第67話
夏休みが終わって変わったことは、朝の通学の時、遠回りでも蛍と待ち合わせて通学するようになった。お互いになるべく一緒にいたいと思っていたからだ、我ながらバカップルだと思っている。
そんな日々を過ごしていた秋のお彼岸に
「……私もご一緒してよろしいですか?」
「……ありがとう」
母親のお墓参りに蛍も一緒に来てくれた。お墓を見たら花が添えられていて叔父さんが先に来ていたことがわかった。
蛍とお線香をあげ、手を合わせる。
「……先輩、どんなお母様だったのですか?」
「……優しかったよ、一人で俺を育てるのに大変だったのにきちんと手料理を用意してくれて……」
蛍は黙って聞いていてくれる。
「……母さんの唐揚げが大好きだったんだが……あれは何で味付けしていたんだろうな?……どこで買っても同じ味付けのものは食べたことないんだよな……」
そう俺が言ったら蛍は
「……先輩、今度唐揚げを作りますから食べてください、それでどこが違うか教えてください、お母様の唐揚げを再現したいです……」
そんなことを提案する。無理しなくて良いぞっていうのだが蛍は「……お母様の味を残して差し上げたいんです」と言ってくれる。
「……ありがとう、蛍」
蛍と手を繋ぎ歩く、いつか蛍があの味を再現できたら二人でお供えしに来ようと思う。
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