第37話ー⑥ 葬儀委員・柳井義久
ライヒェンバッハ宮殿
演習が開始されてしばらく経ったころ、楡の間の大公の元に演習の経過報告が入った。
『現状半年ほど経過しましたが、作戦に進展は見られません』
「そうか……グライフには、少々手荒でも構わないと伝えてくれ」
楡の間で皇帝不在中の執務を代行していたマルティフローラ大公は、国防省事務次官、ジョン・ジョージ・モリソンの報告を聞いていた。
『はっ、しかしそれでは』
「どのみちシミュレーションだ。今回は問題点を洗い出すことが重要だろう」
『では、そのように』
「手加減なしか……メアリー、それほどお前は辺境征伐を拒むのか」
侍従の持ってきた紅茶を飲みながら、大公は我知らず国防省のある方角の窓を見つめていた。
国防省
第四作戦室
「作戦開始から半年。前線は膠着状態です……が、我が方の被害も惨憺たる有様です」
柳井が表示したデータに、青軍参謀本部員は声を失った。
「軍民合わせて五〇〇〇万人がこの半年で死亡、焦土作戦の結果使い物にならなくなった惑星が一〇、艦船の被害五四〇隻、しかし主力の温存には成功しています。現状第一防衛線に帝国軍を拘束することに成功しているようです」
あまりの様相に、ギムレット公爵に鍛えられているはずの近衛参謀達も顔を青ざめさせて言葉も出ない様子だった。柳井とマルテンシュタイン、そしてギムレット公爵だけが平然としている。
「
「帝国軍に使う口実を与えると厄介ですから」
柳井が公爵にきっぱりと言い放つが、それも希望的観測に過ぎない。マルテンシュタインは使おうとしていたが、柳井は双方の犠牲が膨れ上がると止めさせていた。
人類が、正規軍同士の戦いで最後にBC兵器を大量投入したのは今から六〇〇年ほど前、アフリカ大陸から中東、中央アジアにかけて一〇年にわたり続いた紛争を総称した再編成と呼ばれる戦争で、当時の中央アフリカ連邦が使用したものが確認された中では最後になっている。それ以降、地球連邦が誕生し、その後継国家として地球帝国が成立してからも、BC兵器の製造、備蓄については自粛されている。
なお、Nに当てはまる核兵器については、現在ではより威力の巨大な反物質兵器に置き換わり、核融合弾についても現役ではあるが、地上攻撃に使うにはあまりに威力が大きく、戦術的な妥当性の観点から使用されていない。
「帝国皇帝の剣と盾たる近衛士官の皆様には、あまり好ましくない戦い方だろうが、これは高い確率でFPUが実施する戦術であり、現実になるかも知れない展開だと、肝に銘じて頂きたい」
マルテンシュタインの言葉に、参謀達は頷いた。
「しかし、帝国軍は現地への弾圧を強めつつあります。恐らくグライフ提督は、現地の民衆の懐柔を諦めているのでは?」
それまでも弾圧がないわけではないが、占領地住民の慰撫にはかなり気を遣っていた筈の帝国軍の侵攻スピードが上がり始めた。占領政策が転換され、FPU領域内にも橋頭堡を築きつつある証左だった。それに合わせて青軍側民間人死傷者の増加ペースが加速していく。
「情報部の調査では、赤軍艦隊はいずれも物資の充足率が平時の七割程度まで落ち込んでいます」
「全力の二会戦分というところですね」
情報参謀が各所の情報を纏めて報告した。帝国艦、特に第一二艦隊をはじめとする東部方面軍艦隊は、いずれも長期間辺境部で任務に就く都合上、三会戦分の物資を保持することが定められていた。
また、この一会戦の想定は普段の帝国領内におけるものであり、自分達が襲撃を受ける側になると想定が狂うというのが、青軍参謀部の結論だった。
「では、参謀総長。そろそろトドメと行きましょうか?」
マルテンシュタインが促し、柳井は決断を下す。
