第七話 海上、空中、水中、三元一体の攻防 下

「敵機5機撃墜、こちらは2機が撃墜されました。どちらも緊急脱出に成功しています」

「分かった、まだ空戦が続いているんだな」

はい、という航空指揮官の声にかぶるように大きな声が被る。

「新たな敵機を早期警戒機が察知、その数70」

「機構軍広域情報ネットワークより天北海域に展開中の第五艦隊及び第一航空戦闘集団へ、現在全分艦隊が敵航空機による攻撃を受けている。攻撃規模から敵航空機は天北島航空基地だけでなく本土からも攻撃に参加していると思われる。第一航空集団及び各空母所属機は敵機へ対処せよ。また日本国国防軍戦闘機部隊も戦闘に参加する。各部隊は広域ネットワークとの連携を密にし管制機の指揮のもと敵機を迎撃せよ」

まさか敵は本土から航空部隊を飛ばしていたとは、というのが幹部一同の共通認識だろう。

「群司令、どうしますか」

「敵第一陣は現状の艦上機で対処する、現状の艦上機は第二陣対処部隊離艦後の着艦だ」

「了解」

第五十二水上打撃群は敵機第一陣の多くを艦載機で撃墜、一方艦載機も出撃した多くが被弾、または撃墜されており損失は大きかった。

敵機第二陣対処部隊の離艦完了までの間第一陣対処部隊は戦闘空中哨戒を続行していたがその損失の大きさでの哨戒継続は困難と判断しすぐさま帰艦を命じ、その間長距離艦対空ミサイルで敵機を攻撃し続けることで対処した。



「こちら日本国国防空軍支援部隊、機構軍第五十二水上打撃群空中管制隊、応答せよ」

「こちら第五十二水上打撃群空中管制隊、貴部隊は戦闘空域に北西より突入し第二航空戦闘群の撤退を支援せよ」

「了解」

初代F‐3は第六世代といってもほぼ5、5世代といってもよい機体であったが幾度とない改修が行われたことによってF‐22ラプターと互角に戦えるようになった。その後も改修等が行われ転移を迎えていた。

それを操る彼らは日本国国防空軍派遣支隊所属でありもとは精鋭が集まる南西方面隊所属であった。

彼らの戦闘加入によって少数ながら敵部隊と互角の戦いを繰り広げた咲洋所属第二航空戦闘群は撤退し、多くの僚機を失った敵部隊は撤退することになる。





「対空戦闘用具納め」

「敵機は全部隊が撤退、他の分艦隊も撃退に成功しています」

他の多くは今の攻撃が初の航空攻撃であり艦載機のみで防ぎきっていた。

「まだ300km以上ある、油断するな。恐らく我々の艦隊を優先して攻撃してくるはずだ」

最も近い位置にいる第五十二分艦隊に攻撃が集中するのは当然と言えた。


「駐留軍指揮官より撤退命令が出ました南央洋中央条約機構軍最高司令官より感謝するとの言葉が送られて来ています」

「そうか、脱出した者の救助は任せる形でいいんだな」

「はい」

また日本国国防軍も撤退をしていった。



「群司令、空中管制隊より報告。敵艦隊及び艦載機とみられる敵機が我々の進行方向に向かって存在していると見られます」

「対空戦闘用意、残存航空隊を用いて艦載機を迎撃せよ。なお迎撃困難と考える場合は艦対空戦闘を許可する」

最後の戦いの火蓋が今、切られようとしていた。


















航空自衛隊小松基地所属F‐15機墜落による犠牲者へご冥福をお祈り致します。

                                

                                海野快斗








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