犯人と話しました
「さっきは本当にありがとう。」
少し顔を赤らめてマリーが言ってくる。
「当然だよ。ごめんな。彼氏とか言っちゃって。」
「なんでそんなこと謝るの?」
「いや、好きな人いたら迷惑だろ?」
「そ、そうね…」
ん?急に機嫌が悪くなったような…。
「まあいいわ!ギルドの方を見回りましょう。」
お、急に機嫌を直した!女の子って謎だな。
「そうだな。」
そんな事は口に出さずに、俺はこれ以上機嫌を損ねないように返事を返した。
そんな風に雑談していると、美稲からテレパシーが来た。
(あたし、今ギルドの近くに居るのだけれど、ギルドの近くの家で強盗があったらしいわ。家の中に人は居なくて、犯人は今も逃走中。みんなにも知らせた。)
(なんで知ってるの?)
(ギルド員さんに聞いたのよ。)
(そっか。今から向かう。)
俺は一通りの情報交換をしてからマリーとギルド近くに向かった。
みんなも集まっているみたいだ。
「で、どこ?」
「案内するわ。【ゲート】」
ゲートを潜り尋ねる。
「ここ?」
「そうよ。」
「犯人ってまだ近くにいるよね?」
「いると思うけど…。どうして?」
「サーチをする為さ。【サーチ】」
「いました?」
「いた!えっと、この家の裏の路地に一人いる。動く気配はないな。よし、向かおう!」
「いえ、待って下さい。僕達が依頼を受ける時、レイパルさんは、『犯人たち』を捕まえて欲しいと言っていました。
しかし、今のサーチの中では、一人しかいなかったのでしょう。という事はまだ犯人はいるという事です。なので、その犯人をつけて、犯人が全員集まる所まで行きましょう。」
「確かにそーだな。よし、つけるか。とりあえずその犯人はがいる所まで行こう。」
サーチを頼りに、路地まで辿り着いた俺達は、今、犯人を探している。が、全然見つからない…。
「分かれて探そう!」
「そうですね。効率が悪いですからね。」
俺が別れて、探しに行こうとすると、クースが声を掛けてきた。
「師匠!今度は僕と探しましょう!」
「いいよー」
別に断る理由もないので一緒に探す事にした。
しばらくサーチで探していると、サーチで見つけた方角から、子供の泣き声が聞こえて来た。
「なんでしょう?」
「さあ?行ってみるか。」
行ってみると、服がボロボロな男の子が高そうな壺を持って泣いていた。
「どうした。しょみ…」
俺は王様モードになったクースの口を塞いで、なるべく優しく声を掛けた。
「君、どうしたの?迷子?」
「……」
男の子は無言で立ち上がり、走って逃げようとした。俺は、何かが引っ掛かったので、障壁で男の子を囲み、逃げられないようにした。
「何か困ってるならお兄ちゃんに相談してみて。きっと力になるから。」
そういって障壁を解除し、軽く手を挙げ、武器など、傷つけるものを持っていないと軽く手を挙げる。
「お兄ちゃん…。あのねぼく、怖いおじさんに、このつぼを知らない人のおうちから盗んできてって言われたの。でもぼく、もともと盗みたくなかったから、つぼを盗むのに反対したんだ。けど絶対に盗んで来いって怖いおじさんにけられて、盗んできたの。けど、やっぱり、つぼは盗みたくなくて、どうしようって泣いてたの。」
ということはこの子が犯人ってことか。でも、命令した『おじさん』っていうのが悪いんだよなー。子供に暴力までふるって盗んで来いなんて、最低だな。よし、取り敢えずみんなを呼んで相談するか。
「ねえ、君のお名前は?」
「ぼくは、ヘルです。奴隷です。」
ど、奴隷?この世界には奴隷が存在するのか⁈かわいそうに。こうなったら何が何でもそのおっさんに仕返しするぞ!!
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