「そうですね……主力艦隊を第五宙域に進発させる。敵赤軍第八艦隊をまずは撃滅する」
第八艦隊が駐留する第五宙域は、他の赤軍占領地域よりもFPU領域の奥深くへと進出していたが、これは同時に包囲の危険にさらされていると言うことでもあった。
「第一、第二艦隊に攻撃を下命、敵艦隊殲滅を第一目標に。第三艦隊は敵補給線への阻止攻撃を続行。他艦隊は占領地の維持で手一杯だろう」
柳井の指示により作戦参謀が艦隊への攻撃命令を下達し、シミュレーション内部で大規模な艦隊戦が勃発する。
「第八艦隊は占領地を放棄、第一二艦隊が保持する第四宙域へと撤退を開始」
「さすがに判断が速いな。無理に追撃しても被害が増えるか?」
「
柳井は作戦参謀のベイカー少将に声を掛けた。少将も同様の認識だったようで、すぐさま艦隊の行動を変更させていった。FPU艦隊の編成は帝国軍以上に戦隊単位での自律性を重視しており、柳井の指示により、群狼戦術に移行した青軍艦隊は無数に分裂して赤軍艦隊を追った。
「第一二艦隊の進駐宙域の抵抗運動を強化。惑星を離れたら占領地を失うという恐怖を与え続けるんだ。挺身突撃を強化。軍政当局員への攻撃を重点的に実施」
辺境惑星連合内部で用いられる挺身突撃とは、自爆テロを言い換えたものに過ぎない。マルテンシュタインは、これを命じながら、現実世界でこれを行なうのは外道でしか無いなと自嘲するように笑みを浮かべた。
第二作戦室
「閣下、第八艦隊は占領地を放棄しました」
赤軍参謀本部を預かる第一二艦隊参謀長アロワ・ムガイ・ムラエ中将――前任のミラー中将は不正献金が明るみに出て辞任、逮捕されている――報告に、グライフ大将はうんざりしたような表情で応えた。
「七ヶ月を要して敵第一次防衛ラインの突破もままならぬままとは……実際にこんな戦いになるのは避けたいが」
「演習ではありますが、高い確率を持って現実になるシチュエーションだと、情報部の参謀も申しております」
「うむ……」
大将自身、自分が辺境鎮撫のグライフなどと呼ばれていることは承知していたが、その称号も、こんな作戦の後にはもっと違うもの、それもマイナスなイメージのものになるのだろうと溜息を吐きながら考えていた。
「血染めのグライフ、などと呼ばれるかな、私は」
「はっ?」
「いやなんでもない。それよりも第八艦隊の合流後、戦線を一時縮小する。敵艦隊はこちらより弱小だ。第八艦隊残存を糾合して当たれば――」
「か、閣下!」
「どうした」
「あれをご覧ください……!」
情報参謀が指さす作戦室の大型スクリーンを見て、グライフは唖然として固まった。
「これはなんだ……! 何が起きている!?」
第四作戦室
「柳井参謀総長、これは一体……?」
ベイカー少将がやや芝居がかった様子で柳井に問う――柳井には承知のことだと思っていたらしい――が、柳井も目の前のスクリーンに表示される事象が理解できなかった。帝国とFPU領域全体を映し出す領域図に、次々と赤い光点が灯っていく。
「帝国辺境部で大規模叛乱、帝国軍兵站拠点の制圧、および現地武装勢力が政庁を制圧して独立宣言。日頃の行いがようやく花開いた、と言うわけです」
マルテンシュタインが爽やかな笑みを浮かべていた。帝国辺境の最外縁部にある数十の自治共和国が一斉に帝国からの分離独立を宣言し、帝国軍の後背を遮断する動きを見せたのだった。
「帝国軍の後背地として民間インフラも含めて帝国軍の優先使用が続き、物価も軍事物資として徴発されるので高騰している。しかしそれなら中央政府がなんらかの補助をすれば良い。しかし政府による経済支援も中途半端で遅い。情報統制もかなりのストレスを与えている」
