取り敢えずいろいろツッコませて

 ※神様の送る金額を三百万から一千万に変更しました。




 神様からの手紙を読み終えた後の俺の心の中には、「とにかくいろいろツッコませろ」という気持ちでいっぱいだった。まあでも、しょうがないだろ? 内容が内容だし。


 それじゃあ、ツッコミタイム開始。


 ――一千万とか頭おかしいんじゃねぇのっ!?


 いやまあ貰う分には問題ないんだけど、それでも一千万は多くないか? 入学手続等が終わっているのなら学費だって俺が払うわけではないだろうし、お金がかかるとしても食費や生活必需品、あとはエルだって女子だからお洒落な服とか買うことになるのかな? でもそれだって神様が届けてくれるって言ってたし……しかも大学に入らせるとなると逆に足りないし……もうよくわかんねぇ! 少なくとも、そんな大金を俺みたいな何の取り柄も無い高校生が手にするのはおかしいだろう。金銭感覚が俺とは違うのかな? 後で臓器売って返せとか言われませんように……。


 というか、大学に行くとして、その際の学費を考えないとすれば……うん、やっぱ多すぎる。


 俺にもある程度の仕送りが来る。「人生経験」だとかいう理由で一人暮らしを強要できるくらいには親が金持ちである。だから、一人と二人ではさほど変わらない食費や共用可能なものが多い生活必需品だけではとても一千万なんて大金を使い果たせない……って、別に使い果たさなくてもいいと思うけど。ってことは過剰な分は迷惑料的な感じってことか……全く迷惑じゃないしむしろエルが来てくれて嬉しいまであるけど。


 ねくすと。


 ――いや、俺の心の中でも読めたりすんのかよっ! ピンポイントで悩み当ててきやがって……まあ助かるんだけども!


 ……そう言えば、神様の性別ってどっちなんだろ。男なら、正真正銘の変態で通報待ったなしなんだが……だって、女性用の下着とか持ってんでしょ? こっちに送ってくるくらいなんだから。男だったら……引くどころじゃないわな。語尾的に男感漂ってるけど俺は110の用意をした方が良き?


 ねくすと。こっからが問題。いや、ここまでも問題だけどもっ!


 ――なんでエルの戸籍を俺と同じ名字で勝手に作っとんじゃゴルァァァァッ!


 まあ、わからなくもないぞ? 新しく苗字作るよりも、既存のものに付け加えた方が信憑性だって増すだろうしな。妥当……とまではいかなくとも、かろうじて理解はできる。


 だが……理解できることと納得できることは違うわけで……いやまあ、エルともし結婚とかしたら苗字統一されるけど……って何考えてんだよ俺……恥っず。顔赤くなってんじゃね??


 …………うおっほん。では、気を取り直して。


 同い年と遠い親戚ってのはまあ便宜上それが一番適していると思うし、特に問題はないと思う。


 んで、「くれぐれも天使だと口外しないように」ってのはなんでなんだろうな。どうせ妄言だのなんだの言われて信じられないだろうから言わないだろうけど。親だってうちに全く来ないし、将来的な紹介なら別に問題ないだろうし………………オフレコで。みんななにもきかなかった、いいね?


 ……うおぉっっほん。ねくすと。


 ――いや、高校通わせるのかよ!


 なんか絶妙に親バカ感漂い始めてないか? ここらへんから。なんなら神の力とやらで入学手続き終わらせちゃってるし……強引感パない。


 でも、相手は「人の心が無いのか?」と思うほどのクズだ。親バカだなんてそんな……ありえんわな。


 というか、エルは高校通うことになるって知らないのかよ。エルからしたら急に言われても困るだろうに……こういうとこ雑だな、ほんと。


 ……ってかさ、何となく神様こっちの世界について詳しすぎん? 神様だから当たり前だんだけど、なんというか、妙に現実的というか……銀行口座とか、夏休みだとか。……まあ、そんなことどうでもいいか。あいつのことなんていうて興味ないし。


 んで――最後。


 ――いや、過保護かよ。親バカかよ。


 え、悲しませたら神の力総動員で不幸にしてくるとか、オーバーキルもほどほどにしよう? って話。どんなこと起きるのかちょっと気になるけどわざわざ自分から不幸になりに行く馬鹿いないし、ロクなことになんないのは目に見えてるからエルを悲しませたりしないけど。

 それ以前に、エルのこと俺が悲しませることなんてするわけないだろ? 惚れた相手にわざわざマイナスな印象与えるようなことしたくないし。


 つか、悲しませるなって言ってるけど、そもそもお前がエルを捨てた時点で悲しませてるんだよな。人のこと言う前に自分の行動見直せよバカ。


 そんな風に色々と、長々と突っ込んでいると、エルが問いかけてきた。


「――えっと……何か変なことでも書いてあったんですか? さっきからずっと固まっていて、偶に顔赤くしたりしていたようですが……」


 ……え、全部観察されてたの? いやまあ確かに観察してもおかしくはない状況だったけど……なんか気恥ずかしいわ。


「エルも見るか? というか、エルも読んでおくべき内容だと思うんだけど」

「じゃあ……」


 そう言って手を伸ばしてきたので、俺はエルに手紙を渡した。




 ☆あとがき

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宅配便で天使が届きました~神様に捨てられたらしいので、滅茶苦茶可愛がってみた件~ 香珠樹 @Kazuki453

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