第二話 最高会議
南央洋 南央市国 南央洋中央条約機構本部最高会議場
「山風天馬元帥、入られます」
扉が開き静謐とした空間へこの場に入ることが唯一許された軍人が入ってくる。
「遅れてしまい申し訳ありません、第四艦隊に指示しておりました」
「良い、座ってくれ」
「はっ」
この場で最も上位に座る者が開会を告げた。
「各国元首に置かれましてはこのような緊急招集に全国家応じて頂けてかたじけないがかなり緊急性があるものなのでね、では始めようか」
「まずはこの事態の始まりから説明してもらう、山風天馬機構軍最高司令官」
「はい、まず皇国から一報があり転移国家の情報がありました」
この日本国転移についての報告書が回される中つまらなそうに、そして面倒くさそうに述べていた。
「それについて西南央洋担当の第四艦隊より報告があったためその場所に外務局員数名をすぐさま第五艦隊に乗せ派遣艦隊として派遣しました。」
「その後は外務局長より報告居致します」
そう言って立ったのは山風春馬外務局長である。
「転移国家、日本国と名乗った彼らの文明は機械文明第三次文明と思われます」
「それで、彼らは侵略国家であったのか」
会議に参加している者達が最も気になるであろうことを問うたのはこの機構でナンバー2の立ち位置にある蒼風国国王だった。
「いえ、至って普通の平和主義国家です、現在は」
「現在は、ということは今後変化があるということですかな」
「いいえ、そのようなことは無く、過去には一時期軍すら持っていなかったそうで」
「分かった、ありがとう。それで彼の国には加盟の意思はあるのか」
この
「まさか加盟させるつもりなのですか、議長」
あからさまに否定する口調なのは銅亜大陸連合共和国大統領である。
「ああ、そのつもりだ、異世界の文化などを我々が享受することによって新たなる
物を生み出すことができるだろう」
「そうですな、それは間違いない」
先の戦争の戦功一位、二位の国家である春風国と蒼風国の国王の言葉は重い。
いくら戦勝国の戦功第三位である共和国でも口を挟めなかった。
中世から各国の諜報機関が暗躍しこの国家同士を離れさせようとしたが不可能であったという。
「話を戻しまして、彼の国ではかなり議論が為されているようですが、時期はともかく間違いなく加盟はするでしょう」
「それが外務局の判断か」
「はい、
「そうか」
箋聯とは元々は春風国にあった諜報機関及び頭脳集団としての役割を担っていた組織である。機構が出来るにあたって諜報機能は違う部門へと変わったが頭脳集団として活躍していた。
「では、これで閉会としたいが何かあるか」
「申し訳ありませんが一つ宜しいでしょうか」
「どうした、機構軍最高司令官」
「実は南方世界で少々問題がありまして、それについて第四艦隊に指示したのですが
各国に置けましても知っておいていただきたいと思います」
「なんだ」
南方世界とはこの星で南央洋地域より南を指す。
「南方世界で新たなる覇権国家、ミリジミア海上帝国が興りまして海上覇権を得ようと中央世界へ進出してきておるのです、日本国にもその属国であるトーリア制海国の海軍が攻めてきたようで、その・・・」
遅くまで続いた会議はとある事を決定し、閉会となった。
久し振りの南央洋中央条約機構視点でした。ていうか蒼春同盟って書いてから思いましたが
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