「辺境部でのデモやテロの連続は、辺境部の自治共和国市民に不安と
マルスによるシミュレーションでは帝国臣民の政党支持率や世論もシミュレートされている。特に侵攻開始以降、東部軍管区辺境部では帝国中央政府、現政権与党、ひいては皇帝に至るまで支持率が急落し続けていた。
その結果が、分離独立の続発という形になって表れるまで約八ヶ月を要したが、むしろたったの八ヶ月でそれまで安定していた筈の星系でさえ独立する恐れがあるという結果に、第四作戦室のみならず、演習に参加していた全員が
「さあ、東部軍の戦力を前線に貼り付けておくと、後背地をすべて失うことにもなりかねないぞ。辺境鎮撫のグライフ閣下はどうする?」
「あなた、本当に帝国臣民帰化資格試験通ったの?」
ギムレット公爵に問われて、マルテンシュタインは満面の笑みを浮かべた。
「ええもちろん。そして私は、新たな母国となった帝国が無謀な戦争を起こさぬように、こうして協力しているわけです」
「帝国軍は、西部から戦力を引き抜いて対応するようです。治安維持艦隊、降下揚陸兵団も同様に」
「ほぅ、手薄になった西部を放置しておくつもりか?」
「本国からの戦力移転をするのと並行するようですね。西部軍管区の浸透工作員へ、活動開始を下命させます」
マルテンシュタインが指示を出す前に、柳井は先回りして参謀達に命じた。
「柳井さんはごく短期間で我々の戦闘教義をご理解頂けたようだ」
「まあ、私も辺境賊徒との戦いには慣らされてしまったので……」
柳井とマルテンシュタインが話している間に、次々と叛乱やテロが発生し、西部軍管区の宙域図が赤く染まりつつある。同時に、民間人の犠牲もさらに増えていく。
第二作戦室
「閣下……」
赤軍司令部は騒然とすることさえやめて、沈黙が満ちていた。どうにか参謀長が、グライフ大将に指示を仰ごうと苦しげに言葉を絞り出したが、それが精一杯だった。
「わかっている。中央軍の増援だけでは、東部の叛乱は鎮められない」
「西部から戦力を引き抜いては?」
「西部が不安定化するだけだ。帝国の優勢というのは、つまりこの程度のものなのだ。僅か一年足らずで作戦中止。私に無能の烙印を押されても仕方ない結果だな」
東部方面軍の任地で続く叛乱鎮圧のために、西部方面軍や中央軍の増援を得たとしても、手薄になる場所、特に西部軍管区で同じように叛乱が勃発すれば対処のしようがない。帝国辺境における敵の浸透工作が深刻な状況だと、グライフ大将は改めて深刻な危機感を覚えた。
「第五作戦室はどうなっている」
「星系自治省司令部は続発する叛乱に対応が追いついていません」
「第一作戦室は」
「中央官庁合同本部も自治省同様、対応に窮している様子で……」
参謀達の報告に、グライフ大将は赤軍の敗北を察した。
「第四作戦室の公爵殿下に通信をつなげ」
『グライフ提督、なにか?』
「殿下、赤軍は敗北を認め、撤退します。こうまで状況が悪化しては、これ以上の作戦行動は不可能ですので」
勝ち誇るような笑みを浮かべた公爵に対し、大将は最敬礼を取ってから告げた。
『せっかく提督の退き口を見せて頂けると思ったのだけれど』
「そこまでしては、演習が長引くだけでしょう。どのみち、今回の演習は赤軍が勝利条件達成不可能ということは変わらない」
『わかったわ。演習終了を受け入れましょう。いい戦いだったわ』
午前中に開始された演習は、帝都を夕日が照らすころには完了。この演習の結果はすぐさま各方面軍や関係各省庁のトップ層に共有され、予想以上の悪い結果に衝撃が走った。
本日行なわれた演習の帝国側被害集計は以下の通り。
