残り54日


「ねぇ花蓮さん。アゲハのこと好きなんですの?」


「はぁ、そんなわけないでしょ」


 今日は姫乃とスイパラっていうとこに来た。「スイーツパラダイス」の略称らしく、なんでも定額支払えばスイーツが食べ放題らしい。こんな「女の子っ!」ってお店、普段なら行かない。しかし一緒に居るのが姫乃なら話が別だ。


「そうなんですね。いつも一緒に居るし、その気があるのかと思いまして」


「一緒にいるけど、それはまた別の理由で……」


 アゲハのことは好きだけど、それは恋人とかそういう感情じゃないと思う。


「ふーん。なら、もし私とアゲハが付き合っても問題ないの?」


「ええ、別に勝手にしていいわ」


 私は彼とは『あの日』まで一緒に居られれば問題はない。別に恋人じゃなくとも。


「アゲハが私と二人きりで遊んで、会わない日は電話して、毎日ご飯食べても?」


「それってもう彼女じゃん」


 すると姫乃は首を振って大きなため息を吐く。まるで何も分かってないと言わんばかりに。


「な、なによ」


「あのね、花蓮さん。今の言葉、そっくりそのまま返すわ」


 今の言葉とは……どいうことだろう。


「『もう彼女じゃん』って花蓮さんは言ったけど、いま言ったことを花蓮さんとアゲハはしているんですからね」


「え、そんなはず――」


 ふと振り返ってみた。学校ではいつも昼ごはんを。夏休みでは電話して。暇があればカフェに訪れたりした。しかも全て二人きりで。なんなら、欲しい食べ物があればつまみ食いして……飲み物は勝手に飲んだり――っ!!!!


「やっと理解したかしら」


 呆れた顔で私を見つめる姫乃。もう恥ずかしすぎて死にそうだった。

 

 まあ死ぬんだけど。


「うぅ……で、でもそんな気じゃないから!!」


「ならもう一つだけ聞くわ」

 

 姫乃は追加して私に問いただす。


「いま全ての行為を『アゲハ以外の男』としたいと思います?」



 そんなの……答えは決まっていた。



「まあ、ただの仲の良い男友達って関係の娘も世には沢山いるけど……花蓮さんはそうじゃないように見えて、ね」



 それからと言うものの、アゲハのことが頭から離れなかった。

 


 これは……なんでだろうか。


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