第36話ー④ 統括管理官・柳井義久

 ゲフェングニス349

 低軌道

 軌道都市 トランキル193


 多数の帝国植民惑星で利用されるリパブリック級軌道都市船は、超空間潜航技術の開発後に建造された超大型の移民船だった。対象惑星到着後は軌道上に止まり、初期開拓拠点として使われたほか、その役目を終えてからも軌道都市として運用されることが前提となっている。同型の軌道都市はゲフェングニス349の低軌道に三基、いや三隻配備されていた。


 それが今や、往事の星間航行可能な超大型船機能の再稼働に向けた準備が開始されていた。定員は一〇〇万人とされていたが、これをさらに拡大すべく、柳井はある指示を下していた。今はその計画の進捗状況確認のため、軌道都市へ視察に訪れていた。


「柳井統括、お忙しいところご足労願い恐縮です。船長のミロシェビッチです」


 初期開拓時代の名残で、軌道都市の管理部の長は、軌道上に都市として固定されてからも船長と呼び習わすのが慣習だった。ミロシェビッチはこの都市船の第五三代目の船長だ。


「いえ、現場を見ておかないと気が済まないタチでして。こちらこそ礼を言わねばならぬ立場です。首尾はどうです?」

「機関部は二週間、軌道都市の旅客区画再整備は、あと一週間ほどで完了予定です。一隻当たり二五〇万人程度は収容できるでしょう」


 軌道都市として軌道上に固定されてからは、軌道都市船の旅客区画は封鎖、もしくは倉庫スペースなどとして転用されていた。これを解放することで、旅客船としての機能が復活できる。もっとも、この都市が最後に動力航行を行なったのは一二〇年ほど前の話で、それ以降は軌道修正のためのバーニアしか使用されていなかった。これの再整備に時間が掛かる。


 そもそも建造から三〇〇年近いだけに、長距離航海のための航法装置や超空間潜航機構なども念入りな整備が必要だった。ゲフェングニス349重力圏内での軌道変更とはレベルが違う。


「生命維持系は持ちますか?」

「一〇〇万人の定員はあくまで安全範囲ですから。そもそもロージントンのアウグスタⅢなどは同型ですが、常時四〇〇万人は滞在しているでしょう? まああちらは仕事などの都合もあるから暮らしているわけではないにせよ、ヴィオーラ伯国までの航海ならなんとかなるでしょう。他の軌道都市も同様です」


 捕虜以外の人員の多くはヴィオーラ伯国への疎開が行なわれることになっていた。東部軍管区に接する領邦でも居住インフラの余裕があることなどを理由にしていた。これがフリザンテーマ公国やコノフェール候国も名乗りを上げていたが、インフラ面でヴィオーラ伯国に劣るとされて見送られた……というのは表向きで、実際はヴィオーラ伯爵の後継候補であるギムレット公爵が自らの受け継ぐ領邦の国力を増強しておきたい、というのが本来の理由だった。


「三隻合わせて六〇〇万人……避難させる市民のこれでも一割強か」


 今回の柳井の仕事で一番の悩みの種は、市民を移送するための船舶の確保になることが、改めて証明されたわけで、柳井は苦笑いを浮かべた。



 ユスティニウム第一収容所 

 面会室


 柳井は定期的にマルテンシュタインに面会を申し込まれ、というより定期的に招聘されるような形で収容所を訪れていた。


「――それに先のピヴォワーヌ伯国での戦闘でも、攻撃に消極的な部隊が見られた。連合内部でも意思統一ができていないのだろうと、私は見ているんだが」


 何せ辺境惑星連合の名将として、収容所の捕虜達への影響力が大きい。移送計画の統括管理官としての義務として、捕虜達の人心の安定も職務の内。一度指示を下せば、優秀な官僚達が仕事をするのであれば、トップの仕事は決裁と詰め腹の用意、それに広告塔としての役目だった。