赤軍損害は、第八、九、一〇、一二艦隊とそれに付随する遊撃戦隊や治安維持艦隊などを合わせて大破・轟沈、二二五隻。中破航行不能、五〇二隻。未帰還機、一三五〇九機。これは帝国軍通常編成三個艦隊に匹敵する。
将兵死傷者数は一三二四万四五九二人、民間人死傷者数は四〇二万四五九二人となり、これが現実の戦闘であれば帝国軍始まって以来の大損害ということになる。艦艇乗組員の被害は当然ながら、降下揚陸兵団や治安維持部隊の人員に夥しい犠牲が発生した。また、補給船団に参加していた民間軍事企業、輸送会社の人員にも犠牲が出ている。
これに加えて、演習終了時点で自治共和国一五ヶ国が帝国からの離脱を宣言、二〇ヶ国が無政府状態に陥り状況不明。前例のないことだけに星系自治省を中心に報告書を見た者が顔を青ざめさせるに十分な結果だった。これらは現状を分析したデータが入力されており、もし本当に辺境征伐が行なわれれば現実のものになる可能性が高いからだ。
対する青軍損害は、大破轟沈八四隻。中破航行不能、四五二隻。未帰還機五六九機。そもそも艦艇の絶対数が少ないだけに壊滅に近い被害を受けていたが、それでも当初戦力の三分の二は温存している。大規模会戦を避けるだけ避け、帝国軍の補給線寸断と
しかし死傷者数、一億四九二一万四九二五名。西軍死傷者には民兵として戦闘に参加した民間人も合算したため、直接戦闘部隊よりも挺身突撃攻撃、治安維持部隊への襲撃、帝国軍による砲爆撃により都市区画ごと吹き飛ばされた死者も含まれ、帝国の標準的な自治共和国一つに匹敵する人口が失われたことになる。
さらに言えば、これは演習でシミュレーションされた戦闘が行なわれている期間内だけの被害であり、その後に発生するインフラの壊滅的被害などによる餓死、病死、社会機構の混乱による死者は算入されていない。
いかに帝国の総人口が一兆人を超えるとは言え、国が一つ失われるという結果に驚かない人間はいなかった。
いずれにせよ、現実に起きたのなら帝国史において最大の戦いであり、最大の死傷者をもたらすことは間違いないと言うことが明るみに出てしまったことで、皇統会議、そして皇帝選挙、さらにはこれから行なわれるはずの下院総選挙への影響は避けられない状況となってしまった。
ライヒェンバッハ宮殿
楡の間
衝撃が走るよりも先に頭を抱えたのが、マルティフローラ大公だった。普段は穏やかな笑みを浮かべた美丈夫が、この日ばかりは苦虫を噛み潰したような表情をして、老け込んだように見えたと侍従の証言が残されている。
「グライフ提督、卿はどう考える」
楡の間に呼び出されていたグライフ大将は、大公の質問にも顔色一つ変えなかった。
「マルスによるシミュレーションは、我々軍人も信頼するところです。高い確率で、現実のものになると考えられます」
一日で一年分の戦闘指揮を行なっても、グライフ大将は些かも疲労を見せず、大公の質問に淀みなく答えた。演習により判明した問題点を改善しても、大筋は変わらないというのが第一二艦隊司令部の結論だった。
「で、卿の所見で、FPU討伐に成功する確率は」
「確率で出すことは難しいですが、どのような犠牲を払ってでも征伐せよと言われれば、帝国軍人としては従いましょう」
「……あの演習による損害は現実に即したもの、ということか」
「第一二艦隊参謀部においても見解は一致しております」
第一二艦隊の参謀達は演習の結果に不満を持っていたが、検証を重ねても結果は変わらず、赤軍側の行動次第ではより被害が増大するパターンさえ存在していた。グライフ大将は、大公の機嫌を損ねることを承知で忠告することにした。
「畏れながら、これが何らかの現実になるようなことがあれば、この演習の結果以上の損失を受けることも考えられます」
