特殊能力【テレパシー】
王累の部屋は俺が希望していた真ん中にある。ジャンケンで決めた結果こうなってしまった…。
「王累ー。入るぞー。」
ノックをして中に入る。
「はーい。羅人ですか。どうしました?」
「えっと、初めてこの屋敷に来た時に、本を見つけたんだけど、文字が読めなくて。ドラに聞いてみたら王累の能力、【能力上昇】で読めるようになるって言ってたから。」
「という事は、僕がその能力上昇を使えば、その本が読めるということですね。分かりました。使ってみます。本を出してみてください。」
「これなんだが。」
「確かに読めませんね。表紙は読めるのに。」
「では。【能力上昇】!」
「どう、読めるか?」
「よ、読めます!えっと、この本は、古代魔法について書かれていて、どの様な魔法が存在したのかなどについて書かれています。」
「そうなんだ。ありがとう。じゃあな。」
俺は一応内容を知る事ができたので、自分の部屋に戻った。部屋で少し休憩していると、誰かが訪ねてきた。
「羅人様、入っても良いでしょうか。」
あ、レイカか。
「おお、いいぞー。」
「そこは、きつくお返事を…。まあ良いです!先程の能力上昇の詳細、話していなかったので。えっと、能力上昇とはですね。その名の通り唱えることで、体の一部の能力を一定時間上昇する事が出来る超能力です。王累さんからお伺いしましたが、言語能力を上昇させたんですね!」
「そうだな。でも、一人もよめないか?」
「そうでしたか。では【リーディング】を使ったらどうでしょう。そうしたら古代文字も読めると思うのですが。」
「【リーディング】 。おー読める!流石、レイカ!」
「いえいえ。というか、もう夕飯ですよ。食堂に来てください!」
「わかった。行くか。」
依頼をしに行くのは、夕飯の後と王累が言っていたはず。急いで食べないと。
「「「「「「「ご馳走様でした!」」」」」」
声デカ。だいぶ、大人数になったな。
「さて、ここからは四人でやってね。私達は一切手を出さないから。」
「ちょっとこの人数だと多すぎるわ。俺たち四人とあと二人くらいに絞ってくれ。」
「「「「「えーーー」」」」」
「わ、分かったわ。じゃあジャンケンで!」
五分後……
結局勝ったのは、マリーとクースだった。後はお留守番しててもらう。
「行ってくるよ。」
「「「「行ってらっしゃい。」」」」
「「「「テレポート」」」」
テレポートしたのはもちろんベムルの町だ。まあ一応、路地にテレポートしたが。
「じゃあどうする?」
「まだ人が多いわね。」
「じゃあこうしますか。らひ…」
「ねえ、せっかく見にきたのだからテレパシーで会話してよ!」
「はいはい。」
(で、作戦っていうのは?)
(えっと、羅人はマリーさんと一緒に、クースさんは僕と一緒に町を観察するんです。何か異変があったらテレパシーで教えれば良いでしょう。)
((賛成ー!))
(というかマリーとクースを置いていっている気がする…)
(良いんですよ。自分でそうしてくれと言ったのだから。では行きましょう。)
「えっと、マリーは俺に、クースは王累についていってくれ。では行くぞー。」
「師匠と一緒が良い!」
「クース、我慢してくれ。また今度な。」
俺は出来る限り笑顔を作り言う。ここで拗ねられたら本末転倒だしなぁ。
「師匠がそう言うなら…」
うまく引き下がってくれたか。
「じゃあ各自がんばろー!」
そういい別れながら俺と、マリーは歩き出した。この後、マリーが危険な目に合うことを知らずに…
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