「私は、かつて帝国軍少佐として、辺境星域での戦闘に従事していました。しかし、その戦闘中、艦長の命令を履行せず、軍法会議に掛けられ、情状酌量で名誉除隊、となっています」


 柳井の軍歴最大の汚点。命令不履行は軍人としてあるまじきものだった。とはいえ、その内容は辺境惑星連合への亡命を求める市民を乗せた輸送船への撃沈命令だったことが、彼を救うことになった。


「あなたのような聡明な人が、何故そんなつまらないことをした。相手は君たちが言うところの賊徒だろう」

「賊徒だろうがなんだろうが、非武装の民間人を討つことを、私は潔しとしません。帝国憲法で、思想の自由を唱えているのですから、例え相手が辺境惑星連合に感化された人間であっても、帝国臣民であるうちは、私はそれを守るべきなのが軍人だと考えています」


 柳井とマルテンシュタインの会話は、二人以外の人物にはとても聞かせられない内容だった。少なくとも、国防大学で同じ事を言えば落ちこぼれの烙印が押されても不思議ではない。無論、柳井は学生時代にそんな回答を表に出してことはない。すべて、彼が軍人になってから醸成された思想だった。


「現場に居たときは気づかなかった。でも今のような、一般市民と軍の中間のような立場にいるからこそ分かる。帝国は本当に同盟を滅ぼす気なんて無い。きっとそれは、同盟が設立された頃からの帝国の不文律なんでしょう」


 二人の討論は時に二時間にも及ぶが、繰り返す都度二人の会話はフランクになる。


「同盟のお偉いさんは、それを知ってか知らずか、帝国の勢いも衰えたと息巻いている」

「帝国本国軍の戦力だけでも、惑星同盟軍の全戦力を相手取って不足はない。その気がないから動かさないだけですよ」


 柳井もマルテンシュタインも、最初のように相手のことを探るような小技は既に取らず、率直な意見交換をする間柄になっていた。


「だろうな、わざわざ方面軍が手こずって見せているのは、いわば同盟に死んでもらっては困るから、か」

「内政が安定している上に、外敵が常に存在し続ければ、それを撃退し続ける帝国軍の地位も安泰。そう考える人もいるようですね」

「では、なぜ惑星を焼き払うようなことをする」


 柳井が帝国軍にいたころから、叛乱を起こした惑星に対する軌道爆撃などは


「引き締めですよ。噂であれ、事実であれ、帝国軍はそれだけの行為をすると、示威している」

「だが、それは逆効果にもなりうる」

「ええ、そうです。だからこそ――」


 そうした会話が何回か繰り返された頃、柳井がゲフェングニス349に赴任して半月ほど経った時だった。


「我々は元々辺境惑星連合の軍人だ。あなた達帝国人民が、命を掛けて、もっと言うならゲフェングニス349の人民のための輸送力を圧迫してでも運ぶものでもあるまい。もっとも、帰ったところで何らかの処罰は免れないだろうが。帝国の実情を知っている人間を、連合の上層部は忌み嫌うものだ」


 暗に捕虜のことは放置して計画を早めろ、というマルテンシュタインの言葉に柳井は首を振った。


「ならば尚の事です。我々はあなた方捕虜を正当に扱う義務と責任があります。疎開は必ず行いますので、大佐から捕虜の皆さんに、そのことを伝えてください」


 

 行政府ビル

 二〇階 疎開計画司令部


 柳井が統括になってしばらくのこと。疎開作業が想定よりも進捗が思わしくないことがこの時期表面化していた。当初から想定されていたが二〇〇〇万人を超える惑星住民を疎開させるのは、帝国史上でも初のことであり、前例のない大規模なオペレーションは各所で齟齬と失錯が多発していた。


