大学編 第38話
「お、お邪魔しまーす……」
つばめちゃんが遊びにきたのだが何故か玄関でキョロキョロと家の中を覗き見る、なんだろう?
「つばめちゃん、どうかしたの?」
私がどうかしたのか尋ねたら
「え、睦月君が来てるのかなーって確認しただけ!なんでもないよ!」
「そうですか?今日は来ませんよ」
先輩が来ないと聞いたつばめちゃんは何故かホッとしたような表情をした、なんでだろう?
先輩に何か用があるのかな?と尋ねたら「え、用なんてないよ!」と、つばめちゃんがなんでもないという表情をしていたので、私がジーっと見つめたら、つばめちゃんは「ふへへ……」と言ってから
「いや、この前、学校で助けてもらっちゃったから……」
その話は先輩から私も聞いていた。つばめちゃんがベンチで調子悪そうにしていたから少し手助けしたと聞いていたのだが
「いやー、さすがにお姫様抱っこは……照れるね!」
「……そんな話は先輩から聞いてませんでした」
人助けとはいえお姫様抱っこを他の女の子にしていたなんて!
「ほ、蛍ちゃん!睦月君を責めないであげてね?私を助けてくれただけなんだから!」
「はい……」
と言いつつも膨らませていた私の頬を、つばめちゃんが「えい!」と人差し指で押してきた、ぷぅ。
「もー、蛍ちゃんったら!それにしても睦月君はやっぱり男の子なんだね!軽々と私を持ち上げるんだもん!」
「先輩は力持ちですから軽々だったと思います。たとえ、つばめちゃんでも」
「わ、私はそんなに重くないもん!」
つばめちゃんをじっと見つめる、あんな脂肪の塊を二つもぶら下げて重くないはずがない!そんなつばめちゃんに比べたら私なんてきっと羽毛のように軽いに違いない。
「……今度、先輩に会ったら一日中、お姫様抱っこしてもらうしかないですね」
「ほ、蛍ちゃん、さすがにそれは睦月君が可哀想だよ……」
「もちろん冗談です。そんなことより、つばめちゃんお身体は大丈夫なんですか?」
私が心配したら「大丈夫だよ」とつばめちゃんは言うが本当だろうか?
「ふへへ、大丈夫だから……遊園地みんなで行こうね」
つばめちゃんは遊園地に行くことに何故か拘っている。そんなに遊園地が好きなのだろうか。
「わかりましたから、本当に身体を大事にしてくださいね」
「ふふ、わかったよ。おかーさん」
また、つばめちゃんは私をお母さん呼ばわりする。そんなに所帯染みているのかなぁ、私。
そんなわけで後日、先輩とも話し合い、三人の都合を合わせ、遊園地に行く日取りが決まったのだ。
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