第五話 海戦の始まり
「皇国の混乱は収束し、中央世界の平穏は取り戻された。次は征南戦争を終わらせるときである」
「第五艦隊及び海軍第一航空戦闘集団の総力を持って天北海域を制圧、(仮称)天北島を占領せよ」
空母だけでも四隻で構成される第五艦隊は普段通り分艦隊に別れ天北海域へ散らばって展開していた。
どこが
一方、海上帝国海軍
彼らの国家は転移国家であり、技術力において南央洋中央条約機構に決して劣るものでは無く、一部技術では勝ってすらいた。
だが軍事力という点では劣っていることを制海国の犠牲と引き換えに得た彼らは確実に国土を防衛するために戦略を練っていた。
まず第一段階として海上帝国が持つすべての属国の艦隊を敵艦隊へ突貫させ敵の対艦ミサイルを消耗させる。
この時旧式の潜水艦も魚雷射程圏内に前進させる。
恐らくこれらの潜水艦は撃沈されるだろう。
その上で天北島に近い艦隊を対艦攻撃部隊と最新型潜水艦で叩く。
天北島を取られたら最後、海上帝国の終わりだからである。
最後の砦として主力艦隊が控えている。
中央世界軍はこちらの航空機の航続距離を最大でも自分たちと同等と考えているだろう。
だからこそ艦隊が相手にするのは航空戦力は空母艦載機と天北島の基地航空隊だけと考えるはずだ。そこに穴がある。
海上帝国の軍事技術の真髄は航空機エンジンにある、他の国では成し得なかった広大な航続距離を生かして多くの強力な航空機を空域に使用できるのだ。
本土からの航空隊を持って艦隊を叩くための最良を作戦を立案していた。
南央市国 南央洋中央条約機構軍統合司令部
「司令官、天北海域に展開中の第五艦隊各分艦隊が中規模の艦隊と衝突、恐らく海上帝国従属国の艦隊ではないかとのことです」
「その理由は」
「敵艦隊のものと思われる通信域が各艦隊で別々の物と同一の物が混在しているためです」
従属国の中の通信と統合通信回線があるというわけである。
「分かった、すぐ片付けろ。常に対潜警戒を厳に」
おかしい、どこかを集中して叩いてくると踏んでいたがまさか敵はこちらの艦隊をすべて迎撃しようとしているのか。戦略上天北島に近い艦隊から機動艦隊と基地航空隊で攻撃したほうがいいはずだ。
まさか・・・
「今すぐ旧制海国に駐屯中の日本国国防軍へ至急の応援要請、天北海域へ進出可能なすべての戦闘航空部隊の出動を要請する」
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