「確かに、マルテンシュタイン氏の言にも一理あります。捕虜返還の手間が省けたとさえ言えます」


 マルテンシュタインの申し出について、柳井は宇佐美統括補佐に話していたが、それについての統括補佐の回答が先述のものだった。


「それは違いますね。捕虜を奪取されるのです。返還ではない」

「ここに捕虜を残していけば、それは敵に捕虜を奪回されたことになる。この収容所が占拠され、敵の手に落ちたということ、というわけです。それは避けたい」


 会議に同席していた憲兵大佐も柳井と同じ意見だった。


「つまり、帝国が負けた、という事実を作りたくないわけです。敵からすれば、我々が焦土戦術で戦略的に撤退しようとそんなことは関係ない。帝国は敗走した。そう言えればいいのですから」


 それに、と柳井は疎開計画司令部の管理職を前に改めて基本理念を念押ししておくことにした。


「捕虜は捕虜である以上、帝国と帝国軍によって人権と取り決めにもとづいて正常に管理される権利がある。だから、我々が此処で彼らを放置するのは、それを破ることになる」

「……我々の方からルールを破るのはルール違反、ということですか?」


 司令部員の一人が、柳井に確認するように聞いた。


「そうだ。捕虜は一人残らず疎開する。これが私の基本方針であり、この作戦の絶対条件でも有る」

「統括がそうおっしゃるのであれば、私から申し上げることはありません……しかし、このままでは予測される敵侵攻までに間に合うかどうか」

「何、敵前での船団運行には自信がある。何せ我々アスファレス・セキュリティは、アヴェンチュラで似たようなことをしていたのですから」


 統括補佐が珍しく弱気な様子だったので、柳井は柳井なりに会議室内を鼓舞するつもりで言ったのだが、これに異を唱えた、というより愚痴を漏らしたのは同席していたアスファレス・セキュリティ側の――柳井は統括、そして総督であってアスファレス・セキュリティの代表者ではない――代表者であるホルバインだった。


「あの時とは敵の規模が違います」

「誤差の範囲だよ。当たりどころが悪ければ、原始的な高速質量弾でも船が沈む。ホルバイン、君が知らないはずはないだろう?」

「まあ、それはそうなのですが……」

「ともかく、今できるのは計画を上手く進めることだ。各所の奮闘を期待する」



 二一階 大会議室 


「統括。人員疎開の進捗はどうですか?」

「芳しくありませんね。オペレーション上の齟齬が多い……まあ、これは時間が解決するでしょう。それよりも、大きな問題が」


 サイード行政府長官の不安げな問いに、柳井は事も無げに答えた。


「問題?」

「既にこの宙域に回せるだけの輸送艦がかなり少なくなっています」

「そうですか……とりあえず、捕虜の第一陣は、予定通りに行けますか?」

「予定では。敵艦隊の行動が早いか、こちらが撤退が早いか……ですね」


 柳井はマルテンシュタインから言われた辺境惑星連合側の作戦行動の早さを計算に入れて、現在の計画を常に見直し続けていたが、その中でも最悪のパターンに陥っていることを、この数時間後に知ることになる。



 赤色矮星ERD4922

 駆逐艦クナシリⅡ


 H・U・ルーデル級駆逐艦は帝国艦隊で長らく主力を務めてきたフラワー級駆逐艦を代替するために、第一二次統合整備計画に基づいて大量建造が進められている駆逐艦だ。各種誘導弾、近接防御火器、それに対艦電磁砲を搭載しており、艦隊戦での近距離戦から艦隊防空艦、単艦での辺境警備などを幅広くこなしている。


 先のラ・ブルジェオン沖会戦の後、近衛軍司令長官ギムレット公爵の好意と、ピヴォワーヌ伯国防衛の報酬としてアスファレス・セキュリティに引き渡された後、それまで護衛艦隊主力だったタランタル級重コルベットを置き換えた。


