第75話
俺は今日も自宅で床に座布団を敷いて机に向かって勉強している。目の前に蛍はいない……勉強の邪魔になるから来ないというわけではなく……俺の背中に触れるか触れないかの距離で背中合わせに座って小説を読んでいる。邪魔しちゃ申し訳ないけど会えないのも寂しいという蛍なりの結論らしい。
そろそろ集中力が切れたかなという頃なのでわざと背中を蛍の方に倒してみる、背中を押された蛍も背中を俺の方に押し返してきて……シーソーの様になって、数回、同じことをしたら蛍が
「……先輩、そろそろ休憩にしますか?お茶でも入れてきますよ?」
「……ああ、ありがとう」
立ち上がって台所に向かう蛍を見送り蛍の座っていた座布団を枕に少し横になる。
「先輩、お茶入れてきましたよ」と蛍の声が聞こえるので見上げると……
……ピンクか。今日の牡羊座のラッキーカラーはピンクに違いない。
「……先輩?」
こちらの思惑を想像できた蛍が少し怖い声で言うので大人しく起き上がる。
「……先輩、熱いお茶を持ってるんですから……」
危ないからスカートの中を覗くのは止めてくださいと怒られた。
「……本当に、先輩はエッチなんですから……」
「……すみません」
「こんな子どもみたいなことをしないでください」と蛍は言うのだが、大人みたいなことをできないから欲求不満になってるんだよなぁ……と考えながらお茶を飲む。
「……ところで蛍裁判官、ハグは挨拶の範疇と判決が出ている筈ですよね?」
「……そうですけど」
蛍が訝しげに答えるので
「……それではそこに膝立ちでいてください」
「……」
蛍は何を企んでるんだろうと疑っているようだが大人しくこちらの要求通りにしてくれたので
「……では」
そう言って蛍に抱きつく、普段は身長差があるので俺の胸の下に蛍の顔がくるのだが、この体勢なら蛍のお胸の所に俺の顔が来る。一言で言えば最高だ。そして蛍を抱き寄せるために回した手は蛍のお尻に触れる。両手が幸せだ。
「せ、先輩。エッチは我慢する約束ですよね!?」
「……エッチじゃないですハグです!合法ですから!」
そんなやり取りを何回かしたら蛍も諦めたのか「……もう、先輩ったら仕方ない人ですね」と言って俺の頭を抱き抱えてくれる。なんだかんだで蛍は優しい。
「……ごめん、蛍。ありがとう」
「……先輩、満足されましたか?」
思う存分に蛍の柔らかい所を堪能したので満たされた気がする。
「……先輩は勉強を頑張ってるからお疲れなんですよね?」
いや、単にスケベなだけですが……蛍は好意的に解釈したようだ。
「……たまにはお勉強をお休みしてお出かけとかした方が良いかもしれませんよ?」
「え、あぁ……大丈夫だから」
どうしようちょっと勉強疲れで病んでいるように思われてしまったかもしれない。ごめん、蛍。これで通常営業だから。
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