透明人間になってみたいと思います

「ここがおじさん達のあじとです。」

今俺達はヘル君がいた、裏道を結構進んだ所にある、ボロい家の前にいる。これが、エル君の言うなのか。想像してたのは秘密の入り口とか、隠し扉とかがあるアジトなんだけどな…。


まあいいや、取り敢えず相手の動きを見るか。そう思ってアジトの方を改めて見ると

男の話し声が聞こえてきた。


一人はメガネをかけた五十代くらいのおっさんで、もう一人は太っちょのそれまた五十代くらいのおっさんだ。

こいつらがきっとヘル君の言うおじさんなんだな。ちょっと盗み聞きしてみよう。


「お前さ、この前変な小僧に魔道具盗んだ事知られただろ。俺が助けてなかったらどうなってただろうねぇ」

「…っっ!でも今、お前の計画、手伝ってるじゃないか。」

「まあな。」


ん?あの太っちょのおっさん、どっこで見た事あったっけ?

………あ!俺が魔道具の盗みを止めたやつじゃん!あいつ まだ盗みから足を洗ってなかったか。少し懲らしめてやりたいな。どうしよう。そう考えていると、王累からテレパシーがきた。


(皆さん、あいつらを捕まえる作戦を考えました。えっとまず、ヘル君にあえてあいつらに壺を渡して貰います。その次は、羅人の古代魔法の本に書いてあった魔法ですが、【スケレヌ】で透明化します。ここまでで何か質問はありますか?)

(その、スケレヌってなんだい?)

確かに。『透けれぬ』って言ってるみたいで面白いけどな。


(さあ。古代言語の何かでしょう。で、次です。あいてが油断した時、気絶する位の魔法を四人同時に放ち、捕まえます。どうですか?)

(いいんじゃない?じゃあ始めましょ。)

(じゃあ俺がヘル君に伝えるな。)

俺はテレパシーを解除して、声を潜めてヘル君に伝える。


「なあヘル君。俺達が今からあいつらを捕まえるんだけど、ヘル君にも協力してもらいたい事があるんだ。」

「何ですかー?」

「君にあいつらに壺を渡して貰いたいんだ。」

「は、はい。怖いけどやってみます!」


「ありがとう!じゃあ実行するか。クースとマリーは見てて。」

「はい!」

「わかりました。」

「わかったわ!」

「よし!じゃあ!」

「「「「【スケレヌ】!」」」」


あんまり違和感無いけど、透明化したのかな…。

「あれ?お兄ちゃん達どこ?」

確かにエル君には見えて無いみたいだな。


「エル君、声聞こえる?」

「うん、こえはきこえる!」

声は聞こえるみたいだ。じゃあ作戦中は無言か。まあ、テレパシーあるからいいか。


「じゃあ壺を渡してきてくれるかな?俺達は周りからフォローするから。」

「はい!」

一応他の四人ともテレパシーで連携を取っておく。


(行くか。)

(そーだね)

(レッツゴー!)

(行きましょう!)


みんなノリノリだな。今から犯罪者を捕まえるっていう自覚あるのかな?

まあいいや、とりあえずやるか。


エル君は壺を持ちながら少しずつ、おっさん達の前へと進んでいく。

「ご主人様、つ、つぼを盗んできました。」

だいぶ緊張してるな。まあそりゃそうか。

「おお、よくやった。じゃあ例の場所へと運んでおいてくれ。」

「はい。」


例の場所ってどこだ?ついて行ってみるか。

(ついて行くぞ。)

((((はーい。))))

俺達はこっそりとエル君の後について行った。すると

「誰だ!そこに居るのは!」

と、メガネのおっさんに怒鳴られた。見つかったらしい。何でだ?

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