 しかしながら、新型艦の配備の後の初の実戦出動だというのにクナシリⅡ艦長のガンボルト課長補佐は不機嫌だった。


「まったく。柳井部長は一度神社でお祓いかなにかをしてもらうべきだ。絶対何か、よくない霊が付いているに違いない」


 船乗りは、人類が地上にへばりついて生活していた頃から縁起を担ぐモノと相場が決まっており、ガンボルトもその例に漏れていない。旧宗教とも呼ばれる帝国国教会以外の宗教への信仰は、往事ほどの熱意や厳格さは消えていても残ってはいる。帝国国教会でもその辺りをカバーするために、航海安全の護符などを配布している。


「ガンボルトさん、大分ご立腹ですね」

「そりゃあそうだろう。あの部長からの直接命令だぞ」

「言えてる。俺は柳井さんのことは嫌いじゃ無いが、何かとあの人を通ってきた仕事は厄介なものばかりだ」

「お前ら! ごちゃごちゃとうるさい! 黙って仕事をしろ!」


 クルー達の言うように、ガンボルト課長補佐は腹に据えかねる思いとともにゲフェングニス349を遠く離れ、赤色矮星の周回軌道で哨戒任務に従事していた。


「……私は会社の人間だから、部長の指示には従う。だが何だってこんな、寂れたレッドドワーフの周りで――」


 ガンボルトがそういった瞬間のことだった。またたく星々が揺らいだように見えたガンボルトが、周辺警戒をしている通信士に問おうとしたとき、光速を遙かに超えて伝播するタキオン粒子の濁流が、センサー類を叩き始め、遅れて重力波の大波が艦を揺さぶった。


「なんだこの反応は!」

「多数の物体が超空間から浮上します! 浮上座標、極めて至近! 質量推定、いずれも二〇〇メートル以上の船舶……戦闘艦です!」

「こんなところに帝国艦隊が浮上するはずが無い! 波に艦を立てろ! 波が静まったら、情報収集開始! 取れるだけのデータを取ったら潜行開始! とっとと逃げるぞ!」


 このとき、ガンボルトは苛立ちよりも何よりも、この宙域の哨戒を命じた柳井の意図に驚き――悔しいことではあるが――感心していた。



 ゲフェングニス349

 ユスティニウム一番街 帝国行政府ビル

 二〇階 疎開計画司令部


『ガンボルトが敵艦隊を捉えた、と先ほど連絡がありました』


 軌道上に戻ったホルバインからの報告に、柳井は我知らず舌打ちしていた。もしやと思い送り込んだのは柳井だが、予想が的中して喜んでいられる事態でもない。


「どの辺りだ?」

『恒星ERD4922です』

「……敵の規模はわからないか?」

『ちょっとお待ちを、圧縮データがパケットで届いています……ああ、出ました。戦艦一〇隻を主力とする侵略編成の艦隊ですね』

「ガンボルトは無事か?」

『ええ、報告データにも端々に統括閣下への文句が滲み出ておりますよ』

「まったく余裕だな……」


 アスファレス・セキュリティロージントン支社、特にアルバータ自治共和国赴任時代からの古株幹部の度し難い性向である臆面も無く愚痴・苦情を並べ立てるという行状について、柳井は呆れたような笑みを浮かべるだけに留めた。自分の背を見て部下は育つと言うし、自分自身の写し絵のようなものなのだろう、と。


『ブラウンやパンからの報告でも、敵艦隊は予想よりも早くコチラに到着するのでは、ということでした』

「また一撃離脱の妨害行動で侵攻阻止できると思うか?」


 柳井はピヴォワーヌ伯国防衛戦の際、高速艦艇を用いた一撃離脱戦法で侵攻主力艦隊や補給船団を攻撃することで敵艦隊の動きをを大幅に遅延させることに成功していた。


『ダメですね。敵はピケット艦を大幅に増やしてます』

「戦訓に学んだというワケか。参考にされたようで光栄の至り、というべきかな?」

『感心しているわけにもいきませんよ。お望みとあらば我がアスファレス・セキュリティロージントン支社艦隊の総力を用いて玉砕覚悟で挑みますが』

「冗談を言えるうちはまだ大丈夫だな。こちらもスケジュールを繰り上げることにする」


 とはいえ、この疎開計画のスケジュールを繰り上げるというのは、追加の輸送艦や貨客船を手配すると言うことでもあった。柳井はすぐさま本社に連絡を取った。


「輸送船がこれ以上回せないとは、どういうことですか専務」


 柳井と行政府の働きで、疎開計画のための船舶は方々から徴用していたが、特に無茶が効くアスファレス・セキュリティ所有の輸送艦――時間外手当は過去最高額となっている――をフル稼働させていた。それでも足りないくらいなのに、本社からついにストップが掛けられたのだ。


