第42話 ニューワールド (その1 世界を変えてゆくために)
4年後、安井悟議員は防衛大臣を歴任した後、外務大臣の職に就いていた。
八神を筆頭とする元Z班メンバーのブレインとしての協力もあった。
八神は二宮幹事長の不祥事による辞任の後、国民の不信感を払拭する者として国会議員となった。
Z班隊長八神の恐れから、見かけ上の友好関係を築いていた諸外国政権も、安井大臣の働きかけと八神の人間性に触れ、次第に親交国としての友好関係へと変わってきた。
安井大臣が積極的に働きかけ、揺るぎない友好関係を築き、3年をかけて国際能力者連盟を設立。
安井は議員職を辞し、国際能力者連盟の初代会長を務めた。
そして八神は安井議員の後継者として防衛大臣の任に付き、時期外務大臣と目されていた。
八神の為に道を作るという安井の言葉に偽りは無かった。
源元師団長の”子供”達は他にも大勢いて、各界で影響力を持つ立場にいた。
その助力を得られた事も大きい。
さらに4年後、八神は史上最年少の総理大臣に就任。
妻の礼子がリーダーを務めている、一般人類と能力者の平等と共存を目的とした地下組織、
”フェア ステイト”を公共団体とし、正式に設立。
その設立式の演説で礼子は
「一般人類にも、歌の上手い子、絵の上手な子、足の速い子など色々いるでしょ。能力もそういったものに過ぎないと、自然に受け入れられる世界であって欲しい。それを実現するための努力は惜しまない」
と言う趣旨を語った。
そして国際能力者連盟とフェア ステイトとの連携により、清美とマリーのいたアパートメントのコミュニティーをケーススタディーとして、浮き出た問題点を改善し都市規模に拡張。
世界の主要都市を再構築し、一般人類と能力者が協力し合いながら共存する社会の基盤作りを加速させて行く。
それと同時に八神は国際新法案”人類平等法”を提出する。
その骨子は
『一般人類、能力者を問わず、平等の権利を与えなければならない。
一般人類は能力者に対し差別等、不当な圧力を与えてはならない。
能力者は一般人類に対し、能力の行使による危害、損害を与えてはならない。
自身の身を守る為の行使は例外とする。
能力は全人類の公平、公正ため行使する事を基本とする。
能力者は国際能力者連盟にその能力を登録し、全人類の幸福に使役するため国際能力者連盟の要請に応じ、協力しなければならない。
国際能力者連盟は、協力する能力者に不利益を生じさせてはならない。
特記事項
個人、あるいは団体が能力により過大な利益を得た場合、利益の30%を国際能力者連盟に寄付し、国際能力者連盟は全人類に対し公平、公正に供さなければならない』
と言うものだった。
具体的な事項は国際会議で話し合われる事となった。
一部の記者からの、特記事項は不要では?過大な利益の判断基準は?又、これでは能力者が利益を得やすいと意識させるのでは?との問いに対して、
「一般人類夫婦の間に生まれた子が能力者であっても、これまでのような不幸な出来事は無くなるだろうね」
と、答えるのみであった。
人類平等法が閣議決定された本文に特記事項は削除されたが、能力者、一般人類を問わず国際能力者連盟への寄付は毎年増え続けた。
一方独裁国等の反体派は、その国の能力者を軸に世界大戦も辞さない強硬な方針を宣言したが、世界には能力を完全に隠し通した強力な能力者や、特殊能力者が多くいた。
国際能力者連盟とフェア ステイトの活動により表の世界に出てきて、メンバーとなる能力者が予想以上に大勢いた。
自国の民がその能力者達と共にクーデターを起こし自由を勝ち取っていった。
どの国の国民であっても人権平等と自由と平和を欲していたのだ。
彼、そして彼女達の協力により、これまで不可能とされてきた事項も解決され、世界平和が実現した。
その国家を牛耳っていた中枢の消滅は、国民に当然であろう方向性を持たせた。
国際能力者連盟とフェア ステイトの助力による国際平和条約締結により、人類平等法は全世界共通の法案として確立された。
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