第43話


 今日は蛍が家に遊びに来る予定なのだが……突然、大雨が降ってきた。


 「……これは凄いな……蛍、大丈夫かな?」


 窓の外を見ていたら呼び鈴が鳴る。


 「蛍、いらっしゃい……って、おい大丈夫か!?」


 「……お、お邪魔します」


 どうやら蛍は傘を持っていかなったらしくずぶ濡れだ。服の下が透けて見えそうで……急いでタオルを渡し身体を拭くように伝える。


 「……そのままじゃ風邪引くな……蛍、風呂に入ってこい」


 そう言うと蛍は真顔になって顔を横にぶるぶると振って遠慮するが……どう考えても寒そうでこのままじゃ不味い。


 「遠慮するな、ほら俺の服だからサイズは大きいが……とりあえず我慢してくれ……乾燥機も使って乾かしな」


 「……は、はい。……先輩、絶対に覗いちゃ駄目ですからね?覗いたら責任取って貰いますからね?」


 責任ってなんだ?と思いつつ蛍が出てくるのを待つ


 ……


 ……


 ……これは孔明の罠なのだろうか?考えちゃいけないと思うほど入浴中の蛍を意識してしまう……


 そんな風に悶えていたら蛍が浴室から出てくる。上にトレーナーを着て、下にジャージを履いた蛍が


 「ふふっ、先輩の服はぶかぶかです」


 嬉しそうに言う。そして


 「……先輩、顔が少し赤いです、大丈夫ですか?」


 「……あぁ、大丈夫だ」


 蛍が疑いの眼差しで俺を見る。


 「……まぁ、蛍の服が乾くまでゲームでもやろうじゃないか」


 『ぷ○ぷよ』


 落ちものゲームを対戦しようと二人並んで床に座る。湯上がりの蛍をちらりと見ると普段より不思議な色気がある、なぜだ。そして……


 「……先輩のエッチ」


 「な、なんのことかな?」


 エスパーか!?蛍に何かを見透かされた。


 「……それじゃゲームを始めましょう」


 ええ、ええ、勿論惨敗でしたよ!よりによってなんで『ぷ○ぷよ』を選んだ俺!

 『ぷ○ぷよ』をやっているとどうしても蛍の胸元が気になってしまう……下着を着けているのか着けていないのか、それが問題で、シュレーディンガーの蛍か!?……集中できない。


 「……降参です。なぁ、蛍……聞きづらいことだが、下着は着けていたのか着けていなかったのか……教えてくれないか?」


 「……先輩、それは……内緒です」


 そう蛍は恥ずかしそうに笑って浴室へ乾燥が終わった服に着替えに行った。


 

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