エルの新両親
「ネリー、大丈夫かー?」
自室のベットに横たわったまま気絶しているネリーに声をかける。
竜巻のあった所で気絶していたネリーをここまで俺が連れてきたのだ。
「ネリーも私と同じように気絶してたの?」
マリーが心配そうな顔でネリーを見る。
「そうだな。結局のところどっちが勝ったのか、わからないな。」
「どうする?」
「まあ、ネリーが起きたら考えることにしよう。」
俺はそう言ってネリーの回復を待った。
しばらくすると、ネリーの目がパッチリと開いた。
「私、何をしていたのでしたっけ?」
周りを見渡して言う。
「マリーを倒してからなかなか戻って来なかったから様子を見に行ったら、竜巻のあった所で気絶してたんだよ。」
「そうだったのですか‥‥。」
「だからネリーとマリー、勝敗が決まって無いんだよな。どうする?」
二人にそう聞くと、マリーが、
「後からネリーが倒れたことがわかったのだから、今回は身を引くわ。」
と、笑って答えてくれた。
「ありがとう。」
ネリーが、
「じゃあ私は羅人君の婚約者に?」
と、聞いてきた。嬉しそうに聞くネリーの疑問に俺は胸が痛みながらも否定した。
「ネリーは、俺の嫁ではなく、エル君のお母さんになってもらうんだよ。」
「え!?そういう約束でしたっけ!?」
「そうだよ‥。」
「そうでしたか。じゃあ羅人君の将来の奥さんは決まっていないということですね。」
「そうだな。」
「わかりました!‥‥エル君のお母さん、頑張ります!」
ネリーは、なぜか一瞬マリーの方をみて微笑み、エル君のお母さんを引き受けてくれた。
「「お願いします!」」
ギルドで俺とネリーは、エル君を養子として迎え入れるための書類を提出した。
「わかりました。では確認に入ります。お子様は サトウ エル様、お父様は サトウ ラヒト様、お母様はネリー=オガスト様と、ご記入になられていますが、間違いはありませんでしょうか。」
「「はい!」」
ルイ君の苗字をどうしようかと迷ったが、父になる俺の苗字に合わせて、【佐藤】にした。
ちなみにネリーの苗字は【オガスト】でそのままだ。
「では、町の方に、届け出をしておきますので、今日はお帰りになってよろしいですよ。」
ギルドの職員さんが言ってくれる。
「わかりました。よろしくお願いします。じゃあネリー、帰ろうか。」
「はい!」
俺たちは帰路に着いた。
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