残り29日
「ねえアゲハ。この前、私は貴方の過去のことを聞けなくて変な勘違いしたけど……そもそも自分のことも全部話してないのに人のことを聞こうなんて、虫が良すぎたわ」
急にかしこまって話を始めたかと思えば、もう過ぎた話をしてきた。
「いいよ別に。もう終わったことだ、気にすんな」
あれは誰も悪くないことだった。たまたま、お互いに勘違いしていただけの話で、無事に解決済みだ。
「そうだな……明日、放課後に時間をくれるか?」
「ええ……特に予定はないからいいけれど」
大きく深呼吸した後、俺は花蓮に告げる。
「俺の……過去を話すから」
かなり覚悟を決めて告げた。いつまでも言わずにクヨクヨと気にして生きるのは辞めだ。たぶん、何も言わなくとも花蓮は気にしないだろうが、俺が俺自身に対して嫌気が差す。
「無理しなくてもいいわよ?」
「いいんだ、まずは……そう、仲を深めたいから俺のことを知ってほしい。あ、勘違いするなよ。別に花蓮の何か隠していることを知りたくて言うわけじゃないから」
彼女は、まだ何か大きな秘密があるよな気がした。けれど、それを知りたいから俺のことを話すわけではない。
「そう。ありがと。まあ、気楽に聞くから気負いしないでよ」
「ああ、そうしてもらえると助かる。重い雰囲気になっても良いことないからな」
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