エターナルアイドル Sadness ――闇に吠える――

第12話 告白

 ――ルシファーとルナの悲劇から実に70億年の時が過ぎた。――


 彼は転生者としてこの地球に生まれ落ちた。

 場所は日本の神奈川県、生年は1973年。


 名前は神衣公孝。


 裕福な家庭ではなかったが、シングルマザーの母と少年時代を過ごすある日のこと。

 ここは、彼が三度目の転居で暮らす天舞台の高台にある公園

 そこの、花畑で二人の少年少女が並んでいる。

 中学生くらいの少年の方は、ギターを爪弾き、同じ年ごろの少女のほうはそれに合わせてハミングをしている。


「ねえ、公孝?」


「あ? なんだエナ?」


 エナと呼ばれた少女は、おもむろに立ち上がり伸びをした。


「公孝は、大人になったらなんになる? やっぱりギタリスト?」


「まあな。高校くらいは出ておきたいが、音楽系の大学は学費もかかる。なろうと思ってなれるもんでもないしな。まあ、適当に免許でも取ってドライバーかな? お前は? エナ。今でも歌手になりたいのか? お前はイギリス人とのハーフだし、歌も上手い。世界的なシンガーになれるかもな」


「お父さんのコネもあるしね。でもね、一番の願いはそうじゃないの。もちろん進学はするつもり。だけど、本当の夢はね」


 一陣の風が吹き、少女を優しく包む。そのブロンドヘアーがなびき、振り返りざまにエナはこう言った。


「わたしは――あなたの花束になる!」


少年は思った。

 ああ、俺はこの少女に恋をしているのだ、と。

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