あっくんとけーくん
ふーちゃん
お泊まり
あっくんとけーくんはとっても仲良し。今日もまーくんの家でお泊まり会だ。一緒に遊んで、一緒にごはんを食べて、一緒におふろに入って、一緒におふとんに寝転んだ。
「あっくん、もうねた…?」
「……」
「ねぇ、あっくん。」
「……ねたよ。」
「……ねてないじゃん。」
「ふふふ……」
「ふふふ……」
もういつもはとっくに寝ている時間。だけど二人は向かい合っていつまでもひそひそとおしゃべりをしている。
「……けーくん。」
「……なあに…?」
「なんでもない……」
「ふふふ……」
「ふふふ……」
と、そのとき。突然、お部屋のドアがガチャッと開いた。
「二人ともいつまで起きてんの。」
あっくんとけーくんはビクッと肩をすくめた。
あーあ。お母さんに見つかっちゃった。
「まだねむくないもーん。」
「早く寝ないと明日寝坊しちゃうよ!」
口をとがらせるあっくんにお母さんは怖い顔をしてみせた。でも二人からは逆光で顔は見えない。
「ちゃんとおきるもーん。」
ああ、けーくんくんまで生意気な口聞いちゃって…。
怖いもの知らずの二人にお母さんは小さなため息をついて、とうとう切り札を出した。
「もう、夜更かしする悪い子は、明日遊園地連れてってあげないからね!」
これは
その様子にお母さんはよしよしと満足げに頷いて、ドアを閉めた。
「……」
「……」
お母さんが出ていって、しーんと静かになった。
だけど友だちと一緒に寝るというささやかな非日常感に興奮して、二人はなかなか眠れない。しかもこんなに静かだと、自分だけ起きているみたいで心配になる。
「けーくん」
「……」
眠っていたら気づかないくらいの小さな声であっくんはけーくんを呼んでみた。
でもけーくん、一人だけ起きているのはいやだから、寝たふりをしている。
あっくんはそろそろと寝返りをうってけーくんの背中をじっと見つめたけど、あきらめてまた背を向けた。
しばらく沈黙が続いて、今度はけーくんがあっくんの背中をつついた。あっくんはくるりと振り返ってけーくんを見る。
「ふふふ……」
「ふふふ……」
お互い起きてたことがわかって、二人は思わず笑ってしまった。だけどお部屋の外で足音がして、息をひそめる。またお母さんに見つかったら大変。
口を閉じて見つめあう。と、あっくんがぱっと目を光らせた。
「そうだ。さきにねたほうがかちのゲームしよう。」
「いいよ、そうしよう。じゃあいまからね。よーいスタート。」
二人は楽しそうに笑って、今度こそ寝ようとはりきって目を閉じた。
次の朝。
やっぱりお母さんの予想通り寝坊した二人は洗面所で昨日の勝ち負けを話した。
「ぼくがさきにねたよ。」
と、あっくん。
「ちがうよ、ぼくだよ。」
負けじとけーくん。
実際、あのあといつの間にか寝ていて、気づいたら朝だったんだけど。
「ほら、早く朝ごはん食べて。遊園地行くんでしょ!」
「「はーい!」」
結局どっちが勝ったのか。
まあ、今日はこれからたっぷり遊ぶんだし、そんなことどうでもいいね。
あっくんとけーくん ふーちゃん @041201
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