお伺いするために待機中。
待っている時に何故か噛みつき合いが始まってるけど。
「ラパペスが
「失態ではある。まだ力不足ともな。次は殺す」
「有言実行ならいいけどね。ま、今度は私に任せてみなさい。気付かれる前にやるわ」
「そうか」
どうにも2人の雰囲気に挟まれてると気まずい。
同僚とはいえ、あんまり仲良くないんだろうね。
馬が合わないというか。
「あーえっと、キャンタルさんは拠点破壊してくれたんですよね。お一人で殲滅するなんて凄いです」
「ん?レル君に褒められるのは嬉しいわね。ありがと。でも雑魚ばかりでねぇ…全くもってつまらなかったわよ?」
「そうなんですか?アルフさんはレベルの高いオークとデーモンがいるって…」
「あれで高い、ねぇ…ラパペス?あんなのを評価してるの?」
「俺ではない。ソル様いわく騎士部隊でも手こずるとの話だ」
「ふーん。ソル様もずいぶん弱気になってるのね」
アルフさんはキャンタルさんをチラリと見るとため息を1つ。
「通常オークの群れとデーモンは城の騎士では相手することが難しい。奴らの攻撃力は並みの防具では防げず、生半可な武器ではダメージが通らん。アルカナイトでも役職の相性によっては困難ということだろう。今回はラムールが相手しやすい魔物だったというだけだ。ソル様が安全を考慮して魔物の脅威を高めに設定しているということも分からんか」
「そんなの知らないわよ。騎士の皆が頼りないからこうしてアルカナイト部隊が出来てるわけだし。はぁ。あーはいはい、私が悪かったわよー。ソル様は偉大な方ですー。こんな私を雇っていただいてるしねー」
アルフさんはいつも通りと思ってるのか、それ以降何も言わず、キャンタルさんは機嫌が悪そうに髪を弄っていた。
どうしたものかと俺が口を開く時に、奥の部屋からソル様が現れた。
間一髪。
ありがとう、ソル様。
気まずい雰囲気を壊してくれ。
「3人ともご苦労だ。見事フィール近辺の拠点が消失した。これでフィールはしばらく安泰だろう」
「はーい、ソル様。私単騎でやったんだし、報酬出るわよね?」
「もちろんだ。後ほど渡そう。何か望みがあるなら…いや、男は無しだぞ。それは自分で見つけてくれ」
「うふふ。バレたかしら。そうねー…ま、何でもいいわ。特に物資で困ってるものもないし、ソル様の采配でどーぞ」
「それは緊張するな。分かった。決めておく。そして、ラパペスとレトゥワル。君らは
アルフさんはソル様をジッと見つめて口を開く。
「まず、16番の『
「ふむ。確かにラパペスの身体能力を上回るとなると、ラムールが候補に挙がるな。直接相手をした当人が言うのならば任せたいところではあるが…ラムールよ、ラパペスの見解はどうだ?」
「そうね。私も報告書見たけど、確かに異常な生命力と魔術精度。視認無し、魔力反応だけで回避と攻撃できるラパペスもおかしいけどかなり厄介そうね。ただ、私には隠密化の異能もあるし、不意打ちからの絞殺なんかどうかしら?いくら
「そうか。それならば二人で組んで討伐とする。ラムールが前衛、ラパペスが後衛で是非とも確実に仕留めて欲しい。して、レトゥワル。君はどう思う?」
俺?
アルフさんとあいつの観察からして。
うーん。
「そう、ですね…正直俺は見向きもされていなかったところで辛うじて行動妨害できてましたし…次同じ手段は通じない可能性は高いです。なので、ソル様の仰せの通り、アルフさんとキャンタルさんのペアが良いんじゃないかと思います」
「ふむ。3人の話は分かった。それでは、16番の対処は2人に任せよう。茶髪の
キャンタルさんは呆れたようにため息1つ。
「ソル様ねぇ…ラパペスいわく、転移魔術ってかなーり厄介よ?そんなついで~みたいに言われても困るわ」
「む…それはそうだが…今のところ情報が無いからな…すまない。こちらでも偵察隊と騎士部隊で調査を続ける」
「ま、それなら良いけど」
完全に俺抜きの作戦だな。
いやもちろん新米だし、当然だけどさ。
「あの、ソル様。俺はこの作戦には参加できないですよね」
「すまない、レトゥワル。いくらラパペスの認めた者とはいえ、今の君では同行は認められない。前回は
えっ。隊長??
隊長はアルフさんがやるのでは?
「俺がですか?でも、アルフさんが適任だと思うんですけど…」
「あぁ、そのつもりだ。ただ、仮と言ったろう?ラパペスとラムールが16番の討伐が終わるまで皆を引っ張って欲しい。君は最高の師の元で2年近く修行をし、初任務で名前持ちとも遭遇かつ戦闘補助も出来るときた。結成したばかりの部隊の隊長には相応しいだろう」
「えーと…はい、ソル様が仰るなら…」
何かもう着々と決まりつつあるな。
光栄だけど、出来るだろうか。
「レトゥワル。心配するな。お前の実力は自分で思っているよりもついている。現に俺と行動を共に出来ているのが証拠だ」
アルフさん…
「そうよ?レル君はあまり知らないと思うけど、ラパペスは弱い子と組まないし。こいつの観察眼だけは良い方だったりするの」
キャンタルさん?
「…まぁ、そういうことだ。俺とラムールが戻るまで部隊をまとめておいてくれ。正直俺は隊長という立場にはあまり合わないからな。レトゥワルの方が人間性の観点でも適任だろう」
「アルフさんがそう言うなら。分かりました。頑張ってみます」
こうして、俺はアルフさんとキャンタルさんが16番討伐作戦に集中する間、新たに第3期アルカナイト部隊で仕事をすることになった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます