鈴蘭には影がある
「おはよ、鳴海っち」
朝、学校に登校し、席に座って教室の後ろに飾られていた花を眺めていたらクラスメートが話しかけてきた。その同級生の女の子を見る、彼女の方は……二階堂
「おはよう、二階堂さん」
と俺が返事をしたら彼女は「ふふっ」と笑って「おはよん」とまた繰り返した。
「……
と俺が顔を曇らせながら聞いたら二階堂さんは「……うん、まだ無理そう」と俯いて言う。
二階堂 鈴さんと二階堂 蘭さんは双子の姉妹、お姉さんの鈴さんはギャルで、妹の蘭さんは黒髪で眼鏡をかけた大人しい女の子。妹の蘭さんは不登校だ……と、二階堂さんから聞いた、不登校の理由は……俺や玲楓も関わったあのカラオケ屋の事件のせいだ。
あの事件の際に俺が最初に入った部屋で三人の男に襲われていた女の子が、二階堂 蘭さんの方らしい。その時のショックで未だ登校できていないと聞いた。襲われていたといっても最悪なことにはなってなかった筈なんだが
俺がどうしてだろうという顔をしてしまったのを見て、二階堂さんが顔を歪ませて
「……鳴海君、酷いよ……」
と小声で言って自分の席に戻っていった。俺はその言葉を聞き逃さなかったので驚いた、もしかして、こうなってしまったのは俺のせいなのか?
その日は、それから二階堂さんが話しかけてくることは無かった。俺は、あの日の事を確認しなくてはならないと放課後、訪れる場所を思い浮かべた。
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