どんな反応が返ってくるかとグライフ大将は待っていたが、マルティフローラ大公はしばらく黙り込んだ後、頷いた。
「今日はご苦労だった。ホーエンツォレルン元帥にもよろしく伝えてくれ」
「ははっ」
グライフ大将が退室した後、大公は別室で待機していたコノフェール侯爵フィリベール、フリザンテーマ公爵アレクサンドルを呼び出した。
「大公殿下、これはあくまでシミュレーション。現実の戦いは……」
「所詮はシミュレーション、あり得る可能性の一つでしかない……しかし……」
演習の結果を見たコノフェール侯爵もフリザンテーマ公爵も、あまりの惨敗に戸惑いを隠せなかった。
「しかし、誰かが、どこかの世代がやらねばならない。辺境部の政情不安も、結局は賊徒が跳梁跋扈していることが原因だ」
「それもそうですが」
「フリザンテーマ公、コノフェール侯、心しておけ。明後日の皇統会議、荒れるだろうからな」
ラインツァー・ティア・ガルテン
ギムレット公爵帝都別邸
「我々の勝利に乾杯」
公爵は別邸に柳井と――ほぼ下宿といっていいが――マルテンシュタインを招いて、夕食を取っていた。ワイングラスを掲げて見せた公爵に、柳井は苦笑いを浮かべた。
「まだ勝ったわけではありませんが」
「大公の向こう
マルテンシュタインと柳井に問うた公爵自身、演習の経過が現実のものであってほしいとは思わなかった。両軍の犠牲が余りに大きく、得るものは少なすぎた。
「殿下は我々の指揮を疑われると?」
「柳井はともかく、マルテンシュタイン、あなたを信頼まではしてないわ」
「これはまたハッキリと言われますな……やりますよ。連中はそういうことをやるんです。我々辺境惑星連合は、帝国の侵略を受けて暴虐な帝政に飲み込まれるなら、惑星諸共自害する。そう育てられてきたのです」
マルテンシュタインもグラスを掲げた。ワイン越しに公爵の姿を見つめたマルテンシュタインは、笑みを浮かべる。
「あなたはなぜ、そうならなかったの? 帝国に捕われ、帰化するだなんてあなた達の教義からすれば背信でしょうに」
「現実を知らないが故に、そういう過激思想にのめり込めるのですよ。私のように前線勤務が多ければ多いほど、現実に触れる機会は多くなる……」
マルテンシュタインは、目の前の皿を見つめた。柳井と公爵も、釣られて皿に目を移す。
「帝国の植民惑星に、偵察で降りたことがあります。その豊かさに圧倒されました。あなた方が辺境の片田舎と思えるような場所でも、常に超空間通信で帝都の情報は手に入る、スーパーマーケットには地場産の生鮮食品が並ぶ。それが培養工場の人造畜肉や、農業プラントの隔絶された環境で養殖されたものであっても、我々には、それさえなかった」
柳井は以前、公爵のために辺境情勢のレポートを纏めていたが、その際にも辺境惑星連合の各惑星の食糧事情は酷い有様で、年齢層別に見ても、どの層の人間も帝国基準の必要カロリー量を摂取出来ていなかった。
「帝国の農業は素晴らしい。ナノマシンと合成肥料による土壌改良は、ただの砂を数十年で豊かな土壌に変えていく……連合はそれさえ民衆には与えない。砂塵が舞う乾ききった惑星で、我々は飢えと隣り合わせになりながら、日々、帝国への憎悪を募らせていく……不毛だ。あまりに不毛だ。どこかでこれを終わらせねばならない」
マルテンシュタインの言葉に柳井と公爵も頷いた。
「そうならないようにするために、我々はなんとか領域維持政策を帝国の国防方針にしなければならない……頼むわよ、柳井」
「はっ」
これで湿っぽい話は止め、とばかりに、公爵は再びワインに手をつけた。
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