第六話 崩壊
日本 総理官邸
「ですから、南央洋中央条約機構からの要請で国防軍の派遣要請です」
「なぜだ、機構軍、その他中央世界各国による征南戦争は成功を収めてたのではないのか」
「それについては機構軍の方が詳細の報告に来ていますので…」
そう補佐官が言うと部屋の扉が開き見慣れない軍服姿の男が入ってくる。
その男は敬礼をした後、軍人らしいはっきりとした声で言う。
「南央洋中央条約機構軍最高参謀本部付連絡士官、水上大尉であります。森元閣下に
南央洋中央条約機構最高会議議長及び軍最高司令官からの要請をお知らせに参りました」
「……なぜだ」
「日本政府の皆様に置いては現在、中央世界が危機に瀕していることをご存じないと思いますのでご説明させていただきます」
軍人らしくない言葉遣いに少し驚きながら首相は頷く。
「現在、神聖日光皇国では政変が発生しており一部では治安部隊と反乱勢力による武力衝突に発展しています。これを受け南央洋中央条約機構軍皇国派遣部隊の一部が最高司令官命令による独立戦闘権限を行使し、治安部隊と共に秩序の回復を目指し戦闘行動をとっております」
「皇国で政変、か」
「はい、それだけならば派遣部隊のみで対応出来るのですが斉東連邦共和王国で革命が発生し、中央世界軍臨時連絡会議にて南央洋中央条約機構軍が共和王国政府に協力することで一致しました」
「だからか」
「そのため撤退する機構軍に変わり日本国国防軍が占領軍として制海国に入って頂きたいと思います」
「我が国がそれを了承するとでも」
そう怒りを露にした首相に大尉は
「ええ」
と確信した顔で言った。
南央市国 南央洋中央条約機構 第一控室
「そうか」
「はい、陛下。水上大尉を派遣しております、彼ならば了承させれるでしょう」
彼は外交官上がりだったな、という陛下に最高司令官は言う。
「陛下、ご命令を」
少し渋った後、命令は下された。
「第一派遣旅団に命じた独立戦闘権限を撤回。南央洋中央条約機構軍に命じる、
皇国及び共和王国の秩序を回復し、世界秩序を回復せよ」
「了解」
この世界で最強の軍が、全力で動き出した。
その時、皇国では第一派遣旅団が皇都で奮戦していた。
質では当然世界最強軍の一角である旅団側が上回るのだが、量では皇都制圧に全力を掛けた武装勢力が上回っているため一進一退の攻防を繰り広げていた。
だが地方では数が少ないため攻撃を受けなかった基地がある地域は軍によって制圧され、その他の地域は現地の治安維持部隊と戦闘が繰り広げられていた。
一方、共和王国では……
「成功か」
「もちろんですよ、皇国の同志も蜂起に成功したようです」
「そうか」
どうでも良いという顔したその男は東都を望む丘の上からこれから自分の物になるこの景色を眺めていた。
そこに駆けて来たのは血相を変えた部下だった。
「どうした」
「報告します、現在機構が会見を開いており、そこで最高会議議長が機構軍全軍に対し世界の秩序の回復を目的とした戦闘態勢に入ることを命令、各国政府に対し皇国及び我が共和国に対し本国軍を含めた全力を派遣する旨を通達しました」
「終わったな」
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