『腫れ物扱いの先輩が、私には優しい』⑧


 大学受験は無事に合格し、一年遅れで大好きな先輩の住む街に追いかけるようにやってきた。


 先輩は旅立った当初からまめに連絡をくれた。


 それが三ヶ月前からプツンと連絡が途絶えた。私の受験を気にして連絡をしないようにしたのかな?……とその時は思っていた。


 受験が終わった後も連絡が取れず……安否を確かめるために本当はすぐにでも会いに行きたかった。


 学生の身ではそれもなかなか叶わず、先輩は私より好きな相手ができてしまったのではないか?そんな不安に押し潰されそうになりながらも先輩の住む街に引っ越して、先輩に会いに行くと……


 「君は……誰?」


 先輩は私を見ても思い当たらないという顔をして、そんな酷い台詞を吐く……


 ……なんと先輩は事故で記憶喪失になってしまったらしい。


 しかも傍には私の知らない綺麗な女の人が先輩を看病している。


 私の心には嵐が吹き荒れていた

 

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