『既に我が社の大半の輸送艦艇をそちらに回している。他の艦隊の補給業務にまで支障をきたしているのだぞ』


 本社参謀本部のギュンター専務は、普段の顰め面がいよいよ皺を深くして、柳井を睨み付けるように、あるいは困り果てているようにも見えた。


「社長から裁可ももらった行動ですが」

『主力艦隊はまだ戦闘中。補給も必要だ。それが分からん君では無いだろう……君のところの部下も鋭意増援の船の選定中だ。それを待ちたまえ』


 通信は軌道上のエトロフⅡにも共有されていたが、不信感五割増しというような表情で、ホルバインは柳井にその不信の余波をぶつけた。


『しかし、本当なのでしょうか? 我が社の他の業務に支障が出ているというのは。本社の嫌がらせではありませんか?』

「あながち嘘ではないだろう。この一週間だけで大型のベルタルベ、ヒトカップ、トウバルベツの三隻と、中型のオトイネップ10、11、12の三隻、合わせて六隻を徴用している。荷降ろしが済んでも、補給物資を積んで前線部隊と合流するには時間が掛かる」


 柳井が壁のモニターに投影したデータは、それを如実に物語っていた。中小軍事企業と大手軍事企業の違いに現れるのが、後方支援艦艇の数である。柳井がアスファレス・セキュリティに再就職してから一〇年。この間に補給艦の重要性を説いて回り、ようやく大型輸送艦の増備が行われたものの、予算難のために三隻で導入打ち切り。結果として不十分な体制のまま、現在に至る。


 一〇年前、あるいは五年前ならジャンカイⅡ級とは言わずとも、その前級ならば中古市場で割安だったのだが、今は中古艦船市場が全体的に高騰しており、アスファレス・セキュリティの予算では手が出ない代物になっていた。


「追加のチャーター便を頼むしかないな。」


 そのまま柳井は、本社にいる事務長のマルコシアス課長補に連絡を取った。


『明日にでも戦場になるかもしれない場所に来てくれる運送屋を見つけるのは至難の業でしょう? なんとか探してみますが、あまり期待をしないでください』


 マルコシアスも本社や自分自身のツテを利用して、それらを探すことになるのだが、柳井は頼んだ時点であまり期待はしていなかった。マルコシアスの言うとおり、明日戦場になるかもしれないというところに、自社の輸送艦艇や旅客船を派遣できる会社は多くは無い。船と積み荷に掛ける保険も、危険宙域への保険の場合はかなりの保険料が上乗せされる。


 費用はすべて行政府、ひいては内務省、帝国本国が持つ物だから気にすることは無いとも言えたが、そもそも断られているようなものだから言い値で依頼しても理由を付けて断られるのがオチだった。


「残り五〇〇万人と捕虜が残っている上、まだ軌道上のプラットフォームもあるというのに……」


 柳井は手元の端末でこのままのペースで移送を続けた場合のシミュレートを行なったが、敵艦隊到着時、まだ軌道上に避難民を乗せた船団が残っているという結果だった。


 そこで柳井は、奥の手を使うことにした。


「私に考えがある。帝都へ行ってくるから、三日ほど留守にする。疎開計画は宇佐美統括補佐に任せておけばいい」


 唖然とするニスカネンとホルバインに、当面の指示と対処を伝えた後、柳井は行政府に頼んで連絡船を借り出し、一人帝都地球へと飛んだ。

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