第101話


 会社の昼食時、また石井女史に食事に誘われついて行く。俺は日替わり定食を頼んだが石井女史はサラダしか頼まない……食欲が無さそうだ。いつもと違い元気がないので


 「石井さん、元気ないですが体調不良ですか?」


 と尋ねたら、少し考えた後に


 「……最近、会社からの帰りに誰かにつけられている気がするの……」


 石井女史は社長のお嬢さんだが親御さんと一緒には暮らしておらず一人暮らしらしい。その一人暮らしの自宅に向かう途中……どうも誰かが女史の後をついてきている……気がするとのことだ。


 「……ストーカーですか?」


 石井女史を見る、仕事のできる女性という感じのしっかりした装いに可愛らしさと大人の女性と兼ね備えたような顔立ちの美人……ストーカーされてもおかしくはないと思うが……


 「……警察に相談してみては?」


 そう言ったら悲しそうな悔しそうな顔をして


 「……相談したけど……まだ被害がないから動いてはくれないの」


 ……被害が出てからは遅い話だ。でも警察も証拠がないと動けないか……


 「……私は怖くて……どうしたら良いか……」


 泣きそうな石井女史に何て言って良いか考えていたら


 「……こんなことをお願いするのは間違っているとは思うけど……頼りになる人がいないの……お願い、私を助けて……」


 そう言って目の前に座る石井女史は俺の手に自分の手を重ねてきた。驚いて顔をあげると石井女史の潤んだ瞳と上着の胸元から石井女史の胸の谷間が見えて……男の性か目が離せない……これは何かまずい流れになった気がした。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る