王累の能力


テレポートしたのは、毎度お馴染みマリーとネリーと出会った時の例の草原だ。

「すご〜い!無念唱で、私達が出会った草原に!」

「テレポートもゲートと、同じような能力です。共通していない所は、その、ゲートを開き、潜る手間が省ける事ですかね。」


「というか、神獣同じような能力なんだね。」

「そーだな。」

「他にもあるぞ!」

筋利、興奮してきたな。

「他にも俺達が共通して持っているのは、テレパシーだな。」

「てれぱしーとは?」

「脳内で、しかも離れたところでも会話ができる能力よ。やって見せたいのだけれど…」


まあやって見せたいのは俺だってそうだけれど、出来なくない?

「それなら、今からギルドに行って、四人で、何か依頼を受けて、モンスターをてれぱしー?で連携しながら倒してみてよ。そうしたら私達にもわかるでしょ。」

「マリーちゃん、それいいね!」

「俺も別にいいと思うよ。」

「じゃあレッツゴー!」


「こんにちは。皆さんギルドへようこそ。今回はどの様なご用件で?」

偶然側にいたレイパルさんが声を掛けてくれた。


「えっと、モンスターの討伐依頼などって今あります?」

「申し訳ありませんが、今は御座いません。しかし、最近ベムルで、強盗や空き巣事件が多発していましてね。それで何度もどうにかしてくれと依頼が来たのですが、その犯人の情報が夜に事件が多発しているという事しか無くてですね。対処出来ないのですよ。なので、もし良かったら羅人さん方でその強盗達を捕まえて頂きませんかね。もし、捕まえて下さったのならギルドランクを昇級させますが。」


(どうす…)

「やります!」

「え!」

何でマリーが答えるのか…。


「だっていいでしょ。四人でやれば私たちにもあのことがわかるでしょ。」

マリー、どれだけテレパシー見たいの?

「まあそうですけど…」

「いい?」


「「「「わ、わかった。」」」」

「よし、じゃあその依頼受けまーす!」

「わかりました。どうぞお願いいたします。何か質問などございませんか?」

「あの、この依頼の期限などありますか?」

王累が言った。


「えっと、三日後位まででお願いいたします。」

「わかりました。では。失礼します。」


そんな会話をして俺達はギルドを出た。

「ところでネリー、ギルドランクって何?」

「ギルドランクというのは、ギルドで依頼を受けて、ギルド員さんの判断で昇級出来るランクの事です。分かりやすいように色分けされていて、下から緑、赤、青、銀、金、白という風に分けられるのですよ。でもギルド員さん、判定が厳しいから私達は未だに緑ですけどね。」

ネリーが笑って答えてくれる。可愛いなぁ。


「ありがとう、ネリー。」

そう言って頭を撫でてあげる。

「は、はい!」

「で、では犯人は夜に動くとのことなので一度屋敷に戻り、夜になったら動きましょう。」


「【ゲート】」

「じゃあ自由時間ということで。解散!」

「はーい!」


そういえば、この屋敷に初めて来た時に見つけた本、読んでなかったなぁ。読んでみよ。


俺は自分の部屋に向かう。ちなみに俺の部屋は二階の端にある。くじ引きで決めたからなー。本当は真ん中が良かったんだけどなー。屋敷の改装も少しずつ進めている。まあそんな事を思いながら俺は本を開く。


……あれ、読めない。表紙は読めるのに、中身は読めないなんて、どういう本だよ。


レイカなら分かるかも知れない。聞いてみよ。

「レイカー居るー?入るよー。」

「はーい。どうされましたか?」

ちなみにレイカの部屋は俺の部屋の隣の隣だ。

「この本さ、表紙の文字は読めるんだけど、中身は読めないんだよな。」

「見たところ、表紙はランズ語ですが、中身は古代ミフル語ですね。解読するには王累さんの能力、能力上昇で解読すればいいんじゃないでしょうか。」

「王累の能力か。ありがとうレイカ。じゃあな。」

「お役に立てて光栄です。」


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